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LTE商用網にて、ネットワークの遅延低減や負荷分散を実現する Mobile Edge Computingを活用したサービス提供の実証実験に成功

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 NTTドコモ(以下、ドコモ)と、富士通、富士通研究所は10月12日、第5世代移動通信方式(5G)の時代に活躍が期待される技術であるMobile Edge Computing(以下、MEC)を活用したシステムをLTE商用網に接続しサービス提供を行う実証実験を、栃木県真岡市にて2017年9月7日、9月8日の2日間で実施し成功したことを発表した。

 MECとは、移動通信網において、利用者により近い位置にサーバやストレージを配備する仕組みだ。 このサーバやストレージでデータ処理を行うことでネットワークの遅延低減や負荷分散が見込まれ、スタジアムやコンサートホールでの動画配信や防犯カメラを使ったセキュリティサービス等への活用が期待されている。

 この実証実験では、ドコモのLTE基地局に富士通と富士通研究所が開発したMECシステムを接続した状態で、サービス提供を見据えた3つの実験が行われた。

高画質動画配信に関する実験

 MECシステムに格納した高画質動画を、LTE基地局を通じて20台のスマートフォンに同時配信する実験が行われた。MECシステムはコアネットワーク回線に負担をかけないため、ネットワークの帯域不足による遅延が低減され、多くの利用者に安定した動画配信が可能になる。

LTEとWi-Fiの接続先制御に関する実験

 LTE基地局に加えてWi-FiアクセスポイントをMECシステムに接続し、高画質動画を配信する実験が行われた。富士通研究所が開発した制御技術を搭載することで、無線の混雑状況を把握しつつより安定した通信となるよう、MECシステムがLTEとWi-Fiの接続先を最短0.01秒の遅延で適切に切り替えながら動画配信できることを確認した。これにより、スタジアム等の多くの人が集まる場所においても、 高画質動画配信などのサービスをストレスなく同時に利用可能になる。

映像解析を活用した人物検知に関する実験

 ネットワークカメラで撮影した映像をMECシステムで解析する実験が行われた。富士通の技術を用いた都市の状況をリアルタイムに把握するソフトウェアを活用することで、特定の人物を短時間で検知することに成功した。MECシステムを活用することで、コアネットワーク回線に負担をかけることなく、映像解析サービスの提供が可能となる。