エジプト政府機関が、エジプト全土のICTおよびデジタルサービス部門を発展させるため、Ericssonと覚書を調印
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Ericssonは11月11日、エジプト政府機関の情報技術産業開発庁(ITIDA)と、3年間にわたる協力関係を強化し、エジプトのICTおよびデジタルサービス産業の発展を支援するための覚書(MoU)を締結したと発表した。
この協力は『Digital Egypt Strategy for Offshoring Industry 2022–2026』に沿って、エジプト全土におけるICT技術とサービスの強化に向けた共同の枠組みを構築するものとなる。
Ericssonは「この取り組みは、エンジニアリング、研究開発(ER&D)、ビジネスプロセス管理(BPM)、ナレッジサービス(KS)といった分野における事業拡大の可能性を支援するものだ。エジプト首相のMostafa Madbouly閣下ご臨席のもとで、覚書を締結した」としている。
この覚書には、デジタルスキル研修プログラム、就職フェア、業界イベントにおける協力に加え、若者、卒業生、学生を支援するための大学との連携が含まれている。これらの活動は、ITIDAと通信情報技術省の戦略と整合している。
EricssonとITIDAは、これまでも新興技術に関するセミナーや能力開発の取り組みで協力してした。
エジプトの通信情報技術大臣であるAmr Talaat博士は「Ericssonとの今回の合意は、エジプトのオフショアリング分野への投資を拡大する、グローバル企業および地元企業55社との包括的なパッケージの一環であり、エジプトの高度なスキルを持つ労働力、先進的なデジタルインフラ、そして戦略的な地理的優位性を活用している。これらの競争優位性は、エジプトが信頼できるグローバルパートナーとしての地位を強化し、企業が世界クラスのデジタルサービスを提供できるようにすることで、エジプトから世界へと成長していく力となる」とコメントを出している。
ITIDAのCEOであるAhmed El-Zaher氏は「ITIDAでは、新たなセンターの開設や拡張は、ITIDAの成長と、その潜在能力を最大限に発揮するためのコミットメントと捉えている。Ericssonとの覚書は、グローバル・オフショアリング・サミットで締結された他の覚書と同様に、世界のテクノロジーリーダーがエジプトのビジョンと人材に信頼を寄せていることを反映している。エジプトは、サービス提供の拠点から、高付加価値デジタルサービスにおける戦略的グローバルパートナーへと進化を遂げた」とコメントを出している。
Ericsson North Middle-EastのプレジデントであるKevin Murphy氏は「ITIDAとの今回の協業を通じて、長年にわたる関係と、エジプトのデジタル能力向上に向けた共通のコミットメントをさらに強化していく。共に、地元の人材に新たな機会を創出し、持続可能でイノベーション主導のICTセクターの基盤強化をめざす」とコメントを出している。
このパートナーシップは、Ericssonとエジプトの長期的な関係、そして政府関係者にとっての戦略的パートナーとしての役割を強化するものだ。この協業を基盤として、Ericssonは引き続きイノベーションを推進し、5Gおよび高度なデジタルソリューションの導入を加速させ、急速に発展するエジプトのICTセクターに最先端のグローバルテクノロジーを提供していく。
Ericssonは「この協業を通じて、エジプトの“Vision 2030”に沿って、エジプトのデジタルトランスフォーメーションを支援し、青少年育成と国家の成長に貢献することをめざす」としている。
編集部備考
エジプト政府は、行政・教育・産業の三位一体でデジタル化を進める「Digital Egypt」構想を掲げ、ICTを次世代の成長エンジンに据えている。行政手続きや公共サービスのオンライン化に加え、ICT人材の育成と輸出産業化を柱とし、欧州・中東・アフリカを結ぶ地理的優位や英語話者の多い若年層を背景に、グローバル企業の開発拠点誘致を進めている。こうした環境整備を担う中心機関が、情報技術産業開発庁(ITIDA)だ。
今回、EricssonとITIDAが締結した協力覚書(MoU)は、エジプトのICT分野における人材育成を国際的な水準へと引き上げる取り組みといえる。Ericssonは「Ericsson Educate」や「Connect to Learn」など、各国政府や大学と連携した教育プログラムを通じ、AI、IoT、5Gなど次世代通信技術の知識を学生や若手技術者に提供してきた実績を持つ。これらのプログラムは社会貢献だけでなく、通信産業の基盤強化と地域経済の高度化に直結している点に特徴がある。
エジプトのICT戦略とEricssonの教育プログラムには、高い親和性が見られる。政府が掲げる「知識経済への移行」や「グローバルIT人材供給国化」という方針は、Ericssonの実践的な教育支援モデルと方向性を同じくする。今回のMoUは、研修枠組みにとどまらず、エジプトが通信・デジタル分野で国際的なハブとなるための人的基盤を築く契機として位置づけられるだろう。
今後は、こうした国際的パートナーシップを通じて、エジプト発のICTスタートアップやサービス産業の成長が加速することが期待される。若年層が高付加価値のデジタルスキルを身につけることで、国内の雇用創出にとどまらず、地域全体のデジタル化を牽引する存在となる可能性もある。デジタル教育を軸にした持続的な産業発展モデルは、AI時代の発展と共に重要性を増していくだろう。




