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シスコ、2020年度第4四半期および通期業績を発表

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サマリー

第4四半期売上高:122億ドル
•前年比9%減

第4四半期1株当たり利益:62セント(GAAPベース)、80セント(non-GAAPベース)
•GAAPベースの1株当たり利益は前年同期比22%増
•non-GAAPベースの1株当たり利益は前年同期比4%減

2020年会計年度売上高:493億ドル、前年比5%減
•売上の51%がソフトウェアとサービスによるもの

2020年会計年度1株当たり利益:2ドル64セント(GAAPベース)、3ドル21セント(non-GAAPベース)
•GAAPベースの1株当たり利益は前年同期比1%増
•non-GAAPベースの1株当たり利益は前年同期比4%増

2021年会計年度第1四半期ガイダンス
•売上高:前年同期比9~11%減
•1株当たり利益:41~47セント(GAAPベース)、69~71セント(non-GAAPベース)

 米国シスコ(以下、シスコ)は8月12日(サンノゼ)、2020年7月25日を期末とする2020会計年度第4四半期と2020会計年度通期の業績を発表した。(抄訳は8月13日に日本法人が発表)
 2020会計年度第4四半期の売上高は122億ドルだった。また純利益は、一般会計基準(GAAP)ベースでは26億ドル(1株当たり62セント)、non-GAAPベースでは34億ドル(1株当たり80セント)だった。事前に開示していたとおり、シスコは2019会計年度第2四半期中の2018年10月28日に、サービス プロバイダー ビデオ ソフトウェア ソリューション(SPVSS)事業の売却を完了した。売上高とnon-GAAP財務情報については、以前の四半期のSPVSS事業分を除外して正規化することで、比較を行えるようにしている。
 シスコ 会長兼CEOのチャック・ロビンス(Chuck Robbins)氏は「2020会計年度末までに、シスコは売上高の半分以上をソフトウェアとサービスが占めるという目標を達成した。組織のデジタル化が進むなか、この戦略はお客様からご支持をいただいている。2020年度を通じて、シスコはお客様との強固な関係、盤石な財務基盤、差別化されたイノベーションを通して、回復力のある経営を実証してきた。未来を見据えるなかで、R&Dへの投資のバランスを調整し、新領域にフォーカスすることで、最高かつ最適なテクノロジーを、よりシンプルで使いやすい方法でお客様に提供し続けることができている」とコメントを出している。

 シスコ 最高財務責任者(CFO)のケリー・クレイマー(Kelly Kramer)氏は「非常に困難な状況にもかかわらず、第4四半期は着実に事業を遂行し、高い粗利益率を達成することができました。ソフトウェア サブスクリプションは今やソフトウェア収益の78%を占めるまでになっており、残存履行義務は今四半期も力強い増加を続けている。これは、シスコのソフトウェアとサービスのポートフォリオの力強さを反映したものだ。長期的な成長と株主価値の提供にフォーカスするなかで、イノベーションへの投資による収益が得られている」とコメントを出している。

2020年会計年度第4四半期決算概要

特に記載のない限り、相対比率(%)はすべて前年比
SPVSS事業は2019会計年度第2四半期中の2018年10月28日に売却されたため、「2020会計年度決算概要」では、売上高、non-GAAP利益、地域別財務情報のすべてで、同事業の以前の会計期の数値をすべて除外して記載している。

売上高:総売上高は9%減の122億ドル。製品売上高は13%減、サービス売上高は横ばいだった。売上高を地域別に見ると、Americas(米国、カナダ、南アメリカ)が12%減、EMEA(欧州、中東、アフリカ)が6%減、APJC(アジアパシフィック、日本、中国)が7%減となっている。製品売上高の伸びをけん引したのはセキュリティで、10%増となっている。インフラストラクチャ プラットフォームは16%減、アプリケーションは、9%減となった。

