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インテル、「技術の6つの柱」全体の革新を推し進め、リーダーシップ製品のロードマップを強化

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Architecture Day 2020を開催し、インテルの技術担当リーダー達がインテリジェント時代に向けた新しいアーキテクチャと革新を紹介

インテル コーポレーション
上級副社長 兼 チーフアーキテクト
兼 アーキテクチャ・ソフトウェア&グラフィックス部門 本部長
ラジャ・コドゥリ氏

 インテルは8月13日、リーダーシップ製品のロードマップを強化したことを発表した。(抄訳は8月14日に日本法人が発表)

 インテル コーポレーション 上級副社長 兼 チーフアーキテクト 兼 アーキテクチャ・ソフトウェア&グラフィックス部門 本部長のラジャ・コドゥリ氏は「創業以来、生活を豊かにし、世界を変えるテクノロジーの可能性を深く信じている」との考えを示している。PCの誕生により技術が知識とネットワークの大規模なデジタル化を可能とし、10億人もの人々がインターネットを使い始めた。その後、モバイルとクラウドの時代が到来し、人々の生活様式は一変した。現在では100億台ものデバイスが、クラウド上でスーパーコンピューターに接続されている。
 インテルでは、この次の時代には、1000億台ものインテリジェントなコネクテッド・デバイスに囲まれたインテリジェント時代が到来すると考えているという。エクサスケールのパフォーマンスとアーキテクチャによって、あらゆる人がコネクテッド・デバイスを利用できるようになり、現在では想像もつかない方法で人々の生活が豊かになる。コドゥリ氏は「これは、私だけでなくインテルの同僚のアーキテクトたちに、日々、インスピレーションとモチベーションを与えてくれる未来だ」としている。

 人々は、リアルタイムでデータを分析、理解、送信、保護、再構築を行う現在の能力よりも速い速度でデータを生成しており、この大量のデータを分析するためには、大量のコンピュートが必要となる。さらに重要なのは、このデータをインサイトの向上に役立たせるためには、リアルタイムでコンピュートにアクセスすることが必要であるということであり、それは低レイテンシであることで、利用される場所に近いことを意味している。インテルでは、この指数関数的に困難な問題を解決している最中だという。
 デナード・スケーリング時代以降、トランジスタ技術からこの問題に取り組むためには、スタック全体にわたって新しいアプローチが必要とされており、その方針として、インテルは2018年12月のArchitecture Day 2018 にて「技術革新における6つの柱」を発表した。ムーアの法則の本質を継承するために、6つすべての柱において変革をもたらす必要があるとしている。
 今回のArchitecture Day 2020では、画期的な新しいブレイクスルーを交えながら、この6つの柱の進捗状況について紹介された。最先端のプロセス技術を用いた設計、画期的なメモリ階層、高度なパッケージング技術によるシステムへの統合、光速の相互接続リンクを備えたハイパースケールな展開、単一のソフトウェア抽象化による統一、ベンチマーク定義によるセキュリティ機能など、インテルが保有するスカラー、ベクトル、マトリックス、空間アーキテクチャの多様な組み合わせにより、大きな進歩を遂げた。

Architecture Day 2020のハイライト

 インテルは、ディスアグリゲート設計手法および先進的なパッケージング技術のロードマップに関する詳細について説明した。EMIBおよびFoveros技術におけるファインバンプピッチの技術検証を、グラフィックス・ダイ搭載製品およびFPGA搭載製品およびLakefield搭載システムにて行われた。
 また、インテルのトランジスタロードマップにおける最大の進展の1つである10 nm SuperFinテクノロジーについても紹介した。これは、新しいSuperMIMキャパシタを搭載することによってFinFETを再定義するもので、インテル史上最大の単一ノード内拡張を実現し、フルノード移行に匹敵するパフォーマンスの向上をもたらす。

 次世代のWillow Cove CPUアーキテクチャと10nm SuperFinテクノロジーの統合により、新しいTiger Lakeプラットフォームが誕生する。Architecture Day 2020では、CPU性能の飛躍的向上、先進のグラフィックス、人工知能(AI)、メモリ帯域幅の拡大、セキュリティ機能の拡張、描画性能の向上、ビデオの改善など、次世代のTiger Lake SoCアーキテクチャの詳細を明らかにした。コドゥリ氏は「多くの方々がTiger Lakeの詳細情報を求めていることを理解しており、数週間内に追加情報を発表する予定だ」としている。
 Tiger Lake以外にも、消費電力あたりの性能が飛躍的に向上した次世代のインテル Agilex FPGAが紹介された。これは、EMIBを使用し224Gbpsトランシーバを搭載した製品。これにより2世代にわたりEMIBによるディスアグリゲーション設計手法を採用したことになる。

