シスコ調査:インフラストラクチャの大転換期へ。AI は課題か、解決策か
DX/IoT/AI 無料シスコは6月4日、最新のグローバル調査結果を発表し、エンタープライズ ネットワーク全体でアーキテクチャの抜本的転換が進行していることを明らかにした。(本抄訳は、6月17日に日本法人より提供)
AIアシスタント、エージェント、データ駆動型ワークロードが業務のあり方を刷新する中、ネットワークトラフィックはさらに変化が激しくなり、より待ち時間感度が高い(latency-sensitive)、高速で複雑なものになっている。
コネクテッドデバイスがあらゆる場所に存在し、年中無休の稼働が求められ、セキュリティ脅威が高まっている状況も相まって、インフラストラクチャの適応、進化が進んでいる。その結果、IT責任者はネットワークとは何か、ネットワークで何が実現できるのか、どのように組織を保護できるかなど、ネットワークに対する考え方を見直しつつある。今日構築するネットワークが、明日の事業を左右することになる。
転換期であることを示す6つのサイン
ネットワークが戦略的優先事項になりつつある:97% が、AI、IoT、クラウドの展開には最新のネットワークが欠かせないと回答し、IT責任者の91% がIT予算全体におけるネットワークへの配分を拡大する見込み。
安全なネットワークが絶対に欠かせない:98% が、安全なネットワークが業務および成長に重要だと回答し、61% は「不可欠」としている。また 94% がネットワークの改善によりサイバーセキュリティ体制の向上を期待している。
AIの普及によりレジリエントなネットワークに対する要件が高まっている:IT責任者の95%が、レジリエントなネットワークが不可欠だと回答している。一方、77% が、主に輻輳、サイバー攻撃、設定ミスによる重大な障害を経験しており、1社あたり年1件の重大な障害発生でも、世界全体における損失は年間1,600億ドルに上る。
リーダーは AI による収益拡大を目指す:IT責任者の55%が、最新ネットワークの収益に対する最大の効果は、カスタマージャーニーを自動化、最適化する AIツールの展開により得られることで、より迅速で個別化された体験を実現し、ロイヤルティを強化し、成長を促進できると回答している。
AI がコンピューティング インフラストラクチャを刷新している:71% が、現在、自社のデータセンタがAIの要件を満たせていないと回答し、88% が、オンプレミスまたはクラウド、あるいは両方の能力の拡充を計画している。
リーダーはよりスマートなネットワークを求めている:98% がAIによる自律型ネットワークが今後の成長にとって非常に重要だと回答している。一方、適応力のあるネットワークを実現するためのセグメンテーション、可視化、コントロールなどのインテリジェントな機能を導入していると回答したのはわずか 41% だった。
シスコのプレジデント 兼 最高プロダクト責任者のジーツ・パテル(Jeetu Patel)氏は「AI はすべてを変革している。そしてインフラストラクチャはその変革の核心にある。IT責任者は、今日構築するネットワークが、明日の事業を左右すると理解している。今行動を起こすことがAI時代をリードすることにつながる」とコメントを出している。
ネットワークこそが価値を生み出す:最新のインフラストラクチャにより成長とコスト削減を実現
IT責任者は、主に顧客体験の向上(55%)、効率化(52%)、イノベーションの実現(51%)により、今日のネットワークからすでに経済的価値を創出している。しかし、AI やリアルタイムの拡張に対応していないインフラストラクチャから得られる価値の多くは、失われるリスクがある。期待する成長とコスト削減を最大限に実現するために、解消すべき重要な課題として、サイロ化または部分的に統合されたシステム(58%)、不完全な展開(51%)、手作業による監督への依存(48%)が挙げられた。よりスマートで安全で適応力のあるネットワークが投資の根拠となっている。10人中9人近く(89%)が、ネットワークの改善が収益増加に直接つながると回答しており、ほぼ全員(93%)が運用のスマート化、障害の抑制、消費電力の低減により大幅なコスト削減を見込んでいる。
経営幹部は IT 責任者やパートナーにアーキテクチャ転換をリードする役割を委ねている
シスコの最近の調査によると、AI 時代におけるインフラストラクチャの重要性について、CEOはIT責任者と見解が一致していることが示されている。CEOの97%がAIの利用を拡大し、78%が投資判断をCIOやCTOに委ねている。一方でリスクも認識しており、74%が時代遅れのインフラストラクチャが成長を妨げていると回答している。エンタープライズ ネットワークのアーキテクチャの大転換が進む中、経営幹部は技術責任者によるネットワークを起点とした取り組みの牽引を支持しており、96%が信頼できるパートナーシップが成功に不可欠であると考えている。
本調査について
本グローバル調査は、社員250人以上の組織でネットワーク戦略やインフラストラクチャを担当する8,065人の上級IT責任者およびビジネスリーダーから得た回答に基づいている。2024年12月にSandpiper Research & Insightsがシスコからの委託を受けて30市場で実施した。