粗利益率:2020会計年度第4四半期のGAAPベースの総粗利益率、製品粗利益率、サービス粗利益率は、それぞれ63.2%、61.2%、68.7%となっている。これに対して、前年同期の粗利益率はそれぞれ63.9%、62.9%、66.8%だった。
 2020会計度第4四半期のnon-GAAPベースの総粗利益率、製品粗利益率、サービス粗利益率は、それぞれ65.0%、63.2%、69.8% となっている。これに対して、前年同期のnon-GAAPベースの粗利益率はそれぞれ65.5%、64.7%、67.9%だった。
 地域別の総粗利益率は、Americasが65.6%、EMEAが64.9%、APJCが63.2%となっている。

営業経費:GAAPベースの営業経費は9%減の44億ドルで、売上の36.5%を占めていた。non-GAAPベースの営業経費は12%減の39億ドルで、売上の32.0%を占めていた。

営業利益:GAAPベースの営業利益は12%減の32億ドル、営業利益率は26.7%だった。またnon-GAAPベースの営業利益は8%減の40億ドル、営業利益率は33.0%だった。

所得税引当金:GAAPベースの税引当率は20.3%、non-GAAPベースの税引当率は16.7%となった。

 純利益と1株当たり利益:GAAPベースの純利益は19%増の26億ドル、1株当たりの利益は22%増の62セントだった。non-GAAPベースの純利益は5%減の34億ドル、1株当たりの利益は4%減の80セントだった。

 営業活動によるキャッシュフロー:2020年会計年度第4四半期の営業活動によるキャッシュフローは4%減の38億ドルで、これに対し、2019年会計年度第4四半期は39億ドルだった。

2020年会計年度業績概要

売上高:総売上高は5%減の493億ドルだった。

 純利益と1株当たり利益:GAAPベースの純利益は4%減の112億ドル、1株当たりの利益は1%増の2ドル64セントだった。non-GAAPベースの純利益は前年比1%減の137億ドル、1株当たりの利益は4%増の3ドル21セントだった。

 営業活動によるキャッシュフロー:2020会計年度の営業活動によるキャッシュフローは前年の158億ドルから3%減り、154 億ドルとなった。2019会計年度の営業活動によるキャッシュフローには、Arista Networksとの訴訟和解に関連する4億ドルの受け取りが含まれる。同項目の営業活動によるキャッシュフローは均一に正規化されている。

財務上の特記事項

 現金及び現金等価資産ならびに投資総額:現金及び現金等価資産ならびに投資総額は、2020会計年度第4四半期末時点で294億ドルだった。これに対し、2020会計年度第3四半期末時点では286億ドル、2019会計年度末時点では334億ドルだった。

繰延収益:繰延収益は、合計11%増の204億ドルとなっている。製品繰延収益は17%増となっており、これに対し、サービス繰延収益は7%の伸びとなっている。

残存履行義務:2020会計年度末時点で、12%増の284憶ドルとなっている。

資本配分:2020会計年度第4四半期、シスコは1株当たり36セントの配当金(総額15億ドル)を申告し、支払った。

買収

 2021会計年度第1四半期、シスコは株式非公開企業のThousandEyes, Inc.の買収を完了した。ThousandEyesのインターネット&クラウド インテリジェンス プラットフォームは、インターネットを使ったアプリケーションとサービスのデジタル配信についての深い可視性と洞察をもたらす。

2021年会計年度第1四半期の業績予測

 シスコは、2021年会計年度第1四半期の業績について以下のような見通しを立てている。
売上高:前年同期比9~11%減
non-GAAPベースの粗利益率:64%~65%
non-GAAPベースの営業利益率:30%~31%
non-GAAPベースの税引当率:19%
non-GAAPベースの1株当たり利益:69~71セント
2021年会計年度第1四半期のGAAPベースの1株当たり利益は、41~47セントになる見込みだ。

 2021年会計年度第1四半期のGAAPベースとnon-GAAPベースの業績見通しの差異調整については、「GAAPベース財務指標からnon-GAAPベース財務指標への差異調整」セクションのグラフ「2021年会計年度第1四半期業績見通しのGAAPベースからnon-GAAPベースへの調整」を参照。