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シスコと大林組が、スマートビル向け「統合ネットワーク構築ガイドライン」を共同で作成

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巧妙化するサイバーセキュリティ対策を強化し、不動産価値向上を支援

 シスコシステムズ(以下、シスコ)は8月23日、大林組と共同で、スマートビル向けの「統合ネットワーク構築ガイドライン」を作成したことを発表した。
 同ガイドラインは、建築工事と一体的に統合ネットワークを構築することを前提とし、シスコの持つネットワークやサイバーセキュリティに関するノウハウと、大林組の持つ建設プロジェクトマネージメントのノウハウを統合したものだという。

スマートビル統合ネットワーク標準ガイドライン(サンプル 一部抜粋)

 近年、働き方改革やDXへの取り組みが加速する中、様々なデバイスのIPネットワーク化やPoE電源供給量の増加により、スマートビルにおいてもWi-Fiアクセスポイントや監視カメラ、IoTセンサなどがIPネットワークに接続されるだけでなく、空調や照明といったビル設備もイーサネット上でBACnetプロトコルの通信が可能となっている。いまや、IPネットワークは電気・ガス・水道に次ぐ「第四のユーティリティ」としてビル設備になくてはならないインフラになっている。
 また、ロボットやAIなどを活用したスマートビル向けの革新的なサービスの活用が始まろうとしているが、ベンダが個別にシステムを導入しているケースが一般的で、異なるサービス間の連携や竣工後のサービスの柔軟な拡張に課題を残している。さらに、クラウドの活用により利便性が高まった反面、スマートビルは巧妙化するサイバー攻撃への対策が求められている。このような背景の中、スマートビル向けの各種サービスを、統合したネットワーク上で実現し、「利便性」「拡張性」を向上させると同時に、サイバーセキュリティへの対策によって「信頼性」も向上させ、不動産価値の向上を目指す機運が高まってきている。
 これらのスマートビル向けの統合ネットワークを実現する上で、日本国内においては、ビル建築とICT双方に精通し、プロジェクトを推進していく体制が確立されていない。これらの課題を解決するために、シスコと大林組は、スマートビル向け「統合ネットワーク構築ガイドライン」を共同で作成することにより、不動産価値向上に寄与し、信頼性の高い「統合ネットワーク」の実現をめざすという。

 同ガイドラインは、統合ネットワークの設計ポイントと構築手順から構成されている。基本計画、基本設計、実施設計、施工、運用といった、一般的な建築プロジェクトの進め方に合わせて、設計のポイント、施工上の注意点なども合わせて記載し、エンジニアのスキル・経験に左右されず質の高い統合ネットワークが構築できるよう配慮している。また、2019年12月経済産業書発行の「ビルシステムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリテ対策ガイドライン第1版」に準拠し、2018年7月内閣サイバーセキュリティセンター発行の「政府機関等の対策基準策定のための統一基準群」を参考に作成している。

 欧米では、既にスマートビルを評価する認証プログラムが導入され、テナントがオフィスビルを選定する際の指標として活用が始まっている。シスコと大林組は「本ガイドラインの展開により、日本におけるスマートビルの構築を進め、不動産価値向上を目指すとともに、今後、工場や学校、病院、商業施設、ホテルといった他の建物用途についても幅広く適用を図っていく」との考えを示している。

 シスコでは、未来の可能性をさらに大きく多様にしていくために、「人」と「場所」や「アイデア」、「モノ」をかつてない組み合わせでつなぐ創意工夫を重ねているという。「すべてのものがつながる」時代に欠かせないネットワーク技術の可能性は、これからもさらに拡がっていく。シスコは「物理的なつながりのみならず、世界のあらゆるつながりに寄与する企業として、最先端技術と柔軟な発想をもって、社会課題の解決に取り組んでいく」としている。