Aristaが、AIファブリック向け次世代1.6テラビット・ポートフォリオを発表
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Arista Networks(以下、Arista)は6月9日(カリフォルニア州サンタクララ)、ラック規模のAIインフラストラクチャの基盤として特別に設計された1.6テラビット・ネットワーキング・プラットフォームの新ポートフォリオ「Arista 7060XE7シリーズ」を発表した。
同社は「AIワークロードが数千から数十万のXPUへと拡大するにつれ、ネットワークはスタンドアロンのレイヤーから、緊密に統合されたAIスーパーシステムの重要なバックプレーンへと進化した」としている。
7060XE7シリーズは、Aristaが高性能スイッチの提供から、包括的なラック規模システムの提供へと移行したことを示すものとなる。AI時代の極めて高い密度、電力効率、熱効率の要件に対応することで、これらのプラットフォームは、空冷、液冷、ハイブリッド冷却環境に最適化されたスケールアップ/スケールアウト型のAIファブリックの構築を可能にし、キロワットあたりの演算密度を最大化する。
同社は「AIのトレーニングおよび推論ワークロードが進化するにつれ、ネットワークはスタンドアロンのレイヤーから、柔軟で統合されたバックプレーンへと移行する必要がある。多様なAIアクセラレータをサポートするため、当社は7060XE7シリーズを、緊密に連携したラック規模のAIスーパーシステムとして設計した。これには、大規模AIファブリックの開発において、顧客およびテクノロジーパートナーのエコシステムとの協業も含まれる」と説明している。
Arista Networksのクラウド & AIネットワーキング担当SVPであるTyson Lamoreaux氏は「AI時代は、ネットワークに対する考え方の転換を必要としている。ネットワークはもはやスタンドアロンのインフラストラクチャ レイヤーではなく、AIスーパーシステムの緊密に統合されたコンポーネントだ」とし、「7060XE7シリーズは、世界最高水準の信頼性と、液冷および低消費電力光学技術によるEOSの差別化を組み合わせた、大規模1.6Tシステムを提供する。これにより、お客様は最高のパフォーマンスと電力効率を実現するAIファブリックを構築できる」とコメントを出している。
多様なAIアクセラレータによるラック規模AIファブリックの提供
7060XE7シリーズは、幅広い固定スイッチプラットフォームと構成可能なラック規模システムを提供し、垂直および水平AIワークフローに対応するラックあたりのシステム数を柔軟に調整できる。これらのシステムは、AIファブリックに必要なArista EOS(Extensible Operating System:拡張可能なオペレーティングシステム)の機能群を備え、コンピューティングとラックに最適化されたネットワークを実現する。各システムは、AI通信や集団パターンに特有の激しいマイクロバーストを処理するために、低遅延かつインテリジェントなパケットバッファリングを提供し、コンピューティングとメモリのセマンティクスにおいて、ラック内およびラック間で一貫した高性能接続を保証する。
Meta、Microsoft、Oracleとの連携により、AristaのAIネットワークは大規模化を実現
Aristaは10年以上にわたり、クラウドおよびAI分野の大手顧客と緊密に連携し、拡大し続けるAIクラスタをサポートしてきた。
Metaのインフラストラクチャ担当ヴァイスプレジデントであるGaya Nagarajan氏は「AIワークロードの増大に伴い、物理インフラストラクチャは高密度化と電力効率の向上に対応できるよう進化する必要がある。Aristaの1.6Tプラットフォームと液冷設計は、次世代のトレーニングと推論の要件を満たす、オープンでスケーラブルなAIファブリックに注力する当社の方針に合致している」とコメントを出している。
MicrosoftのAzureハードウェアシステム&インフラストラクチャ担当プレジデントであるRani Borkar氏は「AIインフラストラクチャがますます要求の厳しいワークロードをサポートするために拡張されるにつれ、高帯域幅で電力効率の高いネットワークが基盤となる。Aristaとの1.6Tイーサネット インターフェイスに関する協業は、MicrosoftのAIアクセラレータであるAzure Maiaと、Microsoftの超大規模AIデータセンタであるFairwaterにおいて、より大容量の相互接続を備えた次世代AIクラスタを実現すると同時に、インフラストラクチャ全体の運用上のシンプルさを維持するのに役立つ」とコメントを出している。
