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Ericsson、Far EasTone、OPPOが、差別化された接続体験を実現するためのAIドリブン5G SAエコシステムを実証

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 Ericssonは2月6日、Far EasTone、OPPOとの共同による、モバイルネットワーク、デバイス、アプリケーションを網羅する統合型5Gスタンドアロン(SA)エコシステムの検証に成功したと発表した。

 これにより、差別化された接続性と新たなB2B2Cビジネスモデルが実現する。プログラマブル5G SAネットワーク、アプリケーションレベルのネットワークスライシング、デバイス搭載AIを組み合わせることで、5G SAが優れたアプリケーション エクスペリエンスを提供しながら、パフォーマンス ベースの接続サービスを実現する方法を実証する。
 このユースケースの共同デモンストレーションは、MWC2026(3月2日~5日:バルセロナ)のEricssonブースで展示される。

過酷なネットワーク環境下におけるパフォーマンスベースの差別化された接続性の検証
 今日の消費者向けモバイルサービスは、主にベストエフォート方式で提供されており、トラフィック量が多い状況ではエクスペリエンスが低下する可能性がある。Ericsson ConsumerLabの調査によると、消費者の40%以上が保証されたネットワークパフォーマンスを選択する場面を認識しており、そのうち約半数がその対価を支払う意思があると回答している。

 今回の検証は、台北ドームで開催された4万人規模のコンサート中に、Far EasToneのライブ5G SAネットワークを使用して実施された。この高密度環境において、差別化された接続性により、ユーザはピーク時でも、シームレスなソーシャルメディア共有、ライブストリーミング、遅延の影響を受けやすいインタラクションなど、信頼性が高くパフォーマンスが保証されたエクスペリエンスを維持することができた。

 この機能は、ネットワーク、デバイス、アプリケーションの緊密な統合によって実現される。デバイス上のAIは、アプリ内ユーザエクスペリエンスの低下をリアルタイムで検出し、階層化APIアーキテクチャを介して、ユーザ機器ルート選択ポリシー(URSP)に基づくアプリケーション スライシングと関連する無線リソースポリシーを動的に有効化する。これにより、CSPは新たな差別化されたサービスと収益機会を実現できる。

 Far EasToneのプレジデントであるChee Ching氏は「Far EasToneとEricssonは長年にわたるパートナーであり、ユーザのネットワーク体験を継続的に向上させるために緊密に連携してきた。OPPOとの協力により、低遅延かつ高効率なカスタマイズされた5G接続を実現し、大規模なコンサート環境における革新的な差別化接続サービスを検証できることを嬉しく思っている。Far EasToneユーザには、より高度で高品質な5Gサービスを提供し続けていく」とコメントを出している。

 Ericsson TaiwanのプレジデントであるDavid Chou氏は「5G SAは、大規模な差別化接続の基盤を提供し、ネットワークスライシングと標準化されたAPIを通じてパフォーマンス保証を実現する。今後は、CSPが5G SAの潜在能力を最大限に引き出し、ネットワークパフォーマンスを安心して収益化できる商用サービスへと変革し、持続可能な長期成長を促進できるよう支援することに注力していく」とコメントを出している。

エコシステム連携による商用化と新たなB2B2Cモデル推進
 今回の検証は、エコシステム連携が差別化接続の商用化を加速し、新たなB2B2Cビジネスチャンスを創出できることを実証している。アプリ内オンデマンドの接続アップグレードを可能にすることで、エコシステムはスケーラブルなコラボレーションモデルを確立し、パフォーマンスベースのサービスの市場投入までの時間を短縮する。

 将来的には、このモデルは、様々な利用パターンやサービス要件に合わせて調整されたアプリケーション固有のエクスペリエンス指標をサポートする。遅延の影響を受けやすいゲームや高解像度のライブストリーミングから、大規模イベントでのリアルタイム共有まで、AIを活用したオンデマンドのパフォーマンスアップグレードにより、ユーザは必要な時に正確に高品質な接続を利用できるようになる。これにより、5G SAは、高い商業的可能性を秘めた、スケーラブルでエクスペリエンス重視のサービスのためのプラットフォームとして、その価値をさらに高める。

 OPPO Taiwan AEDのCEOであるVincent Liu氏は「この先駆的なエコシステム コラボレーションは、差別化されたアプリケーション エクスペリエンスを提供するOPPOの先進的なAI LinkBoost@5G+の強みを存分に発揮している。OPPOは、継続的なイノベーションを通じてコミュニケーションの進化に取り組んでいる。AIを活用したリアルタイムでオンデマンドのアプリ内パフォーマンス強化を実現し、最も重要な時に優れたユーザエクスペリエンスを提供するこのコラボレーションに参加できることを誇りに思っている」とコメントを出している。

 Ericsson、Far EasTone、OPPOは、差別化された接続の普及拡大に向けた協業モデルを通じて、技術準備の成熟度を実証する。ネットワーク、デバイス、アプリケーションを統合することで、この協業はSAの明確な商業的可能性を浮き彫りにする。通信サービスプロバイダは差別化されたサービスを通じてパフォーマンスレベルを収益化し、デバイスメーカーはハードウェアとソフトウェアの機能を解放し、ユーザには一貫して向上したパフォーマンスとエクスペリエンスを提供できるようになる。

編集部備考

■5G SAは高速・低遅延ネットワークの延長だけではなく、「体験制御インフラ」へと進化しつつある。Ericsson × Far EasTone × OPPOによる協業事例は、ネットワーク制御、商用網、端末UXが統合設計され、イベント空間においてユーザ体験そのものをネットワークが規定する構造を実証した点で象徴的だ。
 では、こうした5G SA時代は、従来とは何が異なるのか。最大の違いは、ネットワークがQoS制御、スライシング、ポリシー制御、位置情報、遅延保証といった“体験条件そのもの”をAPIとして提供できる点にある。これにより、アプリ側は従来のベストエフォート前提では設計できなかったリアルタイム性・没入性・同期性を前提にしたUXを構築できるようになる。ここで通信事業者は、通信路の提供だけではなく、「体験条件を規定する制御レイヤ」の提供者として、新たな戦略的ポジションを得る可能性がある。
 5G SAが体験制御インフラになることで、通信事業者は「ネットワーク制御APIという共通基盤を誰よりも深く理解し、安定的かつ高品質に提供できる事業者」としての地位を確立できる。この構造の中では、一般消費者向け市場においては先行者利益を抑えつつ従来通りオープンプラットフォーム型でアプリ事業者と共存する二層構造となる一方、特定領域(エンタープライズ、公共、ミッションクリティカル分野など)では共同設計型モデルを採り「体験条件そのものを設計する中核」という強力なポジションを担うことも可能だ。
 Ericsson × Far EasTone × OPPO事例の本質は「体験条件そのものを設計可能な制御レイヤが、ネットワーク側に実装された」という構造転換の実証にある。この構造転換は、「様々な産業の効率化」や「イベント空間のユーザエクスペリエンス向上」に寄与するものであり、新たなマネタイズを生み出す戦略資産を通信事業者にもたらすことが期待できる。