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FSが、AIおよびクラウドドリブン型ネットワークを支える新マルチプレクサでDCIポートフォリオを800Gに拡張

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 FSは8月24日(米デラウェア州ニューキャッスル)、データセンタ、メトロ、および地域ネットワーク向けに、データセンタ インターコネクト(DCI)ポートフォリオを800Gまで拡張する統合型800Gマルチプレクサ「D7070シリーズ」を発表した。

 FSの製品研究開発マネージャーであるBener Peng氏は「AIとクラウドワークロードの普及に伴い、拠点間トラフィックの増加が加速する中、お客様は既設インフラストラクチャを最大限に活用しながら需要に応じて拡張可能なDCIネットワークを必要としている。800G機能を導入することで、多様な伝送速度とマルチベンダ環境において、アジャイルで将来性のあるソリューションを提供する」とコメントを出している。

■DCI伝送を800Gまで拡張
 低消費電力と高信頼性を追求して設計された1U D7070シリーズプラットフォームは、100GbEと400GbEサービスを4つの800Gコヒーレント波長に集約し、合計3.2Tbpsの容量を実現する。このプラットフォームは、100G QSFP28、400G QSFP112クライアントプラグイン、および800G CFP2-DCOコヒーレント ライン プラグインを柔軟にサポートする。これにより、ネットワークは次世代の超高速コアネットワークと直接相互接続することが可能になる。

 D7070はハードウェア性能に加え、オープンなソフトウェアアーキテクチャと標準化された管理インターフェース(WebGUI/CLI)を備えている。これにより、サードパーティ製ネットワーク管理システム(NMS)とのシームレスな統合が実現し、マルチベンダ ネットワークの運用を大幅にシンプル化する。

■多様なシナリオに対応する、より幅広いDCIポートフォリオ
 FSの拡張されたDCIポートフォリオは、イーサネット、OTN、SONET/SDH、ファイバーチャネルといった様々なクライアントサービスをサポートする。FSは、以下の5つの専門ソリューションを提供する。

迅速な導入が可能な100Gポイント・ツー・ポイントDCI:D5110シリーズを搭載し、災害復旧やエンタープライズネットワーク向けに、最大120kmのリンクを迅速かつ自動的に構築できる。

セキュアな200G短距離・アクセスDCI:D710シリーズは、AES-256レイヤ1暗号化とマルチプロトコル対応を備えたコスト効率の高い200G OTNプラットフォームを提供し、セキュアなメトロネットワークを構築するのに適している。

高密度400G短距離DCI:コンパクトな1UサイズのD6000シリーズは、400G ZR/ZR+光モジュールをサポートし、データセンタやメトロネットワーク向けに、低遅延・高密度接続と柔軟な容量拡張を実現する。

400G中長距離DCI:D7000シリーズは、ファイバペアあたり最大19.2Tbpsの伝送速度を実現し、柔軟なサービスアクセスと光/電気構成により、メトロネットワークおよび地域ネットワーク全体でファイバ利用率を最大化する。

超高速800G DCI(新製品):D7070シリーズとFS 800G ZRチューナブルDWDM CFP2 DCOコヒーレントモジュールを基盤とし、高度なAIワークロード向けに比類のない拡張性とシンプル化された波長管理を提供する。

 FSは「今後もDCIの研究開発を推進し、高速伝送、インテリジェント光回線システム、そしてDCIポートフォリオ全体をFS AmpCon管理ソフトウェアによる一元管理下に置き、自動化されたエンド・ツー・エンドのネットワーク運用を実現することに注力していく」としている。

編集部備考

DCI、AIインフラを支える「コンピューティング間ネットワーク」の800G化

 今回の発表でまず注目したいのは、FSが800G対応のD7070シリーズを投入し、DCI(Data Center Interconnect)の帯域を100G~800Gまで拡張したことだ。D7070は100GbEや400GbEのクライアント信号を4本の800Gコヒーレント波長に収容し、1Uサイズで最大3.2Tbpsの容量を実現する。FSはその背景として、AIやクラウドワークロードの拡大に伴うデータセンタ間トラフィックの増加を挙げている。

 ここで重要なのは、800Gという数字そのものだけではなく、役割の拡大だ。AI時代には、GPUやストレージなどのコンピューティング資源を一つのデータセンタ内に配置するのではなく、複数の拠点へ分散して配置し、それらをネットワークで結びながら利用する構成が重要になる。そのためAIモデルの学習や推論では大量のデータを拠点間で移動させる必要があり、コンピューティング資源を増強するほど、その間を結ぶネットワークにも高い帯域が求められる。
 つまり、これまでDCIは「データセンタとデータセンタを接続するネットワーク」と捉えられることが多かったが、AI時代にはその役割が変わりつつある。DCIはデータ転送経路という役割だけではなく、分散したコンピューティング資源を一体的に機能させるための重要な基盤になっていく。

