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ルネサスとwolfSSLが、ルネサスの32ビットマイコン向けにwolfSSL のTLSライブラリを無償で提供開始

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 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)とwolfSSLは10月27日、暗号ライブラリwolfCryptを利用したTLS(Transport Layer Security)ライブラリwolfSSLの商用ライセンスを、ルネサスのユーザが無償で使用できる複数年のライセンス契約を締結したことを発表した。ルネサスのハードウェアセキュリティエンジンを搭載する32ビットマイコンRAファミリ、RXファミリ、SynergyプラットフォームのMCUを対象に、wolfSSLの技術サポートも含めて、ユーザは商用ライセンスを使用することができる。

 ルネサスのマイコンに搭載したハードウェアセキュリティエンジンTSIP(トラステッドセキュアIP)やSCE(Secure Crypto Engine)上にTLSライブラリを搭載することにより、IoT機器に対し、強固なセキュリティ対策を施すことができる。
 wolfSSL はC言語ベースのTLSライブラリで、リソースに制限がある組み込みシステムやRTOS環境での使用に合わせ、軽量かつ高い処理速度、優れた機能を特長としている。wolfSSLは、現在、TLS 1.3およびDTLS 1.2までサポートしており、OpenSSLと比べ1/20のサイズだ。wolfSSLの中核を担う軽量暗号ライブラリwolfCrypt は、米国国立標準技術研究所(NIST)が定めるセキュリティ要件を規定するFIPS 140-2においてレベル1の認証を取得している。
 wolfCryptは、一般的な暗号アルゴリズムに加え、Open Quantum Safeプロジェクトのオープンソースソフトウェアliboqsで利用可能なポスト量子暗号などの先進的なアルゴリズムにも対応している。

 セキュリティは、急成長するIoT市場において、重要な差別化要素であり、ルネサスは幅広いソリューションと認証取得により、セキュリティにおけるリーダシップを確立している。ルネサスは、2021年4月にRX65Nが汎用マイコンとしては初めて、FIPS140-2 レベル3の認証を取得したことを発表した。
 Arm Cortex-Mコア搭載のRAファミリは、Armが提供する認定制度PSA Certifiedのレベル2およびGlobalPlatformのSecurity Evaluation Standard for IoT Platforms(SESIP)のレベル1の認定を取得しており、さらにNIST認証の取得も予定している。ルネサスのマイコンは、強固な鍵管理機能を備えており、特にRAファミリはセキュアキーのインストールを簡素化している。また、ルネサスは暗号処理に対するタイミング攻撃やSPA/DPAサイドチャネル攻撃に対する保護機能を備えるマイコンも提供していく予定だという。

 ルネサスのIoT・インフラ事業本部、MCUビジネス担当の執行役員であるRoger Wendelken氏は「私たちはマイコンのリーダとして、お客様に付加価値を提供することに誇りを持っている。その考えを明確に示すものとして、当社製品に搭載されている多くのセキュリティ機能に加え、wolfSSLの高品質なTLSおよび暗号ソフトウェアの商用ライセンスを無償で提供する」とコメントを出している。

 wolfSSLのCEOである Larry Stefonic氏は「ルネサスは私たちのセキュリティに対する情熱を共有している。ルネサスの非常に多くのお客様が、市場をリードする私たちの暗号ソフトウェアに容易に自由にアクセスし、最高で最新のセキュリティを実装できるようになることを嬉しく思っている。ルネサスは、お客様がより多くのことを容易に実現できようにしている。それはまさに、最高のマイコンベンダがすべきことだと言えるだろう」とコメントを出している。