光通信、映像伝送ビジネスの実務者向け専門情報サイト

光通信ビジネスの実務者向け専門誌 - オプトコム

有料会員様向けコンテンツ

AI時代、戦略的ワイヤレス投資で企業ROIが向上 — シスコ調査で明らかに

DX/IoT/AI 無料

 シスコは4月2日(カリフォルニア州サンノゼ)、第 1 回目となる「State of Wireless Report(ワイヤレス実態調査)」を発表した。(本抄訳は4月9日に日本法人より提供)

 本レポートで、Wi-Fi が単なる接続手段から、従業員の生産性、顧客エンゲージメント、収益に複合的な効果をもたらす戦略的成長の推進力となっていることが明らかになった。世界中の 6,000名以上のワイヤレス責任者を対象にした調査によると、組織の接続需要が転換期を迎える中で、ワイヤレスを戦略的な優先事項として位置付ける組織は、優先事項としていない組織と比較すると、大きな事業価値を創出していることが示された。

 この事業価値は「ワイヤレス AI パラドックス」によって左右される。AIはワイヤレス ROIの主要な推進力である一方、運用上の複雑さやセキュリティリスクの増大をもたらす可能性もある。こうした状況が障壁となるか、または競争力につながるかは、組織がどのように対処するかにかかっている。本レポートでは、このような潜在的な課題に対処するための戦略的なロードマップの中で、AI主導の自動化、最新のセキュリティ対策、専門人材の確保について分析している。この総合的なアプローチにより、ワイヤレスインフラを強力な競争力へと転換し、高いリターンを実現できる可能性が 4 倍に高まることを示している。

最新のワイヤレスは、顧客、業務、社員、収益により高い成果をもたらす
 IoTの普及、AI ワークロードの増加、4K/8K ストリーミングや AR/VR といった広帯域アプリケーションの普及が、ワイヤレス刷新の主要な促進要因となっている。これらの需要に適応し、フリーアドレスや BYODの導入といった働き方の変化にも対応する中で、組織はワイヤレス予算を大幅に拡大している。

・80%が過去5年間で支出を増加
・29%が過去5年間で50%以上の予算増加を実施
・82%が今後4~5年でさらなる予算増加を予測
・35%が今後4~5年で50% 以上の予算増加を予測

 すでに刷新を推進している組織では、ワイヤレスに対する投資によって複数のプラスの事業成果を生み出し、相乗効果を実現している。
 
・78%が業務効率の向上を実感
・75%が従業員の生産性向上を体感
・75%が顧客エンゲージメントの向上を確認
・68%がワイヤレス投資による収益のプラス効果を創出

 シスコのエンタープライズ コネクティビティおよびコラボレーション担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるアナラグ・ディングラ(Anurag Dhingra)氏は「企業の職場は、人とAIエージェント、自動化システムが一体となって機械速度で業務を遂行する環境に進化しつつある。Wi-Fi はその基盤として、あらゆるエンドポイントを接続し、すべてのやり取りを保護し、事業全体でよりスマートな意思決定を可能にする運用インサイトを提供する。AIは現在、エンタープライズ ネットワークにとって最大の機会と同時に最大の試練でもある」とコメントを出している。

 本調査では、6GHz帯へのアップグレードを計画する企業が増加するなど、ワイヤレスネットワークの刷新が加速していることも明らかになった。5社中3社近くが、2027年には最新の接続技術としてWi-Fi 6EまたはWi-Fi 7の導入を計画している。

ワイヤレスAI パラドックス
 AIはイノベーションの推進力である一方で、相互に関連する3つの領域で課題をもたらし、これらに適切に対処することで、ワイヤレス ROI(4:1 以上)を達成できる可能性が 4倍高まるとされている。こうした競争優位性を確率するため、以下の領域を優先事項として検討する必要がある。

【運用上の複雑さの低減】ほぼすべての組織(98%)が、ワイヤレスの複雑化を実感している。担当者の多くは受動的な作業に追われ、リソースが消耗し、戦略的な業務に参与できず、AIの取り組みの機会が失われている。これに対し、(10 社中)4 社以上の組織が、AI 主導の運用による、完全または大部分が自動化されたワイヤレスネットワークの採用が望ましいと考えており、このアプローチの有効性はすでに実証されている。AI による自動化を導入している組織の98%が、1人1日あたり平均3時間20分の時間削減を実現するなど、顕著な効果を挙げている。

【ワイヤレス セキュリティ リスクの軽減】AI がもたらすセキュリティインシデントは、ワイヤレス セキュリティ リスクの増大を招く主要な要因となっている。半数以上の組織がワイヤレス セキュリティ インシデントによる経済的損失を被った経験があると回答しており、そのうち半数の年間損失額は100万米ドル超となっている。被害を受けた組織の 3分の1以上は、侵害されたIoT機器やOT機器を原因として挙げている。

【ワイヤレス人材の確保】深刻な人材不足により、運用上の課題がいっそう深刻になっている。約90%のワイヤレス責任者が、AIやサイバーセキュリティ分野への人材シフトにより、適切な人材の確保が困難になっていると回答している。人材不足の影響は大きく、より深刻な採用の課題に直面している組織は、人材を確保できている組織に比べ、セキュリティインシデント関連の年間コストが70%高くなる傾向にある。

シスコのワイヤレス実態調査について
 シスコの「State of Wireless Report(シスコワイヤレス実態調査)」は、30市場の様々な業界の従業員数250名以上の組織に所属する、ワイヤレスに関する意思決定者や技術の専門家6,098名を対象に実施したインタビュー調査に基づく第1回目のグローバル調査となる。調査は、Sandpiper Research & Insightsにより実施された。