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Nokia、t3 Broadband、Aureonが提携し、超大容量光ネットワークでハイパースケールクラスのAI接続を実現

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 Nokiaとt3 Broadbandは6月18日(米アイオワ州ウェストデモイン)、ブロードバンドネットワーク事業者Aureon向けに、新たな超大容量光伝送ネットワークの展開を発表した。

 このAI最適化されたインフラストラクチャは、ノースダコタ州の大規模データセンタ開発拠点とシカゴ都市圏を結ぶ。Nokiaの光ネットワークソリューションを基盤とし、t3 Broadbandのインフラストラクチャに関する専門知識を活用して構築されたこのネットワークは、AI、クラウド、ハイパースケールデータセンタのワークロードの急速な成長を支えるために必要な高度な接続性を提供する。

 この新しいルートは、最大400Tbpsのトランスポート容量をサポートするように設計されており、Aureonにとってこれまでで最大のネットワーク接続容量を実現するとともに、将来のAIインフラストラクチャの成長に向けた拡張性の高い基盤を構築する。
 Nokiaとt3 Broadbandは「Nokiaの1830 Global Express(GX)プラットフォーム、Super CおよびL-band光回線システム、そして1.2T ICE7コヒーレント光技術を基盤とする今回の導入により、Aureonのネットワーク機能は大幅に拡張され、従来ハイパースケール事業者のみが提供していた規模の伝送サービスを提供することが可能になった」と説明している。

 AureonのCEOであるGeorge O’Neal氏は「この導入により、大規模データセンタの相互接続ニーズに対応できる容量と柔軟性を確保するとともに、将来の拡張に向けた基盤を構築した。Nokiaおよびt3 Broadbandとの協業により、AI時代におけるネットワーク伝送能力を新たなレベルへと引き上げることができた」とコメントを出している。

 t3 BroadbandのCEOであるChris Crowe氏は「私たちの目標は、お客様が未来を見据えたネットワークを構築できるよう支援することだ。Nokiaと緊密に連携し、Aureonの長期的な成長戦略を支える高容量光伝送ソリューションを提供した。今回の導入により、大規模データセンタおよびAI接続ニーズへの対応能力が強化されるとともに、将来の拡張に向けた基盤が構築される」とコメントを出している。

 Nokiaのセールス担当ヴァイスプレジデントであるMatt Young氏は「AIの発展に伴い、データセンタ間の拡張性と高性能性を備えた接続性の必要性が急速に高まっている。Nokiaは、t3 BroadbandおよびAureonと協力し、この成長を支えるために必要な光インフラを提供している。今回の導入事例は、高度な光ネットワークがいかに通信事業者の効率的な容量拡張、光ファイバーリソースの最大限の活用、そしてAIの要求に対応できるネットワーク構築に役立つかを明確に示している」とコメントを出している。

編集部備考

■ブロードバンド環境を提供する各国の通信事業者、ケーブル事業者が、自らの役割をAIインフラへと再定義しつつある。従来、ブロードバンド事業者の価値はラストマイルに代表されるアクセス網にあったが、AI時代においてはその重心が変化しつつある。分散データセンタ間の接続や、エッジにおけるMECといった文脈において、ネットワークは通信基盤だけではなく、計算資源を束ねる構成要素としての性格を強めている。

 今回発表されたAureonの大容量光ネットワークは、この構造変化を象徴している。最大400Tbpsのトランスポート設計や、1.2Tbpsの波長は、最新のAIデータセンタ間接続に求められる水準に合致する。すなわち、ブロードバンド事業者が担うレイヤーは、従来の南北トラフィック(ユーザアクセス)から、データセンタ間を結ぶ東西トラフィックへと拡張している。
 この点において、アイオワ州という立地は示唆に富む。同州は豊富かつ安定した電力、広大な土地、冷却に適した水資源に加え、自然災害リスクの低さを兼ね備え、ハイパースケールデータセンタの集積地として発展してきた。こうした環境のもとで構築されるAIクラスターは、単一拠点で完結するものではなく、複数のデータセンタを光ファイバで結び、一体のシステムとして動作する。その結果、ネットワークは「接続」ではなく「統合」の役割を担うに至っている。

 ここで重要なのは、AIインフラの制約条件が変化している点だ。従来はGPUやサーバといった計算資源の確保が主たる課題であったが、現在ではそれらをいかに高速・低遅延で接続するかがボトルネックとして顕在化している。AIの学習や推論は、単一の装置で完結するものではなく、多数のGPUが分散して処理を行い、その結果を頻繁に同期することで成り立つ。このため、データセンタ間を含めたデータのやり取りが膨大となり、ネットワークの性能が処理全体の効率を左右する。言い換えれば、AIはネットワークを大量に使用する存在であり、ネットワークそのものが計算資源の一部として機能し始めている。

 この構造変化は、ブロードバンド事業者の投資判断のあり方にも影響を及ぼす。従来の通信インフラ投資は、トラフィック増加に応じた需要追随型が基本であった。一方で本件のような取り組みは、将来のAI需要の変化を見越した先行投資であり、トラフィックを「待つ」のではなく「呼び込む」性格を持つ。この点は、ブロードバンド事業者にとって新たな競争軸が生まれつつあることを示唆するものでもある。もっとも、こうした先行投資が常に需要の獲得に結びつくとは限らず、その成否は立地条件やエコシステム形成力に大きく依存する。したがって、戦略の優位性を示すものというよりも、ブロードバンド事業者の選択肢の広がりを示す事例として捉えるべきだろう。そうした視点でも、本ニュースの取り組みは先行事例として重要だと言える。

 加えて、ハイパースケーラーとの関係性も再定義される。彼らが自前で光ファイバを敷設する選択肢を持つことは事実だが、AIクラスターの構築においては、資本効率だけでなく構築までの時間、すなわちTime-to-Clusterが重要な制約条件となる。ブロードバンド事業者のネットワークを活用することは、AIインフラの展開速度を高めるための戦略的選択と位置付けられる。
 もっとも、ブロードバンド事業者による整備が常に最短であるとは限らないことから、先行投資によって高容量トランスポートを整備する本件は、帯域拡張ではなく、時間価値を織り込んだインフラ戦略と評価できる。

 世界のブロードバンド事業者がAI時代への適応を迫られる中、本件は一つの方向性を示している。それは、光ネットワークの高度化を容量増強としてだけではなく、AIワークロードに最適化された基盤として再設計する必要性、そしてそれが可能であるという点だ。データセンタ間接続がボトルネックとなりつつある現在、ネットワークはAIインフラ高度化への影響力をさらに強めている。

(OPTCOM編集部)