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照明・空調設備制御連携とAI活用検証を開始

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クラウドプラットフォームを活用したセンサ・設備制御ネットワークシステムの協創

 日建設計、協和エクシオ、WHERE、オムロン、神田通信機、X1Studioは3月10日、ワークプレイスの有効利用と室内環境の最適化に向けて、”クラウドプラットフォームを活用したセンサ・設備制御ネットワークシステム”と建築設備(照明・空 調)制御との連携、およびAIを活用する検証を開始した。

 先行していた5社(日建設計、協和エクシオ、WHERE、オムロン、神田通信機)の取組みにおいて、実証実験の場であるセンサ・ネットワークシステムを構築した実オフィスで照明制御連携の運用を開始した。さらに今回、X1Studioも加わり、クラウドBAS (Building Aut omation System)による空調制御とクラウド上のAI活用の検証も開始し、空調制御連携の実証とAI によるセンサデータ・制御ロジックの高度化を目指す。6社は「協創による実証実験をもとに、同システムの開発、普及、改善を通して、加速する働き方改革やカーボンニュートラル社会の実現に貢献する」との考えを示している。

加速する働き方の変革

 COVID-19の流行を契機に、リモートワークが普及しましたが、一方で、Face to Faceで会話することの重要性が再認識され、集まって働くことの意味・オフィスのあり方が見直されている。オフィスでの自席(固定席)が縮小される一方で多様なワークプレイスに置換され、個人の状況 (業務や快適性)に応じて働く場所を能動的に選択する働き方(ABW:Activity Based Working)が加速度的に浸透していくものと考えられる。
 ABWを実践するオフィスでは、目的(集中やコミュニケーションなど)それぞれに対応した空間を設えるため、使われていない空間や不足している空間が生じないように、空間利用の需給を一致させることが重要となる。ニーズに対して、同システムは人や物の位置情報や空間の利用状況、室内環境を定量化、空間の利用効率を高め、ワークに適した室内環境の選択により知的生産性を継続的に改善する。さらには、利用状況やワーカーリクエストに応じたきめ細やかな設備制御を可能とする。

要素技術の連携イメージ

要素技術と各社の役割

 今後は、より広範囲な建築設備(防犯・防災・日射遮蔽・映像音響)との制御連携の強化、BIM (Building Information Model)との接続、AIの更なる活用により、健康で知的生産性の高いワークプレイス実現のため、さらなる協創拡大を目指すという。

照明制御

 検証では、DALI制御にサーモパイル型人感センサおよびBLEタグの位置情報を利用して、人の位置を精細に把握し、追従する照明制御を実現した。 従来の照明制御技術の課題は、焦電型赤外線センサが人の位置を正確に把握出来ないことと、 動きのない人を検知できないことにあった。これに対して、在不在と通過を判断する3600×3600mm程度の照明制御単位と、隣接制御単位を50%出力とするグラデーショナル制御、操作者の滞在エリアのみに限定したスマホからのパーソナル制御を実現する。

照明制御におけるシステム連携のイメージ


照明制御単位(左図:従前、右図:従後)


照明制御ロジック

空調制御とAI活用

 センサ・設備制御ネットワークをクラウドBASに接続し、クラウドBASによる空調制御を試行する。前述の照明制御は、制御を担うハードウェアを建物内に設置していたが、同開発では制御を担うソフトウェアをクラウド上に設けており、データベースだけでなく制御ロジックもクラウド上でオープンになっていることに新規性がある。さらに、センサデータや制御ロジックの高度化を目指し、クラウド上のAIの活用も試行する。

空調制御におけるシステム連携のイメージ