 インテルのXe GPUアーキテクチャが、テラフロップスからペタフロップスまで拡張可能なGPUを構築するための基盤であることも紹介された。Xe-LP は、Tiger Lake の卓越したグラフィックス能力を支えるものであり、PCおよびモバイルコンピューティング・プラットフォーム向けとして最も効率性を追求したマイクロ・アーキテクチャだ。20年以上ぶりとなるディスクリートGPU(開発コード名:DG1)にもXe-LPが採用されており、現在生産中だという。また、Xe-LPを搭載した初のインテル サーバ GPUも発表した。このGPUはメディア・トランスコードおよびストリーミング用にクラス最高のストリーム密度とビジュアル品質を提供するもので、今年後半から出荷予定だ。

 データセンタに関しては、初めてXe-HPチップが顧客向けにサンプル出荷されることを発表した。Xe-HPは、業界初のマルチタイルで拡張性に優れた高性能GPUアーキテクチャで、EMIB技術をベースに、ペタフロップ規模のAI性能とラックレベルのメディア性能を単一のパッケージで提供する。Xe-HPは、強化されたSuperFinテクノロジーを活用している。

 そして今回、インテルは愛好家やゲーマー向けに、Xeファミリーに4つ目となるマイクロ・アーキテクチャを追加している。Xe-HPGはゲーム用に最適化されており、レイトレーシングのサポートなど、多くの新しいグラフィックス機能を備えています。このマイクロ・アーキテクチャは2021年に出荷される予定だ。

 ソフトウェアに関しては、インテルは以前より、XPUアーキテクチャ全体で利用可能な統一された標準的なプログラミング・モデルを開発者に提供するというビジョンを提示してきた。コドゥリ氏は「このビジョンを今年後半に提供開始予定のoneAPI Goldで実現する見込みだ」としている。また、インテル DevCloudにおいて開発者にDG1への早期アクセスを提供し、セットアップやダウンロード、ハードウェアのインストールを必要とせずにoneAPIで開発を開始できることを発表した。

 前回のArchitecture Day以降、インテルはメモリ分野で大きな前進を遂げてきた。最近では、第3世代インテル Xeon スケーラブル・プロセッサの発表(開発コード名:Cooper Lake)の一環として、第2世代インテル Optane パーシステント・メモリ製品(開発コード名:Barlow Pass)を発表した。また、インテルの4ビット/セルQLCも2020年末までに製品化に移行する予定だ。

 また、絶えず変化する脅威の中で、セキュリティをどのように推進しているかについても詳しく考察した。これには、一般的なマルウェア攻撃方法からの保護に役立つCPUレベルのセキュリティ構造を提供するインテル Control-Flow Enforcement Technologyなどの新しい技術の導入も含まれる。また、基盤となるセキュリティ、ワークロード保護、ソフトウェアの信頼性に関する長期的なビジョンについても説明された。

 インターコネクトにも大きな進展がありました。インテルは2019年3月に、次世代データセンタの性能を高速化するために設計され、Sapphire Rapidsで提供予定のCompute Express Linkの広範なサポートに向けて、業界と協業していくことを発表した。また、顧客エンゲージメントという観点では、シリコンフォトニクスの分野でも大きくリードしてきました。データセンタの変革が進む中、インテルはリーダーシップを発揮し、ネットワーク処理オフロード用の基盤およびSmartNIC製品を通じて、顧客のニーズに対応している。

 インテルのフェローとアーキテクトたちは、2021年、2022年、そしてそれ以降に向けて、熱心に技術開発に取り組んでいる。6つの柱すべてと細分化された設計を活用して、クライアントおよびデータセンタ向け製品のビジョンを紹介した。Intel Labs(インテル・ラボ)の責任者は、世界をリードするラボで研究しているニューロモーフィック・アーキテクチャーのプレビューを含め、新たな研究領域がコンピュートを100倍から1000倍向上させる可能性についても説明した。
 コドゥリ氏は「何十年もの間、インテルはテクノロジー業界の中心的存在であり続けた。私たちの製品は、顧客の製品とともに、人々の仕事、生活、遊びの方法を変えてきた。しかし、インテルの取組みが終わったわけではない。インテルは、新しい時代、それはあらゆる人がエクサスケールのデータを扱うインテリジェント時代、の始まりの入り口に立っている。そして、新しい時代は、比類のないレベルのコンピューティング性能と技術革新の6つの柱の進展によって支えられるだろう」との考えを示している。