OracleのCloud Infrastructure担当EVPであるMahesh Thiagarajan氏は「Oracle Cloud Infrastructureには、大規模なAIトレーニングジョブの要求に対応できる拡張性の高いネットワークが必要だ」とし、「Arista Networksの1.6Tプラットフォームは、当社のRDMAベースのAIファブリックに必要なスループット、決定性、安定性を提供する。また、Arista EOSは、当社のグローバルAIインフラストラクチャ全体で、大規模な運用における一貫性とパフォーマンスを実現する」とコメントを出している。
最新のEtherlink製品:大規模な拡張性とスループット
7060XE7シリーズは、最新のSerDesテクノロジーを採用し、100Tbpsの高速帯域幅、ポート全体で1.6Tbpsのスループット、ラック全体での信号完全性を実現する。LPO(Linear Pluggable Optics)のサポートにより、インターコネクトの消費電力を約60%削減し、総所有コストを低減する。
本製品群は、多様なデータセンタニーズに対応するため、以下の構成を用意している。
7060XE7-64PSおよび7060XE7-64PRSラックスイッチ:空冷式で、統合型ヒートシンク(IHS)とライディング型ヒートシンク(RHS)の両方の光学系に対応し、4Uラックマウント型ながら柔軟な導入を実現する。
7060XE7-64PRS-RV3-L:高密度クラスタ向けに特化した2U液冷式プラットフォームで、224G SerDesに対応している。このシステムはORv3ラックからのDC電源を使用し、内部ファンを搭載していない。液冷式XPUサーバとの統合により、電力効率を最大限に高める。
7060XE7-128PE:空冷式4Uラックマウント型で、128個の800Gポートを搭載し、100G SerDesに対応している。導入の柔軟性と下位互換性が求められる環境に最適な構成となっている。
AMDおよびBroadcomとのシリコンパートナーシップ
1.6Tネットワークへの移行は、スイッチシリコンおよびNICプロバイダのエコシステムによって支えられている。Aristaは、次世代コンピューティングシリコンおよびNICの開発においてAMDと緊密に連携し、スケールアウトAIファブリックの実現をめざしている。
AMDのデータセンタソリューションズグループ担当コーポレート ヴァイスプレジデントであるRavi Pendekanti氏は「AMDは、CPUやGPUから高度なネットワーク技術、統合ソフトウェアソリューションに至るまで、コンピューティング スタック全体にわたってお客様に選択肢を提供する、オープンで標準規格に基づいたAIインフラストラクチャの提供に尽力している」とし、「AIシステムの規模が拡大するにつれ、ネットワークはパフォーマンスと効率性にとって不可欠な基盤となる。Aristaのようなパートナーと協力してイーサネットネットワーク エコシステムを推進することで、オープンスタンダードに基づいた柔軟で高性能なAIファブリックの実現を支援している」とコメントを出している。
AristaとBroadcomの15年にわたるパートナーシップは、最高水準の最適化されたハードウェアプラットフォームを提供する統合システムアーキテクチャの実現へと結実した。 Tomahawk 6シリコンのオンチップリソースと機能を最大限に活用しつつ、Arista EOSまたはOpen NOSとのソフトウェアの一貫性を維持することで、スイッチは空冷式および液冷式AI環境の両方に対応する高密度コンピューティングのための、ラック規模の統合ラディックスへと進化する。
Broadcomのコアスイッチンググループ担当SVP 兼 ゼネラルマネージャーであるAsad Khamisy博士は「Aristaとの1.6Tネットワークに関する協業は、業界をリードするスイッチングシリコンとの共同イノベーションが、次世代AIワークロードの容赦ない帯域幅とレイテンシの要求を満たす力を示すものだ」とし、「Aristaの1.6Tイーサネットソリューションに、Broadcomの業界をリードするTomahawk 6 102Tbpsイーサネットスイッチを搭載することで、大規模AIクラスタの相互接続容量を拡張し、業界が依拠する堅牢なオープンスタンダードを維持しながら、最適化されたスケールアップおよびスケールアウト接続を実現する」とコメントを出している。
AI運用における卓越性を実現するArista EOS
7060XE7シリーズは、Arista EOSとオープンなネットワークオペレーティングシステム(NOS)の両方をサポートするように設計されており、クラウド大手の顧客に運用上の柔軟性を提供する。これらのプラットフォームは、高性能なAIの耐障害性、輻輳管理、および汎用性を実現するために設計された、豊富な”Smart AI”ソフトウェア機能群をサポートしている。主な機能は以下のとおり。
ロードバランシング:動的ロードバランシング(DLB)とクラスタロードバランシング(CLB)により、ジョブの完了時間を管理し、ファブリック全体へのトラフィック分散を最適化する。
