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製造業向けのデジタルツインソリューションを提供開始【CTC】

DX/IoT/AI 無料

60年間のシミュレーション技術とAI、IoTの活用で企業のデータ活用や社会課題の解決に貢献

 伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)は11月26日、機械設備や人、作業工程などをコンピュータ上で再現し、生産の最適化につなげるデジタルツインソリューションの提供を開始した。同社は「製造や物流の分野を中心に展開し、1年間で10社への提供を目指す」としている。

デジタルツインソリューションのイメージ

 機器センサの進歩やIoTの普及に伴い、工場や物流における物理的な環境(フィジカル空間)をそのままコンピュータ(サイバー空間)上で再現し、プロセスの全体最適化を図る手法「デジタルツイン」に注目が集まっている。
 今回、CTCが提供するデジタルツインソリューションは、予測のためのAIと最適化や制御のためシミュレーション機能を備えたIoTプラットフォーム。AIとシミュレーションを組み合わせることで、例えば、工場設備の異常をAIでリアルタイムに予測し、その予測に基づきシミュレーションを実行して工場の最適な生産計画を算出したり、シミュレーションのパラメータをAIで調整して計画策定の効率化につなげたりすることができる。
 また、5Gによるデータ通信の超高速化・多接続化・低遅延化の実現に伴い、フィジカル空間とサイバー空間とのリアルタイムな対応範囲を拡大することで、都市や広範囲の交通網、エネルギーなどの分野で、実際のフィジカル空間だけでは見えてこなかった社会課題を特定し、解決につなげることができる。
 データ収集とAIの実行環境としてはSAS InstituteのIoTソフトウェアSAS Event Stream Processingを使用している。SAS Event Stream Processingは、IoTで使用される様々なデータのリアルタイム処理を実現するソフトウェアで、大量データのフィルタリングや正規化、分類、集約、標準化、クレンジングなどを高速に行い、エッジ上でAIを用いた高度な分析が可能になる。
 シミュレーションソフトウェアとしては、Lanner Groupが開発したwitnessを使用している。witnessは、生産ラインや物流、交通、事務業務などの様々なプロセスを簡単にモデル化し、アニメーションによる可視化や多角的なレポートなどで計画の定量評価を可能にする。最新バージョンのwitness 22 Horizonでは、無人搬送車・無人搬送ロボットの給電システムを、モデル化を含め、デジタルツインや工場のIoT化のための機能が盛り込まれている。

 CTCは、SAS社製品の国内最大の販売実績や大規模なシステム構築・運用実績があり、SAS社製品を使用したIoTシステムも手掛けている。また、コンピュータシミュレーションでは60年以上に及ぶサービス提供で蓄積したノウハウがあり、witnessについては、日本国内の総販売代理店として既に自動車の生産ライン、物流センターの人員配置、交通シミュレーション、金融機関の窓口業務など、様々な分野のユーザに提供している。
 今回のデジタルツインソリューションの提供に先立ち、日立ケーイーシステムズのデータ収集のためのIoTソフトウェア「WORKFRONT/IoT」、マクニカのセンシング&エッジコンピューティング端末「SENSPIDER」を活用したデモシステムも構築したという。
 CTCは今後について「本ソリューションの提供で得たノウハウをもとに、AIとシミュレーションの連携によるモデルの高精度化に努め、お客様のデータ活用やデジタルトランスフォーメーションに加え、社会課題の特定や解決に貢献していく」としている。