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シスコが「Global Cloud Index」を発表。2021年までにクラウド トラフィックはデータセンタ トラフィックの95%を占めると予測

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~クラウド サービスの採用増加が創出する新たなデータセンタ需要~

 シスコは2月14日、今年で7回目となる年次レポート「Cisco Global Cloud Index (2016-2021)」を発表した。最新レポートでは、提供可能なビジネス、コンシューマ双方のネットワーク サービス数に影響を与える基本要素となった、データセンタの仮想化とクラウド コンピューティングに重点が置かれている。
 調査によれば、インターネットを介したクラウド サービスの成長傾向には、コンシューマ向けとビジネス向けの両方のアプリケーションが寄与している。コンシューマ向けクラウド アプリケーションで最もよく利用されているのは、ストリーミング ビデオ、ソーシャル ネットワーキング、インターネット検索などだ。ビジネス向けアプリケーションの成長分野は、エンタープライズ リソース プランニング(ERP)、コラボレーション、アナリティクス、その他デジタル エンタープライズ アプリケーションによって支えられている。

予測されるマルチクラウド トラフィックの大幅な増加

 クラウド アプリケーションの急増により、データセンタ トラフィックは急速に増加している。世界のクラウド データセンタ トラフィックは、2016年の年間6.0ゼタバイト(ZB)から2021年には19.5 ZBに増加するものと予測されている(3.3倍、2016~2021年のCAGR [年平均成長率] 27%)。世界の総データセンタ トラフィックに占めるクラウド データセンタ トラフィックの割合は、2016年の88%から2021年には95%に増加する。

クラウドの成長を支えるセキュリティの向上とIoT

 これまでクラウド採用の大きな障壁となっていたのは、セキュリティに対する懸念だった。データセンタ ガバナンスとデータ制御の向上は、企業リスクの最小化とコンシューマ情報保護の改善に役立った。予測されるクラウドの成長で重要な役割を果たすのは、セキュリティ イノベーションとクラウドの実質的なメリット(拡張性、スケールメリットなど)だ。さらに、IoT(Internet of Things)アプリケーション(スマートカー、スマートシティ、コネクテッド ヘルス、デジタル ユーティリティなど)の増加により、拡大する新たなデータセンタ需要に対応するための拡張性を備えたコンピューティング、ストレージ ソリューションが求められている。IoT接続の数は、2016年の58億個から2021年には137億個に増加するものと予測されている。

倍増するハイパースケール データセンタ

 データセンタやクラウド リソースのニーズが拡大したことで、ハイパースケール データセンタと呼ばれる大規模なパブリック クラウド データセンタが開発された。今回の予測では、2016年に338であった世界のハイパースケール データセンタの数は、2021年には628に増加するものと見込まれている(予測対象期間中にほぼ2倍である1.9倍の増加)。2021年には、ハイパースケール データセンタは以下をサポートする。

  • 全データセンタ サーバの53%(2016年は27%)
  • 全データセンタ処理能力の69%(2016年は41%)
  • データセンタに保存される全データの65%(2016年は51%)
  • 全データセンタ トラフィックの55%(2016年は39%)

 シスコ クラウド プラットフォーム、ソリューション グループ担当バイスプレジデントのキップ・コンプトン(Kip Compton)氏は「データセンタ アプリケーションは、この新しいマルチクラウドの世界で明らかに急増している。予測される成長を支えるには、特にパブリック、プライベート、ハイブリッド クラウドの分野で新たなイノベーションが必要だ」とコメントを出している。

「Global Cloud Index」のハイライトと主な予測

1. データセンタ仮想化とクラウド コンピューティングの成長

  • 2021年には、ワークロードとコンピューティング インスタンスの94%がクラウド データセンタで処理され、従来型データセンタで処理される割合は6%にとどまる見通しだ。
  • データセンタ ワークロードとコンピューティング インスタンスは全体として2016年から2021年の間に2倍以上(2.3倍)増加する一方で、クラウド ワークロードとコンピューティング インスタンスは同じ期間中に3倍近く(2.7倍)増加する。
  • クラウド データセンタのワークロードとコンピューティング インスタンスの密度は2016年の8.8から2021年には13.2に増加する。一方で、従来型データセンタのワークロードとコンピューティング インスタンスの密度は2016年の2.4から2021年には3.8に増加する。

