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シスコ5Gショーケース、および5G開発戦略のアップデート【4:シスコ5Gショーケースのソリューション例】

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 シスコ5Gショーケースでは、サービスプロバイダの5Gネットワークと、そこに接続する企業ネットワーク、さらにはローカル5Gの無線環境も含めたエンド・ツー・エンドの5Gインフラを構築している。シスコはそのインフラを活用してユースケースの創出、ソリューションの拡充を進めており、山田氏からはその一部として「フルスタック オブザーバビリティ」「5Gセキュリティ」「運用のデジタル化」が紹介された。

フルスタック オブザーバビリティ

 企業にとって、アプリケーションはビジネスそのものと言えるほど重要な存在であり、アプリケーションを使ってシームレスなユーザエクスペリエンスを提供することが、企業にとって非常に重要な時代となった。
 山田氏は「シスコがグローバルで企業のIT意思決定者を対象にアンケート調査を実施した結果、テクノロジースタック全体で膨大なデータが作成されており、そのデータの増加によって多くの企業がデータノイズに悩まされているという調査結果を得ることができた。これは、アプリケーションだけでなく、インフラ、ネットワーク、セキュリティも含めたデータだ」と話す。

企業のIT意思決定者が抱える課題。

 このような課題に対する解決策として、シスコはフルスタック オブザーバビリティを提案しており、このソリューションは主に次のツールで構成されている。
・ユーザエクスペリエンスとビジネスを相関させる『AppDynamics』
・ネットワークへの影響とその原因を把握することができる『ThousandEyes』
・これらの分析情報を更にインフラと結びつけることができる『Intersight Workload Optimizer』
 山田氏は「こうしたツールを組み合わせることで、フルスタックの観測性を提供することができる。更には、そこから得られたインサイトを基に、問題を特定して制御することまで可能なソリューションになっている」と説明し、実際にどのような問題を特定できるかについてThousandEyesの事例を紹介した。

5Gショーケースで導入されているThousandEyesのダッシュボード画面。

 ThousandEyesのダッシュボードでは、クラウドにあるアプリケーションのレスポンスタイム、ネットワークの遅延、ロス、ウェブサーバの可用性といった様々な情報を一元的に把握することができる。また、状態を一目で把握できるよう色分けして表示しているので、運用者は瞬時に現在の状況を把握できる。
 上図の画面で右上が赤色で表示されているのは、5G エージェント間のロスを示しているからであり、画面下には具体的にどの箇所でロスが発生しているかも表示されている。
 次に、ロス発生箇所のView画面を示す。

ロスが発生している箇所のView画面。

 View画面では、事案を遡ってどのタイミングでロスが発生していたかを確認することができる。画像の事例では、ランダムなタイミングでのパケットロスが確認できる。また、画面下には、データセンタ間で最大28%のパケットロスが発生していたことが表示されている。
 更に、Path Visualizationをクリックすると下図の画面が表示され、ネットワークパス上のどこでパケットロスが発生しているのかを可視化できる。

Path Visualization画面。

 山田氏は「このようにフルスタックで観測することで、大量のデータノイズに悩まされること無く問題解決までの時間を短縮できる。これにより、ビジネスの継続性に貢献できる」と説明している。

5Gセキュリティ

 5Gのアーキテクチャは、従来の4Gとは大きく異なり、分散化、仮想化、分離化といった特長がある。山田氏は「これにより、4Gまでは考慮する必要が無かったセキュリティリスクが表面化してくる可能性が有る」と警鐘を鳴らす。
例えば、
・アタック サーフェスが増加し、攻撃ヵ所の特定が困難になる。
・IoTデバイスの多数接続においては、各デバイスに対して一貫性のあるセキュリティポリシーを適用して運用することが困難になる。
といったリスクが想定されている。

5G移行で表面化するセキュリティ リスク。

 山田氏は「複雑な5Gのネットワークに対して一貫性のあるセキュリティ運用を実施するためには、『Security by Design』のアプローチが重要だ」と主張する。
 従来のようにネットワーク機能の要件定義や、設計を行った後からセキュリティ機能をアドオンで追加する場合、効果的なセキュリティが実現できない、もしくは既存で展開されている機能との整合性の確認のために非常に多くの時間を要するといった、様々なデメリットが生じる。
 そこで『Security by Design』では、導入するセキュリティ機能をネットワーク機能の要件定義の段階から決めておく。つまり、一緒に設計することによって、セキュリティレベルの向上、そして運用負荷の低減に繋げるというアプローチだ。

Security by Designのアプローチの有効性。

 山田氏は「5Gにおける様々なセキュリティリスクに関して、1つのソリューションで全てを保護することは非常に困難だ。そこで5Gショーケースでは、シスコが有している様々なセキュリティソリューションを、『Security by Design』のアプローチにより設計・運用の複雑性を回避しつつセキュリティレベルを向上できることをご覧いただける環境にした」と説明している。

シスコ5Gショーケースにおける、様々な5Gセキュリティ。

運用のデジタル化

 シスコはネットワークサービスの運用変革というテーマに対して、運用に関わる人々が場所を問わずコラボレーションして運用する「Work from anywhere」をコンセプトとして掲げている。
 山田氏は「自動化、可視化、システム連携といったネットワークの運用に関わる全てのことを、チャット画面を介して実施することで、ネットワーク運用者のOX(Operation Experience)の向上に貢献する」としている。

シスコは、Work from anywhereをChatOps※で実現し、シームレスな運用によるOXを実現する。※ChatOpsは、Chatとオペレーションの二つからなる造語で、チャットのサービスをベースとして、システムの運用を行う。運用に関係するすべての人々をチャットという共通のインターフェースで繋げることによって、相互の連携しながら運用作業を進めることができる。


ChatOpsでは、業務フローもチャットを使ってインタラクティブな形式で実行できるので、同じ業務フローに対して複数のチームメンバーがコラボレーションしながらオペレーションを実行できる環境を実現できる。例えば画、何か障害が発生した際、オンサイトにいるエンジニアに対して問題解決に必要なマニュアルをチャット画面(本図の右)に提示しながら、一緒に問題解決を行っていくということができる。


5Gショーケースでは、ネットワークの状態を監視する「監視システム」、ネットワークに対するアクションを実行する「自動システム」、チャットと連携して作業フローを実行する「連携システム」がChatのBOTと連動しており、全ての操作をChatから実行できる。例えば、ネットワーク障害が発生した際、まずは監視システムが障害を検知し、連携システムのフローに従い、オペレータがChat経由で復旧対応の指示を出し、自動化システムで障害を自動的に復旧させる。5Gショーケースでは、この一連の流れを見ることができるという。

 最後に山田氏は「5Gを活用してデジタル変革を推進していくためには、5G接続による高速通信を実現するだけでは不十分だ。今回ご紹介したようなセキュリティ、自動化、可視化は必要不可欠であり、様々なユースケースの創出と、ユースケースに合わせたアプリケーションの開発も同時に行っていく必要がある。シスコ5Gショーケースのエンド・ツー・エンドの5G環境を活用して、お客様、パートナー様と一緒に、新しい価値創出を加速していきたい」との考えを示した。

シスコ5Gショーケースにより、新しい価値創出を加速。

レポート目次

日本の5Gにおけるシスコの主な実績
開発戦略と環境への取り組み
シスコ5Gショーケース アップデート
・シスコ5Gショーケースのソリューション例

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