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NEC、NTTドコモと5Gの実現に向けた高速移動環境における検証実験を開始

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 NECは11月19日、NTTドコモと共同で、5Gのキーテクノロジーの1つである超多素子アンテナ(以下、Massive MIMOアンテナ)を搭載した5G基地局が、5G移動局の高速移動環境においても大容量・高速・高品質な通信を実現可能であることを検証する実験を開始したと発表した。
 実験では、5Gの商用周波数候補の1つである4.5GHz帯対応のMassive MIMOアンテナを搭載した5G基地局を使用する。
 第一弾として国土技術政策総合研究所(茨城県つくば市)で行った実験では、最高時速120kmで走行する自動車に搭載した5G移動局と、テストコース脇に設置した5G基地局との間で無線データ伝送を行った。本実験では、時速120km走行時においてMassive MIMOアンテナの指向性(ビーム)が移動局を追従すること、移動局静止時の最大下りデータレート(※100MHz帯域幅、2×2MIMO伝送により705Mbps)と同等の性能であることを確認した。
 Massive MIMOアンテナは特定の方向に対して電力が高く、その他の方向には電力が低いビームを形成することで、信号品質やデータ伝送速度の向上が可能であり、5Gの大容量・高速・高品質などの要求条件を実現するための重要な技術の1つ。
 5G基地局にMassive MIMOアンテナを適用し、高速で移動する自動車や列車の中で5G移動局を利用するためには、移動局の動きに合わせて素早くビームを形成し、追従させる必要がある。NECのMassive MIMOアンテナを搭載した基地局は、5Gの信号フォーマットに対応し、TDD(Time Division Duplex:時分割複信)の上り信号の受信結果から直接下り信号のビームを形成するため、移動局に最適なビームを高速に形成可能だ(※この実験におけるビーム更新周期は2.5ms)。

 NECは「今後、都市部や地方など様々な条件・環境下で、走行中の自動車や列車などに5G移動局を搭載し、観光や医療など多様なユースケースを想定した検証を行っていく。今回の実験を通して、NECはNTTドコモとの共創により、高速移動環境における5Gを活用した新たなサービスの実現を目指す」としている。
 なお、この実験には、NTTコミュニケーションズが総務省から請負った平成30年度「高速移動時において平均1Gbpsを超える高速通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討の請負」の成果の一部が含まれている。

Massive MIMOアンテナを搭載した基地局


移動局。国土技術政策総合研究所での検証実験の様子