Celesticaが、AI/ML クラスターを強化する 1.6TbE データセンタ スイッチの新ファミリーを発表
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Celesticaは10月10日(トロント)、1.6TbEデータセンタ スイッチ2機種として、DS6000およびDS6001を発表した。
同社は「これらの先進的なスイッチは、高帯域幅のAI/MLデータセンタ アプリケーションをサポートするように設計されている。Celesticaは、DS6000/DS6001の仕様をOCPコミュニティに提供し、OCP Inspired認定を受けてOCPマーケットプレイスに掲載する予定だ」としている。
DS6000:従来型の空冷式データセンタ設備向けの、3RU、64ポートx 1.6TbEデータセンタ スイッチ。
DS6001:21インチOCP ORv3ラックをベースとしたハイブリッド冷却ソリューションを提供する、2OU、64ポート×1.6TbEスイッチ。
両スイッチとも、最新のBroadcom Tomahawk 6 (TH6)スイッチ チップセットを搭載し、最大102.4Tbpsのスイッチング容量を提供する。DS6000とDS6001は、Celesticaの高性能データセンタ スイッチポートフォリオに新たに追加された製品であり、市場をリードするCelesticaの既存の800Gソリューションと比較して、スイッチ容量が2倍になっている。また、AIクラスターのニーズを満たすように設計された包括的なAIルーティング機能と相互接続オプションも備えている。
Celesticaのポートフォリオソリューション&AIプラットフォームエンジニアリング担当SVP兼GMであるGavin Cato氏は「新しい1.6Tスイッチの導入は、Celesticaとお客様にとって重要なマイルストーンとなる。DS6000とDS6001は、高性能ネットワーキングの新たな時代を象徴する製品であり、現行製品のスイッチング容量を倍増させ、AI/MLクラスターアプリケーションの需要に特化して設計されている」とし、「OCP Global Summitでこれらのイノベーションをご紹介し、オープンネットワーキング エコシステムをリードするという当社のコミットメントを示すことを誇りに思っている」とコメントを出している。
DS6000は、最高のパフォーマンスを求めるデータセンタの顧客に対し、次の重要なメリットを提供する。
・224G SerDesレーンとLPO/LRO光モジュールのサポートによる102.4Tbpsの容量
・64個の1.6TbE OSFPポートによるパフォーマンス
・50/100/200/400/800GbE対応ポート速度による柔軟性
・冗長化されたフィールド交換可能なファンとホットスワップ可能な電源による信頼性
・順方向および逆方向のエアフロー構成オプション
DS6001は、DS6000と同等のネットワークパフォーマンスを維持しながら、空冷と液冷を組み合わせたハイブリッド冷却環境で動作するように設計されている。ラック密度がわずか2UのDS6001は、21インチOCP ORv3ラックで動作するように設計されており、エネルギー効率と電力使用率を最適化しながら最高のパフォーマンスを実現する。
Celesticaの他のスイッチングソリューションと同様に、DS6000とDS6001はオープンソースのネットワーク オペレーティング システム(NOS)アプローチをサポートしている。これは、Celestica Solutions for SONiCおよびその他のSONiCディストリビューションを使用することで実現される。これらは、データセンタからエッジまで、様々なユースケースで実稼働環境への導入を可能にする、オープンソースで検証済み・サポート済みのNOSとなる。
DS6000は、Celesticaのオープンネットワーキング プラットフォームの重要な追加製品として、OCP Global Summit 2025(10月13日~16日:カリフォルニア州サンノゼ)のブースで展示される。
Broadcomのコアスイッチンググループ担当SVP 兼 ゼネラルマネージャーであるRam Velaga氏は「Celesticaが当社の最新チップセットTomahawk 6を活用し、画期的なスイッチを市場に投入してくださったことを大変嬉しく思っている。Tomahawk 6は驚異的なスイッチング容量を提供し、現代のAI/MLワークロードに求められる極めて高い帯域幅と低レイテンシの要件を満たすように設計されている。Cognitive Routing 2.0などの機能に加え、スケールアップとスケールアウトの両方のネットワークトポロジーをサポートするこのチップセットは、次世代の大規模AIクラスターを支える基盤として構築されている。Celesticaの新製品DS6000スイッチとハイブリッド冷却方式のDS6001スイッチは、AI時代に真に最適化されたソリューションを提供するための両社の協業によって実現されるイノベーションを体現している」とコメントを出している。
