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古河電工が、高出力低消費電力駆動の省スペースS-、C-、L-帯用ラマン増幅器用デュアルポート励起光源の開発に成功

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省スペース対応の光源開発でラマン増幅器のダウンサイズに貢献

 古河電気工業は9月29日、高出力低消費電力駆動のラマン増幅器用励起光源において、省スペースS-、C-、L-帯用ラマン増幅器用デュアルポート励起光源の開発に成功したと発表した。

背景
 通信伝送速度の高速化に伴い、信号受信側のOSNRの劣化により伝送距離が短尺化し、特に既存の通信システムを活用して高速化する場合、信号光の品質を劣化させずに光出力を増幅するラマン増幅器の役割がより重要となってくる。また、高速伝送により信号の波長幅が拡がるため、大容量伝送を行うためには波長帯域の拡大が必要となり、励起用光源の波長を選択することで任意の信号光源を増幅できるラマン増幅器には高い柔軟性が求められる。一方で、今後S-,C-,L-帯への帯域拡張を鑑みると、使用される励起光源の数が増加するため、省スペースでの高出力低消費電力駆動の励起光源が一層重要になる。

内容
 古河電気工業は、2022年10月にC帯用途での800mW動作を達成し、さらにS帯用途700mW、および低消費電力駆動のL帯用途500mW品を拡充し、FRL1441Uシリーズとして4月よりサンプル出荷を行っている。FRL1441Uシリーズの製品化により、S-、C-、L-帯において既存のラマン増幅器用励起光源の消費電力を37%削減し、従来2台使いの励起光源を1台に置き換えることでの省スペース化が可能となった。

図1:今回の開発品のモジュールコンセプト

 同社は「今回、さらなる省スペース化の対応として、従来と同一の14ピンバタフライパッケージを用いた2つの光出力ポートを有するラマン増幅器用デュアルポート励起光源を開発した」とし、「開発品は、14ピンバタフライパッケージの中に2種類の半導体レーザチップを配置し、光結合技術により光ファイバに集光する」と説明している。

図2:電流ー光出力特性(デュアルポート合算)

 現在の主力製品である500mW出力のFOL1439Rシリーズに搭載されるチップを用いて試作した電流-光出力特性(レーザ温度35℃、図2)では、横軸が2ポート分の全駆動電流に対し、縦軸が2ポート分のファイバ出力の合計値となっている。この結果から、FOL1439Rシリーズで500mW出力2台分の出力である1Wの出力が1台のモジュールから得られていることが確認できる。

図3:消費電力特性(デュアルポート合算)

 また、レーザ温度35℃/ケース温度70度時の2ポート分の全光出力に対する2ポート分の全消費電力(図3)は、2ポート全体の光出力が1Wの時、消費電力は15W、1ポートあたり7.5Wとなり、500mW出力のFOL1439Rシリーズの消費電力と比較しても遜色のない特性が得られている。
 同社は「今後は、さらなる高出力化、低消費電力化のため、より高出力低消費電力駆動のレーザチップの開発を進め、本製品の一層の高性能化を進めていく」との考えを示している。

 同製品の開発にあたっては、25年以上培ってきたInP系光半導体材料を用いた光半導体プロセス技術と高精度のファイバ結合技術に加え、同社独自の低損失、高効率動作の半導体レーザ素子構造を採用し、開発を成功させた(同社特許取得済み)。同社は「本開発により高出力励起光源が省スペース化され、ラマン増幅器のダウンサイズにつながる。また、ラマン増幅器のダウンサイズにより部品点数の削減が可能になり、システム全体の小型化に貢献する」と説明している。

 同製品はECOC 2023において、1日に口頭発表をおこない、2024年7月よりサンプル出荷、2025年上期に量産出荷を開始する予定だという。
 なお、同製品の開発は、NICTの委託研究「Beyond 5G超高速・大容量ネットワークを実現する帯域拡張光ノード技術の研究開発」(基幹課題045)の一環として実施しており、その成果の一部となる。
 同社は「今後も低消費電力高出力レーザチップ技術を開発し、モジュールの低消費電力化の加速と環境に優しいネットワークの構築に貢献する」としている。

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