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「IoT開発におけるセキュリティ設計の手引き」を公開

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 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)セキュリティセンターは5月12日、今後のIoTの普及に備えて、IoT機器および、その使用環境で想定されるセキュリティ上の脅威に対し、事業者(開発者)の備えが急務であるとし、「IoT開発におけるセキュリティ設計の手引き」を公開した。

URL:https://www.ipa.go.jp/security/iot/iotguide.html

 現在ではIoTと分類されるようになった、組込み機器の情報セキュリティについて、IPAは2006年から脅威と対策に関する調査を実施してきた。現在IoTと呼ばれる機器には、最初からIoTを想定し開発されたものの他に、単体での動作を前提としていた機器に、ネットワーク接続機能が後付けされたものが多く存在すると考えられる。そのため、IoTの普及と利用者の安全な利用のためには、ネットワークで機器やサービスが繋がることで生じうる様々な脅威、それらが原因のリスクや被害を予め踏まえておく必要性がある。
 そこで、IPAではIoTの定義について「サービス提供サーバ・クラウド」「中継機器」「システム」「デバイス」「直接相互通信するデバイス」と5つの構成要素に分類し、IPAのIoTモデルを設定した。その上で、各々の構成要素における課題の抽出・整理を行なったという。
 

IPAのIoTモデルの全体像

IPAのIoTモデルの全体像

 また、今まで蓄積してきた知見を基に、「デジタルテレビ」「ヘルスケア機器とクラウドサービス」「スマートハウス」「コネクテッドカー」の4分野を具体的なIoTシステムの事例として、脅威分析と対策検討の実施例を図解している。この図解では、脅威が想定される箇所と、認証や暗号化など該当する対策を明確化するとともに、業界のセキュリティガイドで述べられている要件との対応を示している。この図は、網羅的にセキュリティ要件を整理することが困難な組織や、今後IoTビジネスを摸索する組織にとって、安全な製品・サービスへの検討の材料になると考えられる。
 
 

ヘルスケア機器とクラウドサービスに対する脅威と対策の検討例

ヘルスケア機器とクラウドサービスに対する脅威と対策の検討例


 
 さらに、IoTシステムのセキュリティを実現する上で根幹となる暗号技術に関して、実装した暗号技術の安全性を客観的に確認するためのチェックリストを付録として作成された。開発者はこれを参照して暗号技術の利用・運用方針を明確化し、その安全性を評価することが容易になる。