Nokiaが、データセンタ スイッチファミリ全体でエンド・ツー・エンドのUltra Ethernetテストを成功させ、AI対応データセンタ ネットワークにおけるリーダーシップを強化
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Nokiaは10月1日(エスポー)、Keysight Technologiesと共同で、Nokia 7220インターコネクト ルータ(IXR)および7250 IXRを含む高性能 データセンタ スイッチング プラットフォーム ファミリ全体にわたるUETトラフィックのエンド・ツー・エンド テストに成功したことを発表した。
Nokiaは「このテストは、NokiaがUltra Ethernet Consortium(UEC)仕様1.0の機能をHPC/AI対応ネットワーク ポートフォリオに統合するというコミットメントと互換性があることを実証するものであり、AI時代を見据えた最新データセンタ向けに、極めて大規模でロスレス、低遅延のネットワーク構築におけるNokiaのリーダーシップを強化するものだ」と説明している。
AIは、データセンタ運用の根本的な見直しを推進している。リアルタイムのトレーニングと推論には超低遅延が求められ、わずかなパケットロスでさえトレーニングジョブを中断させ、完了を遅らせる可能性がある。膨大な帯域幅の要求も重なり、既存のデータセンタ ネットワークは限界に近づいている。
Ultra Ethernet Consortium(UEC)仕様1.0は、HPC/AIが生み出す複雑な問題を解決するための新しいUETレイヤを定義している。世界中のほとんどのデータネットワークで広く採用されているイーサネットは、AIおよびHPCワークロードをサポートする新しい標準、ベストプラクティス、アーキテクチャを備えたAIデータセンタ ネットワークを近代化するための魅力的なプロトコルだ。UECの積極的なメンバーとして、NokiaはUETをAIおよびHPCアプリケーションスタックの互換性、費用対効果、相互運用性に優れた構成要素として活用することに尽力している。
Keysightのネットワークアプリケーション&セキュリティ事業担当ヴァイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーであるRam Periakaruppan氏は「ネットワーク技術は、大規模AIクラスターの需要に応えるため、急速に進化している。Ultra Ethernetは現在開発が進められているアプローチの一つであり、PHY/リンク層からトランスポート層、アプリケーション層に至るまでの革新により、10万台以上のAIクラスターを支える次世代スケールアウト・ファブリックを実現する。Keysightは、UECワーキンググループの共同リーダーとして、仕様の実用性、検証可能性、そして相互運用性を確保することに貢献している。早期の相互運用性確保への取り組みにより、AIの普及を加速し、次世代のイノベーションの波を切り拓いている。Nokiaとの今回のテストは、AI向けネットワークの進化における重要なマイルストーンの一つだ」とコメントを出している。
Nokiaのソフトウェア製品管理部 ヴァイスプレジデントであるRudy Hoebeke氏は「AIは、AIデータセンタ ネットワークにおける期待パフォーマンスにおいて、大きな変革をもたらしている。Keysightと共同で実施した、Nokiaの7220 IXRおよび7250 IXR製品ファミリを介したUETトラフィックのデモンストレーションの成功は、UECへの当社のコミットメントを示すものであり、Nokiaがこの進化におけるリーダーであり、HPC/AI対応データセンタ ネットワークにおいて業界で最も堅牢なポートフォリオの一つを備えていることを明確に証明している」とコメントを出している。

Nokia 7220 IXR-H5
本テストでは、KeysightのAresONE 800GE-8P-QDD-Mテストプラットフォームによって生成されたUETトラフィックフローを用いて、800GEインターフェースを評価した。ネットワークはNokia 7220 IXR-H5および7250 IXR-10eの全バリエーションで構成され、これらのNokiaスイッチはSR Linux NOS上で動作した。
Nokiaは「HPC/AIネットワーク向けのNokiaデータセンタ ファブリック ソリューションにUEC仕様1.0の機能を統合しており、世界中のお客様は、Remote Direct Memory Access over Converged Ethernet(RoCEv2)とData Center Quantized Congestion Notification(DCQCN)をサポートする、AI対応かつUEC互換のポートフォリオをすぐに商用利用できる。RoCEv2 の現在のサポートも同じテストベッドで 800 GE フローで並行してテストされており、共存、オープン性、柔軟性が実証されている」と説明している。
編集部備考
Nokiaが今回実証した「UETによる低遅延・無損失アーキテクチャ」や「製品ファミリ横断のテスト」は、AI時代に向けてデータセンタ ネットワークがどう進化すべきかを先取りする動きと言える。これまでの延長線ではなく、次世代の要件を先に形にしたという点に独自性があり、AI対応ネットワークの未来像を垣間見せている。
そのテストにおいて、Keysightというテスト&測定のリーディング ベンダと共同で検証を実施し、かつ全スイッチファミリを対象としたことは、単なるラボレベルの実験ではなく、信頼性を確保した上で市場投入に備える段階に入ったことを意味する。特定モデルや単一構成での実証に留まらず、幅広い製品ラインアップでの実現性を示した点は、導入検討中の事業者に安心感を与えるだろう。
今回の成果は単発の技術実証にとどまらず、先日発表されたNokiaとNscaleが進めるAIインフラ連携において、重要な位置づけを持つ可能性がある。Nscale のエコシステムにおいて、GPUや光インターコネクトと並び、AI基盤の根幹を支える“低遅延ネットワーク”という役割を明確に担おうとしているからだ。CiscoやHPE/Juniperといった有力ベンダが存在するデータセンタ スイッチ市場で、NokiaがAI対応データセンタで独自の強みを発揮することは、ユーザにとって選択肢が広がり、競争原理が働くことで市場全体の活性化につながるだろう。
今回のリリースは、NokiaがAI時代に向けた先行的な布石の一つとしてUltra Ethernetに取り組み、リーダーシップを強化していく姿勢を示した。Keysightとの共同検証という市場投入への本気度や、Nscaleとの連携も含めて考えると、ヨーロッパ、北米、中東における戦略的な意味を帯びてくることも予感させる。今回の成果が、AI対応データセンタ市場においてどのように実を結び、存在感を高めていくのか。今後の展開に期待したい。