Coherentが、Super C-band DWDMシステム試験をコンパクトな1台の機器で対応する「WAVEMAKER 4000A」を発表
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Coherentは3月4日(ペンシルベニア州サクソンバーグ)、伝送システム、トランシーバ、アンプ試験アプリケーション向けに、Super C-band全体にわたるDWDM試験スペクトルを生成するよう設計されたWaveMaker 4000Aプログラマブル光スペクトルシンセサイザを発表した。
同社は「コンパクトな1台の機器で、Super C-Band全域にわたる任意にプログラムが可能な光スペクトルを出力できるソリューションであり、陸上の長距離および海底ネットワークのシステム試験やトランシーバの検証をサポートする」と説明している。
本製品は、Flexgrid構成を含むプログラマブル グリッド上に高出力ノイズチャネルを生成し、変調チャネルに定義済みの光ノイズ負荷を適用することで、実際のネットワーク状況を再現する。直感的なグラフィカル ユーザ インターフェースとプログラミング インターフェースにより、自動テスト環境へのシームレスな統合が可能になり、コンパクトな設置面積はラックサイズのカスタムビルド システムを置き換え、ラボのスペースを節約する。
Coherentの光通信テスト装置担当シニアセールス&マーケティングマネージャーであるRalf Stolte博士は「WaveMakerは、増幅伝送システムやトランシーバのテストに必要な機能をすべて備えており、最小限の設置面積で提供されるため、システムテストのスピードアップとテストコストの削減に大きく貢献する」とコメントを出している。
WaveMaker 4000A/Super C-Bandは、OFC 2026(技術カンファレンス:3月15~19日。展示会:3月17~19日。ロサンゼルス)で発表され、8週間のリードタイムで注文可能だ。ブースでは、ライブデモンストレーションも実施される。
編集部備考
■近年、光通信分野ではSuper C-bandなど、従来のC-bandを超える光スペクトル拡張への関心が高まりつつある。これは、以前からAI/DCIトラフィックの増大を見据えた次世代光ネットワーク研究の文脈で検討されてきた領域であり、レーザ光源などの基盤技術も開発が進められてきた。実際、OFCでは数年前からSuper C-band対応の光モジュールが紹介されるなど、技術的な準備は着実に進んできた。
今回発表されたWaveMaker 4000Aは、こうした広帯域光ネットワークの評価環境を効率的に構築するための統合型試験装置となる。従来、Super C-bandを含むDWDMスペクトルの生成やネットワーク負荷の再現には複数の装置を組み合わせる必要があったが、本製品はそれらを単一装置に統合している。この効率化の発表を通信市場の変化と併せて考えると、Super C-bandモジュールの商用フェーズの立ち上がりを予感させる。
ニュース本文では、WaveMaker 4000Aの用途に関して「陸上の長距離および海底ネットワークのシステム試験やトランシーバの検証をサポートする」と説明している。これは、従来の通信インフラの延長線上としての光スペクトル拡張という側面もあるが、新たな役割であるAIを伝送するインフラとしての最適化が需要の背景にあると推察できる。大規模AI学習では膨大なデータを複数のGPUクラスタ間で同期する必要があり、その結果としてデータセンタ間通信(DCI)の帯域需要が急速に拡大している。AI時代のネットワークでは、従来のようにデータセンタ内部とデータセンタ間のネットワークを明確に分けて考えることが難しくなりつつあり、DCI自体が巨大な計算基盤を支えるバックボーンとして機能し始めている。このような状況では、既存のC-bandだけでは将来的な容量拡張に限界が見え始める可能性がある。利用可能な光スペクトルを拡張するSuper C-bandは、こうした帯域需要に対応する手段の一つとして位置付けられる。
Coherentは以前から、Super C-band対応の可変フィルタ「WaveShaper」を提供しており、これとASE光源、EDFA(増幅器)などを組み合わせることで、Super C-band対応DWDMスペクトル生成システムをラック装置として構築できる。このソリューションをコンパクトな1台の機器(single-instrument solution)で実現し、設定や操作もシンプル化したのがWaveMaker 4000Aであり、ニュース本文でStolte博士が述べている「増幅伝送システムやトランシーバのテストに必要な機能をすべて備えており、最小限の設置面積で提供されるため、システムテストのスピードアップとテストコストの削減に大きく貢献する」に繋がる。また、本文中で触れられている「自動テスト環境へのシームレスな統合が可能」という点は、近年の光トランシーバ評価において重要性が高まっている項目であり、ユーザ側のメリットは大きい。
光技術の成熟段階は
1:研究段階(レーザ、モジュール、光アンプ)
2:評価環境整備(テストベッド、エミュレーション装置)
3:商用展開(トランシーバ量産、ネットワーク導入)
と整理することができる。今回のニュースは「2:評価環境整備」が成熟段階に入りつつあることを示すものと考えられる。WaveMaker 4000Aの登場によって「3:商用展開」への移行が加速されるのか、あるいはWaveShaperを顧客に提供してきたCoherentが市場動向を見越してリリースしたのか。いずれにしても、Super C-bandという光スペクトル拡張が、研究テーマから実装検証フェーズへ移行しつつあることを示す一つの兆しと捉えることができるだろう。




