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SENKOがOFC2017にてCSコネクタを全世界に発表

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次世代コネクタのデファクトスタンダードを狙う

 光コンポーネンツベンダの扇港産業(SENKO)は、先月アメリカ・ロサンゼルスで開催されたOFC2017にて次世代大容量伝送用の新型コネクタとなる「CSコネクタ」を発表した。同コネクタはBeyond 100G時代の次世代トランシーバの有力MSAとなるQSFP-DDやOSFPの各ベンダ間においても概ね好意的に受け止められており、次世代コネクタのデファクトスタンダードとなる可能性を秘めている。

需要急拡大する次世代大容量デバイス・コンポーネント

 現在の大容量伝送におけるニーズは、100Gbpsを超えて、200G,400G.1Tとその要求は日増しに高まっている。光通信業界では、現在データセンタ関連、特にデータセンタ間(DCI; Data Center Interconnection)と呼ばれるミドルレンジ伝送のトランシーバ出荷がかなりの活況を呈している。100G周辺の光トランシーバではQSFP28を主流にトレンドが収斂してきたかのように見えるが、さらなる大容量伝送を目指す次世代光トランシーバMSAの主導権争いは激化を極めて状況だ。200/400Gにおいては、現在QSFP-DD、OSFP、CFP8が先行争いをしているが、おそらく使用ケースによって各々棲み分けの形をとるのでないかとも言われており、すでに公表されたスペックを元に、各モジュールメーカーが開発を進めている。
 トランシーバへと接続して大容量データを伝送することとなるコネクタにおいても、LCやMPOコネクタ等の多心コネクタを含め仕様の検討が進められている。そのような中で、SENKOが新しく世界へ提案を図ったのが、「CSコネクタ」だ。同コネクタは、LC二心コネクタの後継として開発されたもので、LCと同様のフェルール(1.25mm)を使用しているがLC二心コネクタよりもさらに小さく使い勝手の良いメカニカルな特長を有する。先月開催のOFCにおいて、SENKOはCSコネクタを初展示し好評を博した。同社は、昨年よりQSFP-DDとOSFPの両MSAにて議論を進め、両仕様にてCSコネクタの採用が決定している。TOSA/ROSAなどのトランシーバ内の部品サイズなどを考慮し、フェルールピッチは3.8mm、全幅は7.85mmとなる。これはLC二心コネクタに比べ約35%の省スペース化を達成しており、両仕様のフットプリントに2つのCSコネクタを収め、LCフェルールベースで4チャンネルの接続を可能とした。両次世代トランシーバには2ペアのTX/RXを搭載する2X(Dual)タイプが必要とされており、4チャンネルを1モジュールに接続可能なCSコネクタが必要とされている。その他CSコネクタには高密化や利便性のために様々な工夫がなされており、長期間SC/LCコネクタ製造・開発に関わっていたSENKOならではの技術力がうかがえる。

CSコネクタ

CSコネクタ開発の背景

 「元々のスタートラインは、「SFPの幅13.5mmはLCコネクタの幅12mmに寸法的足し算をした結果で決定された。つまり、コネクタ側の寸法を小さくできれば、トランシーバの寸法もさらに小さくできるのではないか」という発想だ。ならば、我々コンポーネンツベンダとしてはもっと出来ることがあるはずだと考えて、各機器・デバイスメーカーの意見を吸い上げ、数種類の新コネクタの提案を続けていた頃、QSFP-DDの2X(Dual)のアプリケーションと重なることもありMSAにお声掛けを頂き、メンバーと協力しつつ、より具体的な提案に向けて動き出した。今後は詳細な仕様を詰めIECやTIA/EIAへの標準化を進める一方、SENKOの第三者試験機関での試験や研磨機/検査機の冶具開発も進め、コネクタライセンス供与についても検討している」とSENKO光グループ課長西口雄貴氏は語っている。SENKOは、光通信事業を始めた頃からSC,LC等の標準品の製造販売をメインに行っていたが、ここ10年パッシブ部品の開発に注力しており、技術開発部門も大幅に拡充している。今回のCSコネクタ開発は、同社が開発型企業となったひとつの証左とも言える。
 「Beyond 100G等モジュール側が日進月歩で進化する中、コネクタ側も進化すべきだ。トランシーバ向けだけでなく、パッシブ部品の新規開発が必要とされる場面は今後出てくるはずで、そのすべてに全力で対応する」と同社は意気込みを熱く語る。
 データセンタのパッチングやオンボードオプティクス等も含め、大幅な高密度化を可能とする「CSコネクタ」は、LC,MPOに次ぐ次世代コネクタのデファクトスタンダードのひとつに名乗りを上げてくるかもしれない。

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