SmarToneが、Ericsson の5G Advanced技術でネットワーク強化
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Ericssonは2月3日、香港の通信サービスプロバイダ(CSP)であるSmarToneが、ネットワーク強化の一環でEricssonと提携したと発表した。
本提携でEricssonは5G Advancedのテクノロジー プロバイダとして、SmarToneの高性能プログラマブルネットワーク実現に向けた新たなRAN機能の導入をサポートする。
Ericssonは「プログラマブルネットワークは、ネットワーク機能とリソースを動的かつアジャイル、そして適応力に優れた制御を実現する次世代通信プラットフォームだ。インテリジェントな自動化、インテントドリブンな運用、AI、そしてオープンで階層化された水平アーキテクチャを採用している。これらの機能により、特定のビジネス目標やユーザニーズに合わせてパフォーマンスを最適化する、カスタマイズされた接続ソリューションの開発が可能になる」と説明している。
運用目標を定義する高レベルのインテントに基づいて、トラフィックの優先順位付けやサービスの最適化などの構成を自動的に調整する機能は、プログラマブルネットワークの重要な機能だ。これらの機能により、CSPは保証されたサービスレベル契約(SLA)に基づき、差別化された接続性を提供できるようになる。その結果、ユーザエクスペリエンスが向上し、ビジネス価値が高まる。SmarToneが導入するEricssonの最新世代無線機は、パフォーマンスの限界を押し広げ、総所有コスト(TCO)を削減し、消費電力の削減を通じて持続可能性を高めるネットワークを提供するように設計されている。
SmarToneは下記の製品を導入する。
・業界をリードするエネルギー効率と軽量化を実現した最新のMassive MIMO無線機は、導入が容易で運用コスト(Opex)も抑えられる。導入予定のモデル(AIR 3255)は、前世代製品と比較してエネルギー消費量を30%、CO2排出量を20%削減している。
・優れた性能と電力効率を備えた超軽量(24kg)のトリプルバンド マクロ無線機は、SmarToneのネットワークカバレッジと容量を同時に向上させる。
その他の機能としては、EricssonのLocal Packet Gatewayを介して提供されるモバイル エッジ コンピューティングがあり、地理的な冗長性を備えた安全でプライベート、かつ高可用性のサービスを提供する。これには、企業向け固定無線アクセス(FWA)向けのスケーラブルなユーザプレーン機能(UPF)に加え、家庭向けブロードバンドユーザ向けの高可用性・柔軟性に優れたUPFソリューションも含まれる。
今回の新たな契約には、Ericsson Network Exposureポートフォリオの製品も含まれており、Cloud Core Exposure ServerとEricsson Network Locationを通じて、SmarToneの主要なネットワーク機能を厳選されたパートナーに安全に公開することで、将来を見据えた位置情報ベースのユースケースの導入を支援する。
差別化された接続性を提供することで、SmarToneは消費者や企業に提供するサービスレベルと価格帯を一致させることも可能になる。例えば、ネットワークスライシングを活用することで、ネットワークが最も必要とするタイミングにおいて、オンデマンドでサービス品質を向上させることができる。
SmarToneのCTOであるStephen Chau氏は「近年、ネットワーク容量と品質の向上が必ずしも収益の増加に直結するとは限らない。だからこそ、ネットワークの収益性を高め、運用コストを削減できる技術を進化させることが重要だった。Ericssonの新しい5G Advanced技術によって、それを実現することをめざしている」とコメントを出している。
Ericsson Hong Kong and MacauのプレジデントであるPeter Fung氏は「プログラマブルネットワークはソフトウェアで管理できるため、ネットワークの動作やサービスの開始方法を迅速に変更し、柔軟に制御できる。また、新サービスの迅速な展開と運用コストの削減にもつながる。SmarToneが香港の消費者と企業にメリットをもたらす、より強力でアジャイルなネットワークを構築するお手伝いができることを大変嬉しく思っている」とコメントを出している。
編集部備考
■5G Advancedのメリットは、これまでベンダ側から数多く語られてきた。例えば「SDNやNFVによる運用の高度化・効率化」「ネットワークスライシングやAPIによる新たなマネタイズ機会の創出」などだ。そうした技術的価値を、運用者の視点から端的に示しているのが、本ニュースにおけるChau氏の次のコメントだ。「近年、ネットワーク容量と品質の向上が必ずしも収益の増加に直結するとは限らない。だからこそ、ネットワークの収益性を高め、運用コストを削減できる技術を進化させることが重要だった。Ericssonの新しい5G Advanced技術によって、それを実現することをめざしている」
通信の運用史を振り返ると、「通信と放送の融合」という言葉が注目されたのは約20年前となる。その頃から、放送業界はテレビ離れと向き合うことになり、一方で通信の世界では映像伝送需要が拡大した。この時代には、ネットワーク容量と品質の向上が収益の増加に比較的素直に結びついていた。この構図は4Gの整備期まで続いたが、5Gを本格展開してみると、「容量や品質の向上が必ずしも収益増につながらない」と感じる運用者が増えたように見える。
これは5Gそのものに課題があるというよりも、「ネットワーク容量と品質の向上が収益の増加に直結する」というニーズとシーズのバランスが、4Gまでの時代においてのみ成立していたと捉える方が適切だろう。動画視聴環境として5Gを必要とするユーザは数多く存在するものの、4Gよりも高額な料金を支払うかどうかというフィルタが生じたことで、ニーズとシーズの均衡が崩れた可能性がある。
この観点で5Gから5G Advancedへの移行を捉えると、それは「より速い5G」だけではなく、「より稼げるネットワーク運用モデル」への進化段階と位置付けられる。今回のSmartoneとEricssonの事例では、「容量増強」よりも、「運用の自動化」「ネットワークスライシング等による差別化」が強調されており、これは「設備投資を抑制しつつ、収益構造を改善する技術世代」としての5G Advanced像を示している。
4Gが「速度性能競争」の世代、5G Advancedが「運用設計競争・用途拡大競争」の世代だとすれば、5Gはその過渡期に位置付けられる技術であり、速度性能競争のみに着目することの限界を運用者に突き付けると同時に、運用設計競争・用途拡大競争の基盤インフラとしての役割を担っていると言えるだろう。これは通信業界が内包する構造的現実であり、5G Advancedは、5Gを4Gの延長線上としてのみ捉えることのジレンマに正面から向き合う、最初の技術世代だと考えられる。





