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シスコが、AIに最適化されたデータセンタを実現

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 シスコは6月10日、簡素化され安全で将来にわたって利用可能なデータセンタを実現する画期的なイノベーションを発表した。(本抄訳は、6月25日に日本法人より提供)

 これにより、組織は AI で実現したいことを安心して展開できるようになる。シスコは、ハイパースケールおよび AI インフラ サービス市場でリーダーシップを発揮しており、安全でレジリエントなネットワークが今日のデータセンタ アーキテクチャの基盤であることを示している。シスコは2025 年度第 3 四半期(2025年2月〜4月)において、ハイパースケーラーからの AI インフラの受注で年間目標の 10 億ドルを大きく上回り、予定より 1 四半期前倒しで目標を達成した。

 この勢いを受けて、シスコは最新のイノベーションにより、企業やサービスプロバイダが AI 時代に向けたインフラの変革をさらに推進できるよう支援する。このようなイノベーションは、シスコがハイパースケーラー、ネオクラウドプロバイダー、エンタープライズ、サービスプロバイダに信頼される唯一無二のパートナーであることを示し、AI ワークロードの要求に応えるエコシステム全体の進歩を支える。
 シスコのプレジデント 兼 最高プロダクト責任者であるジーツ・パテル(Jeetu Patel)氏は「世界は、単にチャットボットが質問にインテリジェントに答える段階から、エージェントが完全に自律的にタスクや業務を遂行する段階に移行しつつある。これこそが エージェンティックAI時代だ。何十億もの AI エージェントが私たちの業務を代行するようになり、データセンタ向けの、広帯域幅、低遅延、電力効率の高いネットワーキングの需要は急増するだろう。シスコはその最前線に立ち、未来の AI 対応データセンタの根幹となる高度で最先端の安全なネットワーキング テクノロジーを提供する」とコメントを出している。

 Moor Insights & Strategy のMatt Kimball氏は「企業による AI 活用が進む中、安全な接続の重要性がますます高まっている。シスコは お客様にAI対応インフラを提供するとともに、AI 対応のオペレーションへの投資も進めており、これが他社とは一線を画している。パートナーおよびお客様を第一に考えるこの姿勢こそが、AI インフラの展開と管理に伴う複雑さを簡略化する AI ツールの開発につながっている。AI の潜在力を最大限に引き出すには、パートナーがその上にソリューションやサービスを構築し提供するレジリエントなネットワークが必要だ」とコメントを出している。

エンタープライズ AI インフラの簡素化、セキュリティの確保、刷新
 企業は、現在のインフラをこれ以上複雑にせず、安全性やセキュリティを犠牲にすることなく、これを進化させ拡張し、自社独自の AI ワークロードに対応させる必要がある。ハードウェアのイノベーションや、より強力でシンプルな管理機能など、シスコは、データセンタを刷新するための新しいソリューションをエンタープライズの顧客に提供している。シスコはまた、 NVIDIA との連携を強化し、検証済みのインフラ ソリューションを提供し、オープンモデルで構築された AI エージェントに安全でセキュアな基盤を提供し続けている。

新たなイノベーション
Nexusによる新たな Unified Fabric Experience:顧客は、ACI と NX-OS VXLAN EVPN のファブリックをデータ、制御、ポリシー適用、管理を統合して集約することで、ネットワーク運用を簡素化し、環境全体の運用効率を向上できる。Unified Nexus Dashboard は、LAN、SAN、IPFM、AI/ML ファブリックのサービスを一元管理できる単一画面を提供する。これらの機能は 2025 年 7 月の次期 Nexus Dashboard リリースで提供開始予定だ。

AI ネットワーキング性能の最大化:顧客はシスコの Intelligent Packet Flow により AI ワークロード運用を最適化できる。この機能は、テレメトリおよび輻輳状況をリアルタイムに認識し、AI ファブリック全体のトラフィックを動的に制御する。ネットワーク、GPU、分散した AI 業務全体の「エンド・ツー・エンド」の可視性により、問題を能動的に検出できます。さらにシスコと NVIDIA はユニファイドアーキテクチャの実現に向けた取り組みも披露し、今回のCisco Live では初めて、Cisco G200 ベースのスイッチと NVIDIA NIC の技術連携を紹介した。NX-OS、Nexus Hyperfabric AI、SONiC の展開に対応する Cisco Silicon One をベースとする NVIDIA Spectrum-X Ethernet ネットワーキングのデモを行った。

