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ビッグデータを高速に処理するデータベースを開発するTileDB社に出資【NTTドコモ・ベンチャーズ】

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 NTTドコモ・ベンチャーズ(以下、NDV)は9月29日、同社が運用するファンドを通じて、ビッグデータを高速に処理するデータベースを開発するTileDBに出資したことを発表した。

 ビッグデータが世界中で増え続ける中、そのデータを保存するためのクラウドデータベースの需要が高まっている。一方、データの保存や処理に必要となる膨大な電力消費量が社会課題の一つになっており、この課題解決のアプローチとして効率の良いデータ処理技術に注目が集まりつつある。また、自然言語処理やゲノムデータ解析、LiDARの画像処理といった先進的な領域において用いられるデータは、サイズや密度などの形式が既存のユースケースと異なるため、従来のデータベースへの読み/書きにおける効率性の悪化等が技術的な課題として指摘されている。

 TileDBは、多様な形式のビッグデータを高速に処理するオープンソースのデータベース技術「TileDB Embedded」ならびにその技術を活用したクラウドデータベース「TileDB Cloud」を開発・提供している。「TileDB Embedded」は多様なデータ形式を独自の画一的な方法でデータベースに格納することで、従来技術と比べて、より高速なデータの読み/書きを実現している。TileDBの持つ技術を活用することにより、多様なユースケースにおけるビッグデータの高速処理だけでなく、処理データ単位当たりの消費電力削減も期待できる。
 現在、TileDBとNTTドコモグループは、携帯電話の位置情報を統計処理して人口動態を推計する「モバイル空間統計」のデータ解析エンジンとしての技術検証を進めている。ここで扱うデータは大容量かつその多くが空欄を含む「スパース(疎)なデータ」と呼ばれる、従来のデータベースでは扱いづらい形式を含むため、TileDBの技術を活用した処理の高速化が期待されている。
NDVは「将来において、TileDB社のビジネスが、モバイル空間統計のみならずNTTドコモのビッグデータ解析を支える技術の一つになることを期待し、今回の出資に至った。今後、NTTグループとの連携や、ドコモのソリューション創出への適用を検討し、新たな価値創造に向けた取り組みを進めていく」との方針を示している。