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Symphony Communicationが、MCT海底ケーブルネットワークのアップグレードでNokiaを選択。東南アジア全域に高度な接続性を提供

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 Nokiaは6月17日(タイ バンコク)、Symphony Communicationから、MCT(マレーシア・カンボジア・タイ)海底ケーブルシステムのアップグレードを受注したことを発表した。

 このアップグレードでは、Nokiaの光ソリューションが採用される。今回の取り組みの一環として、既存の機器は、Nokiaの第6世代フォトニックサービスエンジン(PSE-6)コヒーレント光技術を搭載した海底回線ターミナル装置(SLTE)に置き換えられる。

 アップグレード完了後、既存システムの3倍に相当する、ファイバペアあたり最大30Tbpsの容量が実現する。また、タイ、マレーシア、シンガポール間の低遅延接続も可能になる。これにより、AI推論、クラウドバースト、ミッションクリティカルなエンタープライズ アプリケーションといった高度なリアルタイム ユースケースがサポートされる。さらに、電力効率の向上による二酸化炭素排出量の削減を通じて、海底ネットワーク事業者のサステナビリティ目標達成にも貢献する。

 Nokiaは「MCTケーブルは、タイのEEC(東部経済回廊)に位置するラヨーンに陸揚げされる唯一の海底ケーブルシステムだ。ラヨーンは、AIドリブン データセンタ投資の主要拠点となっている。タイ投資委員会(BOI)のデータによると、タイは急速に地域デジタルインフラハブとして台頭しており、36件のプロジェクトで230億米ドルを超えるデータセンタ投資を集めている」とし、「この成長は、信頼性の高い大容量接続ルートを求める多くのグローバル ハイパースケーラーを惹きつけている。アップグレードされたMCTケーブルは、重要な低遅延かつ主権的な接続を提供し、安全で高性能な海底インフラに対する地域全体の需要の高まりに対応する」と説明している。

 Nokiaのタイランド担当カントリーマネージャーであるAjay Sharma氏は「当社は、SYMPHONYとの長年にわたるパートナーシップを、地上ネットワークおよび国境を越えたネットワークから海底領域へと拡大できることを嬉しく思っている。このアップグレードは、東南アジア全域に高度で信頼性の高い接続を提供し、タイがAIおよびクラウドを活用したデジタルサービスの地域ハブとなるという目標を支援するものだ」とコメントを出している。

 Symphony CommunicationのCEOであるAlex Loh氏は「MCTのアップグレードは、お客様に最高クラスの体験を提供するために、ネットワークパフォーマンスを継続的に向上させるという当社のコミットメントを明確に示すものだ。Nokiaの海底ネットワークソリューションにより、比類のない容量と信頼性を実現し、ハイパースケーラーや企業にとって最適な接続パートナーとなり、東南アジアにおける次世代デジタルインフラハブの構築に貢献する」とコメントを出している。

 NokiaのPSE-6ソリューションは、高度な5nm DSP技術とインテリジェントな信号最適化技術を採用し、より高い容量、優れた効率性、そして長期的な拡張性を実現する。企業、OTT事業者、AIおよびクラウドプロバイダ向けに、直接的で大容量かつ低遅延の接続ルートを提供すると同時に、ネットワークの消費電力を60%削減する。この導入は、Nokiaの光ネットワーク自動化プラットフォーム「WaveSuite」によってさらにサポートされる。
 Nokiaは「このソリューションにより、単一の画面で多層ネットワークの可視性を向上させるとともに、ドメイン横断的な自動化をサポートし、高性能なエンド・ツー・エンド接続において、持続可能なエネルギー最適化、ライフサイクル運用、およびネットワークの回復力を実現する」と説明している。

編集部備考

■AI時代において、海底ケーブルを巡る事業モデルの差異が、これまで以上に重要な意味を持ち始めている。特に、Symphony Communicationのようなキャリア・ニュートラル事業者による長距離網の整備は、従来のコンソーシアム方式とは異なる役割を担い、その存在感を高めている。

 キャリア・ニュートラル事業者の強みは、自社が運営する中立的なデータセンタと海底ケーブルを低摩擦で接続できる点にある。テナント企業は同一施設内で複数のネットワークを柔軟に選択でき、クロスコネクトによって瞬時に経路を切り替えることが可能となる。これは、特定事業者への依存を回避しつつ、トラフィックの分散や冗長性を確保するうえで極めて有効であり、結果として、ハイパースケーラーやOTT事業者、AIスタートアップといったテナント企業に、接続戦略上の自由度をもたらす。
 一方でコンソーシアム方式の海底ケーブルは、複数の出資企業による大規模な資本投下と、各社のサービス展開という明確なコミットメントを背景に、新たな需要を創出する「計画型インフラ」として機能してきた。大規模データセンタの集積を伴い、フロンティア市場の開拓においては依然として重要な役割を果たしている。ただし、関係者間の合意形成や国際調整を要するため、開通までに時間を要する傾向がある。
 この両者の違いは、「短期的な需要変動に追随する市場連動型」と「長期的な需給を前提とした計画型」という時間軸の差異として整理できる。そして現在、この差異がかつてないほど意味を持ち始めている。

 背景にあるのが、いわゆるAIスーパーサイクルだ。AIワークロードは、学習と推論の分離、拠点間の東西トラフィックの増大、さらには需要の突発性と偏在性といった特徴を持つ。これにより、あらかじめ固定されたルート設計ではなく、需要に応じて経路や容量を柔軟に最適化できるネットワークが求められるようになった。また、「電力や用地制約を背景に、データセンタの分散配置が進展」していることも、この傾向に拍車をかけている。
 こうした環境下では、一企業として既設インフラを迅速にアップグレードできるキャリア・ニュートラル事業者のアジャイル性が際立つ。今回発表された、Nokiaの光伝送技術による、Symphony CommunicationのMCT海底ケーブルにおける容量の大幅な増強は、その象徴と言える。
 舞台であるタイのラヨーン地域は、政府主導の東部経済回廊(EEC)構想によりデジタル・AI産業の新たな集積地として期待されている。一方で、従来の主要な海底ケーブルは首都バンコク近郊に集中しており、新興エリアにおける接続性は限定的であった。このような状況において、既設ケーブルの容量を機動的に増強する取り組みは、分散型データセンタ時代において地域のポテンシャルを引き出すための、極めて現実的なアプローチとなる。

 コンソーシアム方式がフロンティアの創出を担い、キャリア・ニュートラル事業者が市場の間口を広げるという傾向は、今後も維持されるだろう。ただし市場の変化が速いAI時代においては、その順序が逆転する場合もある。すなわち、本来は市場活性化の後段に位置付けられていたキャリア・ニュートラル事業者が、そのアジャイル性により先行して市場機能を発現させるケースが増えている。
 ラヨーンの事例は、そのような構造変化を示す先行例の一つと捉えることができる。分散化とアジャイル性を軸とする新たなインフラのあり方は、従来の巨大ハブ中心の構造に変化を促し、新たなデータセンタ拠点の形成を加速させていく可能性が高い。

(OPTCOM編集部)

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