 そう考えると、この領域の800G化は光伝送装置の世代交代というより、通信ネットワークそのものがAIインフラの構成要素へ組み込まれていく動きの一つと見ることができる。今後、AIコンピューティングの規模が拡大するほど、GPUやサーバの性能だけでなく、それらをどれだけ高速かつ柔軟に接続できるかがシステム全体の性能を左右する。DCIの高速化は、その変化を象徴するものと言えるだろう。

AI時代のDCIは「一斉移行」ではなく、既設インフラを活かした「段階的な進化」へ

 一方、今回の発表では、FSが100G、200G、400G、800Gという複数の伝送速度を一つのDCIポートフォリオとして展開している点も興味深い。D7070も100G QSFP28や400G QSFP112をクライアント側で収容し、それらを800Gのコヒーレント波長へ載せられる構成となっている。つまり、ネットワーク全体を一気に800Gへ置き換えるのではなく、既存の設備やサービスを残しながら、伝送側から段階的に高速化できる。

 これはAI時代のネットワーク投資を考えるうえで重要なポイントだ。AIによるトラフィック増加が予想されるからといって、すべてのデータセンタ間リンクが同時に800Gを必要とするわけではない。拠点間の距離、トラフィック量、既存設備、利用するアプリケーションなどによって必要な帯域は異なる。したがって今後のDCIでは、800Gを導入する際、必要になった場所から、既設インフラを活かしながらどれだけ柔軟に高速化できるかという観点も重要になる。

 これは光ネットワークそのものの設計思想にも変化をもたらす可能性がある。従来はネットワークの世代交代に合わせて装置を更新するという考え方が強かったが、AI時代にはトラフィックの増加速度や拠点ごとの需要が異なるため、100G~800Gを用途に応じて組み合わせ、必要な部分から段階的に能力を引き上げる方が合理的だ。
 言い換えれば、AI時代の高速化競争は「最も速い装置を導入する競争」だけでなく、異なる世代のインフラを共存させながら、需要に応じてネットワークを進化させていくことの重要性も増している。こうした異なる世代や速度のインフラをシームレスに統合し、段階的な高速化を可能にするアプローチは、AI時代の技術進化のスピードと企業の投資サイクルのギャップを埋めると共に、既設インフラを活かしながら新たな技術を取り込んでいくための、次世代ネットワークの一つの方向性を示しているのではないだろうか。

DCI市場では「装置性能」から「マルチベンダ運用能力」へ競争軸が拡大

 そして、もう一つ今回の発表で注目したいのが、800Gという伝送性能だけでなく、異なるベンダの機器を含むネットワークを、いかにシンプルに運用できるかをFSが強調している点だ。D7070は100G QSFP28、400G QSFP112、800G CFP2-DCOといった複数のプラガブルをサポートし、FSはマルチベンダ環境への対応や、標準化された管理インターフェイスを打ち出している。さらに今後は、100G~800GにまたがるDCIポートフォリオ全体をAmpCon管理ソフトウェアから集中制御し、エンド・ツー・エンドのネットワーク運用を自動化する構想も示している。

 ここには、AI時代のネットワークにおける競争軸の変化が表れている。AIデータセンタでは、GPU、サーバ、スイッチ、光トランシーバ、光伝送装置など、様々なベンダの製品を組み合わせてシステムを構築することになる。その結果、個々の装置の性能が高いだけでは、ネットワーク全体の価値には直結しにくくなる。
 むしろ重要になるのは、異なる世代やベンダの機器を組み合わせながら、障害監視や設定変更、帯域増強などを一元的に管理し、ネットワーク全体を一つのシステムとして運用できる能力だ。
 これは、通信機器の競争が「何Tbps出せるか」というハードウェア性能だけではなく、どれだけオープンに接続でき、どれだけ簡単に運用でき、どこまで自動化できるかにも広がっていくことを意味する。

 AIによってネットワークの規模と複雑性が増すほど、装置を増やすだけでは運用負荷も増大する。だからこそ、高速化と同時にマルチベンダ対応やソフトウェアによる統合管理が重要になる。今回の800G DCIは、光伝送装置の高速化だけでなく、「高性能な装置を提供する」から「複雑化するネットワーク全体を効率的に動かす」へ、DCI市場の競争軸が広がり始めていることを示す事例として見ることができるだろう。

(OPTCOM編集部)