AI POD の拡張:新しい設定可能な AI PODs は、トレーニングやファインチューニングを含む様々な AI ワークロード向けに柔軟性と拡張性を強化する。また、シスコは NVIDIA のイノベーションのスケジュールに合わせて製品を提供しており、 NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition GPU は Cisco UCS C845A M8 サーバとともに注文が可能になっている。両社は、Cisco Secure AI Factory with NVIDIA の一環として、検証済みのソリューションの提供に向けて引き続き取り組んでいく。

NVIDIA とともに安全でセキュアな AI 導入を実現:Cisco AI Defense と Cisco Hypershield は、エンタープライズ AI ワークフローのエンド・ツー・エンドで可視性、検証、ランタイム保護を提供し、NVIDIA Enterprise AI Factory の検証済み設計に追加される。AI Defense により、企業は主要なオープンモデルで構築され、NVIDIA NIM および NeMo マイクロサービスで最適化された AI エージェントのセキュリティを確保することができる。

シンプルなアップグレードのためのオプティクス:新しい 400G 双方向(BiDi)オプティクスにより、顧客は既存のデュプレックス型マルチモード ファイバ インフラを活用しつつ、コスト効率、スケーラビリティ、データセンタ性能を向上させながら、400G ネットワークへの容易な移行が可能となる。新たなオプティクスは 2025 年下半期(7月~12月)に提供開始予定だ。

新たなネオクラウド市場の構築
 AI 駆動の成果に対する需要が高まり続ける中、組織は迅速に拡張し、柔軟に適応していく新たな方法を模索している。これにより、新たな GPU アズ ア サービス、インフラストラクチャ アズ ア サービスプロバイダが登場し、「ネオクラウド市場」という新たな市場の構築につながっている。シスコは、世界最大級のネットワークを世界中のサービスプロバイダ向けに設計、構築してきた専門知識を活かし、このようなプロバイダが足場を構築できるよう支援する主要な役割を担っている。

発表されたパートナーシップ
HUMAIN:サウジアラビアの AI 新興企業HUMAIN は、シスコと協業し、Cisco Nexus、UCS、Hypershield、Splunk を活用して、世界で最もオープンでスケーラブル、レジリエントかつコスト効率の高い AI インフラの構築をめざしている。

G42:UAE 拠点のグローバル テクノロジー グループである G42 は、シスコと戦略的提携を発表し、公共部門、民間部門における AI イノベーションとインフラ開発を推進する基盤を構築する。

Stargate UAE:シスコは Stargate UAE コンソーシアムにおいて優先テクノロジーパートナーとして参画し、高度なネットワーキング、セキュリティ、オブザーバビリティソリューションを提供し、次世代 AI コンピュートクラスタの展開を推進している。

AI時代におけるサービスプロバイダの成功支援
 Cisco Agile Services Networking アーキテクチャは、 AI によるネットワークトラフィックの特性の増加や変化に対応するだけでなく、サービスプロバイダのネットワークアーキテクチャを根本から変革し、新たなサービスのサポートや収益化を可能にする。
 新たなイノベーションは次の通り。

新たなデバイス:Cisco Silicon One を搭載した新しいコンバージドアクセスおよびエッジルータデバイスを提供します。これらのデバイスはCisco 8000 シリーズ ポートフォリオを拡充し、サービスプロバイダが新たな水準のネットワーク効率と機能性を実現できる。

サービスプロバイダ向けエージェントティックAI:運用と意思決定の迅速化を支援するAI 機能を備えた Cisco Crosswork Network Automation Automation のための新たなマルチエージェント型のフレームワークで、業務や意思決定の迅速化を支援する。このフレームワークにより、サービスプロバイダは自律的なネットワークビジョンの実現に向けて協働する、シスコや顧客が構築した AI エージェントを活用し、最も複雑な課題を解決することができる。

非地上(衛星)ネットワーク:地上ネットワークと衛星ネットワーク間をシームレスに統合する。このアーキテクチャは、海上、航空、IoT、災害対応といった遠隔地やサービスが十分に提供されていない分野において、堅牢なサービス保証、動的なリソース割り当て、そして新たな収益化の機会を提供する。