2. ビッグデータとIoTによって拡大する保存データの量

  • 世界のデータセンタに保存されるデータは2016年の286エクサバイト(EB)から2021年には1.3 ZBへと4.6倍増加する(CAGR 36%)。
  • ビッグデータの量は2016年の25 EBから2021年には約8倍の403 EBに増加する。データセンタに保存されるデータ全体に占めるビッグデータの割合は、2016年の18%から2021年には30%に増加する。
  • デバイスに保存されるデータの量は2021年にはデータセンタに保存されるデータの量の4.5倍となり、5.9 ZBに達する。
  • 任意のデバイスで生成されるデータ(保存されないデータを含む)の量は主にIoTによって拡大し、2016年の218 ZBから2021年には847 ZBに増加する。生成されるデータの量は保存されるデータの量より2桁多くなる計算だ。

3. アプリケーションに起因する世界のデータセンタ トラフィックの増加

  • データセンタ内のトラフィックに占めるビッグデータの割合は2021年には20%(年間2.5 ZB、毎月209 EB)となる。2016年は12%(年間593 EB、毎月49 EB)だった。
  • データセンタ内のトラフィックに占めるビデオ ストリーミングの割合は2021年には10%となる(2016年は9%)。
  • データセンタからエンドユーザーへのトラフィックに占めるビデオの割合は2021年には85%となる(2016年は78%)。
  • データセンタ内のトラフィックに占める検索の割合は2021年には20%となる(2016年は28%)。
  • データセンタ内のトラフィックに占めるソーシャル ネットワーキングの割合は2021年には22%となる(2016年は20%)。

4. 2021年までの最も人気の高いクラウド サービス モデルはSaaS

  • クラウド ワークロードとコンピューティング インスタンス全体に占めるSaaSワークロードとコンピューティング インスタンスの割合は2016年の71%(1億4,100万)から2021年には75%(4億200万)に増加する(2016年から2021年のCAGRは23%)。
  • クラウド ワークロードとコンピューティング インスタンス全体に占めるIaaSワークロードとコンピューティング インスタンスの割合は2016年の21%(4,200万)から2021年には16%(8,500万)に減少する(2016年から2021年のCAGRは15%)。
  • クラウド ワークロードとコンピューティング インスタンス全体に占めるPaaSワークロードとコンピューティング インスタンスの割合は2016年の8%(1,600万)から2021年には9%(4,600万)に増加する(2016年から2021年のCAGRは23%)。

 調査の目的上、クラウド コンピューティングには、最小限の管理またはサービス プロバイダーの介入で迅速にプロビジョニングやリリースできる構成可能コンピューティング リソース(ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、サービスなど)の共有プールに対するユビキタスなオンデマンド ネットワーク アクセスが含まれる。導入モデルにはプライベート、パブリック、ハイブリッド クラウドが含まれます。クラウド データセンタには、サービス プロバイダーだけでなく民間企業が運営するデータセンタが含まれる。

レポートの概要

 「Cisco Global Cloud Index (2016-2021)」は、世界のデータセンタ トラフィックとクラウド トラフィックの増加量と傾向を予測するために作成された。このレポートは、「Cisco Visual Networking Index」をはじめとする既存のインターネット プロトコル(IP)ネットワーク トラフィック研究を補完する資料であり、データセンタとクラウドのアーキテクチャに影響する新たな傾向に対する新たな知見と見通しを提供する。クラウド サービスの提供により、ネットワークとデータセンタが本質的な結合を強める中で、予測はその重要性を増している。