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光ファイバで伝送する微小エネルギーを有効利用して災害時の通信を確保する研究に着手【NTT】

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 NTTは11月11日、近年増加傾向にある大規模自然災害に対する通信ネットワークのレジリエンス向上をめざし、光ファイバで伝送する微小エネルギーを有効利用して災害時の通信を確保する研究に着手したと発表した。

背景および目的

 近年、直下型地震や大型で強い台風の頻発により、広域かつ長時間に亘る停電が発生し、復旧まで時間を要する深刻な事態が続発している。
 災害発生時には、被災地域における安否確認など、連絡手段の確保が重要となる。メタル線による公衆交換電話網では、通信ビルから音声通信用の電力をユーザ宅へ供給する局給電によって停電時にも電話することが可能だった。しかしながら光ファイバによる通信ネットワークでは、音声もデータに変換され他の大量の通信データとともに扱われており、消費電力が過去に比べて増大したことから通信装置を動作させるにはユーザ宅の商用電源を用いる必要がある。そのため、停電時は非常用電源(非常用発電装置や無停電電源装置など)の用意がないユーザ宅では通信装置が利用できない状況となる。また、スマートフォンなどの蓄電池を内蔵するユーザ端末も電池残量がなくなると動作しなくなる。
 こうした状況を改善するため、IOWNの提供価値の一つとして、光ファイバを用いて停電時にもユーザ宅の通信装置が利用できる通信ネットワークを実現することをめざし、光ファイバを通信の伝達手段としてだけでなく微小エネルギーの伝送手段にも用いる技術を研究するという。

今後の取り組み

 NTTは「通信用の光ファイバで伝送できる光パワーおよび光/電力変換で取り出せる電力は限られているため、通信ビルから供給する電力のみでユーザ宅の通信装置を動作させるのは困難だ。そこで本研究では、光ファイバで伝送する光エネルギーの高効率利用技術に加えて、通信装置の消費電力抑制技術、さらには熱や振動など他の微小エネルギーも取り扱うことのできる発電・蓄電・給電技術に関する検討を進める」としている。

構成イメージ。「NTT R&Dフォーラム2019」では、同研究がめざす通信ネットワークの基礎技術を、ひかり電話を題材にしたデモで紹介される予定だ。