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シスコ、ThousandEyes買収の意向を発表

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エンタープライズとクラウドネットワークパフォーマンスとモニタリング能力を強化

 シスコは6月3日、サンフランシスコに拠点を置く株式非公開企業ThousandEyesを買収する意向を発表した。ThousandEyesのインターネットおよびクラウド インテリジェント プラットフォームは、インターネットを通じてデジタルで提供されるアプリケーションやサービスに深い可視性や識見を提供する。

 過去数年間でクラウドの導入は急速に進み、SaaSアプリケーションが幅広く活用されるようになって、企業の管理外にあるインターネットやネットワークへの依存度が高まっている。インターネットやサードパーティのインフラストラクチャへのこうした依存は、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大が続いたこの数カ月間で一層拍車がかかり、企業のIT部門にとってはネットワーク上の動作の予測や可視化、制御が非常に困難になっている。その結果、IT環境が混乱し、制御不能になって問題解決に時間を要するという厳しい状況に陥るケースも多く、カスタマー エクスペリエンスやブランド レピュテーション、さらには収益性にも大きな影響を与える可能性がある。

 ネットワークやアプリケーション パフォーマンスにおけるシスコの強みと、インターネットを可視化するThousandEyesの能力とを統合することによって、企業はデジタルで配信するアプリケーションやサービスをエンドツーエンドで可視化できるようになる。さらに問題の根本原因をピンポイントで特定してエンタープライズとクラウドのすべてを通じてネットワークやアプリケーションのパフォーマンスを改善できる。また、今回の買収によって顧客や従業員に提供するアプリケーションやサービスに対して包括的な可視性を提供できるようになるため、デジタル変革のどの段階にある企業に対しても、その実現を加速させることができる。
 シスコ エンタープライズ ネットワーキングおよびクラウド担当シニア バイスプレジデント兼ゼネラル マネージャーのトッド・ナイチンゲール(Todd Nightingale)氏は「ThousandEyesチームをシスコに迎えることができ、非常にうれしく思っている。シスコとThousandEyesが一体となることで、より深く、より幅広い可視化が実現でき、あらゆるネットワークを通じて問題をピンポイントで特定してネットワークやアプリケーションのパフォーマンスを向上させることができる。これによって、お客様はクラウド アプリケーションにアクセスする際にエンドツーエンドの可視性が得られ、インターネット インテリジェンスによってネットワークの信頼性やアプリケーションのエクスペリエンス全体を向上させることができる」とコメントを出している。

 シスコはThousandEyesの能力をエンタープライズ ネットワーキングやクラウド、AppDynamicsポートフォリオなどシスコのあらゆる中核製品に組み込み、エンタープライズ、インターネット、クラウドのすべてを通じて可視性を強化する。買収はシスコの2021会計年度第1四半期中に完了する見通しだ。ThousandEyesはシスコが新設したネットワーキング サービス 事業部門に加わり、トッド・ナイチンゲール氏の指揮下に入る。
 統合後、ThousandEyesの現最高経営責任者(CEO)兼共同創業者、モヒット・ラッド(Mohit Lad)氏はネットワーキング サービス 事業部門ThousandEyes担当ゼネラル マネージャーとなり、同社の共同創業者兼最高技術責任者(CTO)、リカルド・オリベイラ(Ricardo Oliveir)は引き続きThousandEyes製品全般と事業戦略を牽引して行くという。