MRCファブリックの耐障害性:MRC(マルチパス信頼性接続)の完全サポートにより、「障害増幅」の課題を解決し、単一のリンク障害によって大規模なトレーニングジョブが停止することを防ぐ。さらに、リンクレイヤリトライ(LLR)により、物理層でのパフォーマンス安定性を維持する。
輻輳管理:PFC対応DLB、PFC対応ECN、およびテレメトリのサポートにより、ネットワークの状態を詳細に可視化し、ヘッド オブ ライン ブロッキングを防止する。
フィードバックメカニズム:輻輳シグナリング(CSIG)とFast CNPにより、ハードウェアレベルで迅速なフィードバックを提供し、輻輳問題を解決する。
診断機能とプラットフォームの均一性:NetDI(ネットワーク診断インフラストラクチャ)およびPDI(プラットフォーム依存インフラストラクチャ)との統合により、これらのプラットフォームは多様な動作環境をサポートする。NetDIはデバイスのテレメトリと診断情報への統一的なアクセス方法を提供し、PDIは各プラットフォーム固有の低レベルハードウェアを管理することで、異なるハードウェアアーキテクチャ間でのソフトウェアの移植性を向上させる
。
提供開始時期
7060XE7-64PS/PRS(64x 1.6T 空冷):2026年第4四半期
7060XE7-64PRS-RV3-L(64x 1.6T 水冷):2027年第1四半期
7060XE7-128PE(128x 800G 空冷):2027年第1四半期
編集部備考
■AIモデルの高度化と大規模化に伴い、データセンタインフラに求められる要件は急速に変化している。特にハイパースケーラーやAI専業クラウド事業者においては、インフラ構築に要する時間そのものが競争力に直結するフェーズに入ったため、従来のように個別機器を組み合わせて検証するアプローチでは対応が困難となった。こうした背景から、顧客は検証済みの構成を即座に導入可能な「ターンキー型」のエコシステムを、より求めるようになっている。
この変化は、通信機器ベンダの役割を大きく変えつつある。従来はスイッチやトランシーバといった個別製品の性能保証が主たる責任範囲であったが、現在ではGPU、NIC、光モジュールを含めたシステム全体としての動作、さらにはAIワークロードにおける実効性能に対して責任を持つことが求められ始めている。すなわち「機器提供」から「成果提供」への転換だ。
こうした潮流の中で注目されるのが「ラック規模」という設計単位だ。従来、サーバやネットワークは個別最適化が前提であったが、現在では電力供給、冷却方式、配線密度、通信トポロジーが相互に依存するため、ラック全体を一体として最適化する必要がある。特に1ラックあたりの消費電力増大に伴い、空冷と液冷の選択や配管設計、電源冗長構成といった要素は、設備設計だけではなくシステム性能を左右する要因となっている。
さらに、AIワークロード特有のトラフィック特性も無視できない。分散学習においては、バースト的に発生する通信がネットワーク輻輳を引き起こし、学習効率を大きく低下させる。このため、初期構築(Day 0)から運用・最適化(Day 2)までを一貫して制御するソフトウェアスタックが不可欠となり、機器を接続するだけでなく、ラック単位で統合された制御基盤が求められるようになった。
加えて、1.6Tbps世代への突入は、技術的にも新たな局面を迎えている。高速化に伴う信号損失やクロストーク、さらには発熱密度の上昇により、ポート単位の信号品質と熱設計はより密接に結びつくようになった。光トランシーバやスイッチの設計、さらには冷却機構までもが相互依存する領域に入りつつあり、従来のようなマルチベンダ構成における最適化の難易度は飛躍的に高まっている。これに対し、設計者であるベンダがあらかじめ検証済みのエコシステムとして提供することは、導入リスクと時間を大幅に削減する合理的な解となる。
今回のAristaの発表は、こうした流れを象徴するものと言える。高性能スイッチ単体の提供から、液冷対応や電源設計を含むラック規模のAIシステムとしてポートフォリオを再定義した点は、製品拡張だけではなく、提供価値そのものの転換を意味する。製品の単位は「機器」から「システム」へと移行しつつある。
この変化は、通信業界の競争軸にも影響を及ぼす。従来は帯域やポート密度といったスペック競争が中心であったが、今後は学習時間の短縮や電力効率、さらには導入までの時間といった指標が重要性を増す。すなわち、通信インフラはデータ転送基盤だけではなく、AI計算効率を規定する要素として位置付けられるようになる。
1.6Tbps世代への移行は、速度向上だけではない。それは「ハードウェア単品」から「統合エコシステム」への転換であり、通信機器ベンダに対して、計算効率を最大化するシステムプロバイダへの進化を迫るものとなる。通信インフラの最適化がAIの競争力を左右する時代において、その役割と価値は根本から再定義されつつある。
(OPTCOM編集部)