Dell’Oro Groupのリサーチ担当ヴァイスプレジデントであるSameh Boujelbene氏は「Celesticaによるこれらの新しい1.6Tスイッチの導入は、高速およびAIネットワークにおける同社の確固たるリーダーシップを力強く前進させるものだ。2024年Dell’Oro Market Share Leader Awardsを『Ethernet Switch – AI Networks』と『High-Speed Networks (> 800 G)』の両方で受賞したCelesticaは、AIインフラストラクチャの膨大な需要に応える能力を既に証明している」とし、「102.4Tbpsという驚異的な容量を備えたDS6000およびDS6001スイッチは、CelesticaがAIネットワークの将来のニーズへの対応において、引き続き最前線に立っていることを示している」とコメントを出している。
650 Groupの創設者 兼 テクノロジーアナリストであるAlan Weckel氏は「この新しい1.6Tスイッチファミリーは、特にミッションクリティカルなエンタープライズ環境におけるデータセンタ ネットワークのリーダーとしてのCelesticaの地位をさらに確固たるものにしている」とし、「Celesticaを含む多くの企業がハイパースケーラーに注力する中、Celesticaはエンタープライズ顧客の独自のニーズを深く理解していることも実証している。これらの顧客は、単なるスピードだけでなく、揺るぎない信頼性と堅牢なエコシステムを求めている」とコメントを出している。
編集部備考
■今回Celesticaが発表した1.6 TbEスイッチは、Broadcomが10月8日に発表したCPO版Tomahawk 6 – Davissonとは異なり、LPO/LRO(Linear Pluggable Optics / Linear Receive Optics)を用いたプラガブル構成となる。
どちらもTomahawk 6アーキテクチャをベースにしているが、前者はCPO実装による将来技術の方向性を示すモデルとしてハイパースケーラー向け、後者は量産・実装可能な現行ソリューションとしてハイパースケーラーおよびエンタープライズ向けと位置づけられそうだ。両者の棲み分けは、今後の1.6T市場を象徴する流れの一つとして注目したい。
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■今回のCelesticaの動きは、102.4 Tbpsのスイッチング容量を持つ1.6T対応データセンタスイッチを、ハイパースケーラーだけでなくエンタープライズ顧客にも提案できる点が興味深い。
CelesticaはもともとEMS(設計・製造・供給チェーンマネジメント)企業としての基盤を持ち、ハードウェアプラットフォーム構築や量産化支援に強みを有する。このため、ハイパースケーラー向けの大規模案件でも設計協調や量産スケールを担える体制を整えやすい企業と言える。
一方で、CelesticaはSONiCをはじめとするオープンネットワーク対応ソフトウェアスタックをサポートしており、カスタマイズ性やベンダロックイン回避を重視するエンタープライズ層にも訴求力がある。販路についても、同社は2025年2月の公式Blogで、EPS Globalとの提携により主要な世界市場のエンタープライズ顧客に向けてネットワーキングおよびストレージ製品の販売拡大を進めていると述べている。
ハイパースケーラー市場で培った実績を背景にしつつ、エンタープライズ市場でも実績を伸ばしたCelesticaの姿勢は、ハイパースケーラー依存リスクを低減するバランス型の戦略と捉えられる。その同社がBroadcomのTomahawk 6チップセットを搭載した最新スイッチプラットフォームを発表したことで、「102.4 Tbpsという最新世代のスイッチをエンタープライズ市場にも提案できる流れが強まった」と言える。
ニュースリリース内で650 GroupのAlan Weckel氏が指摘するように、エンタープライズ顧客は揺るぎない信頼性と堅牢なエコシステムを求めている。ハイパースケーラーとエンタープライズの双方に精通するCelesticaの取り組みは、1.6T時代のスイッチ市場において裾野を広げる推進力となることが期待される。