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ノキア、KDDI と日本初の液体冷却基地局ソリューションの実証実験を実施

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革新的なエネルギー効率ソリューションで冷却機能の消費電力とCO2を大幅削減、持続可能性を促進

 ノキアは6月18日(エスポー)、同社独自の液体冷却 AirScale ベースバンドソリューションを使った実証実験をKDDIとの間で実施することを発表した。
 この実証実験でKDDIとノキアは、ベースバンド装置向けの冷却システムの消費電力を、従来の気体媒体を使用した空冷ソリューションと比較して70%以上削減できることを実証する。CO2 排出量を80%削減できる機能を持つ熱再利用のオプションを導入することで、効率をさらに高めることができる。KDDIの持続可能性への取り組みと気候変動への取り組みをサポートする液体冷却ソリューションが日本で初めて実証実験の中で試験的に運用される。

 従来の空気冷却システムは騒音が大きく、フィルタ交換やガス交換などの定期的なメンテナンスが必要だったが、ノキアの液体冷却ソリューションはほぼメンテナンス不要で、実質無音なため、テナントが入居している建物での使用に最適な製品。ノキアの基地局の液体冷却装置機能は、熱が発生した部位で直接液体に取り込み、液体の循環によってその部位から熱を取り除く。同装置は、冷却エネルギー関連のCO2排出量を 70%以上削減することができる。

 KDDIはまた、ネットワークにおけるエネルギー消費量の増加に対応するため、AIを活用したエネルギー効率ソリューションとして、ノキアのNokia AVAを試験運用する。このソリューションは、総エネルギーコストを最大20%削減し、持続可能なエネルギー使用パターンへの移行をサポートする。Nokia AVA は、通信事業者の専門知識、AI、クラウドベースの提供を融合させて一貫性のあるエネルギー制御を実現し、エネルギー消費をトラフィックレベルに合わせて動的に調整しながら、優れたユーザ体験も維持する。

 ノキアは、テクノロジーを駆使してCO2排出量の削減に取り組んでいる。ノキアは、最新の科学に基づいた気候変動目標の一環として、1.5℃上昇の温暖化シナリオに沿って、2019 年から 2030 年の間に二酸化炭素排出量を50%削減することをコミットしている。この目標は、自社の事業と製品群、物流、および電子機器製造における排出量を対象としている。ノキアは「今回の実証実験の終了後も、CO2 排出量削減 ソリューションの研究開発に取り組んでいく」との考えを示している。

 ノキア日本法人のノキアソリューションズ&ネットワークス 代表執行役員社長であるジョン・ランカスターレノックス氏は「今回の試験運用は、持続可能性と気候変動に対するノキアの取り組みにおける新たなマイルストーンだ。ノキアは、この全く新しい方式である液体冷却ソリューションを導入した最初のベンダだ。このソリューションにより、通信事業者がより環境に配慮しながら大幅なコスト削減を達成できるようにサポートする」とコメントを出している。

ノキアが昨年フィンランド大使館で実地した「Connected Future 2020」記者説明会では、液体冷却 AirScaleも展示していた。採用した液体は熱変換効率が良いだけでなく、エコの観点から自然分解できるものを選んだという徹底ぶりなので、世界各国の政策にも合致したソリューションとして期待できる。(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)

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