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NECと東京都市大学が、センシング技術やAI技術を用いたスマートインフラ マネジメントに関する共同研究を開始

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業界初、マルチモーダル データ分析によるスマートインフラ マネジメントに向けて

 NECと東京都市大学は2月14日、センシング技術やAI技術などの先進テクノロジーを活用したスマートインフラ マネジメントに関する共同研究の基本合意書(MOU)を締結し、研究開発を開始した。

 インフラ マネジメントにおいて、多種多様なセンサデータをAI技術により統合的に分析し、対象となる構造の劣化状態を多角的に捉えることによって総合的にインフラを監視する技術の研究開発は業界初(※2023年2月14日現在、NEC・東京都市大学調べ)となる。

背景
 高度経済成長期に建設された多くの社会インフラは建設から長い時間が経過しており、老朽化が深刻な問題となる中、効率的に保守・管理することがますます重要になっている。特に道路構造物(橋梁、トンネル、土工など)では、2014 年より近接目視を基本とする5年に1度の定期点検が「道路法施行規則の一部を改正する省令(平成26年国土交通省令第39号)」及び「トンネル等の健全性の診断結果の分類に関する告示(平成26年国土交通省令告示第426号)」で義務付けられているが、管理者の維持管理費が削減される中で技術者の知見やノウハウなど高度な技術の維持継承が課題となっている。

 これらの課題解決の一つとして、デジタル化への対応が挙げられているが、現在その多くは対象となる異常や構造に対して単一センサデータの分析の活用が中心となっている。一方、保守現場においては様々な検査データの組み合わせを熟練者の知見で行っている。
 両者は「このような社会課題に対し、東京都市大学の持つインフラ メンテナンスの知見とNECの持つセンシング技術やAI技術を融合させることで課題解決をめざす」としている。

共同研究の概要
 今回の共同研究は、NECのモデルフリー分析技術などのデータ分析技術開発の実績・ノウハウと、東京都市大学の橋梁や道路などの社会インフラ/構造物に係る設計/保全技術を組み合わせ、インフラ設備に対する異常予兆監視システムや劣化検知システムの開発・構築に取り組む。
 具体的には、社会インフラ保全のDX化に向けて、橋梁に関するデータの統合とAIによる異常検知、健全度診断などスマートインフラ マネジメントを支える技術の研究・実証として、まずは巡回点検車に設置された高感度カメラや赤外線サーモグラフィカメラ、加速度センサ、マイクなどから収集されるマルチモーダル データを統合的に分析することにより、健全性判定や⻑期劣化傾向などの状態を多角的に監視するAI技術の構築・検証を行う。
 また、橋梁に設置した汎用の光ファイバによる振動データ計測による橋の構造パラメータの推定、交通状況の推定について検証する。
 さらに、センサ設置が不要なセンシング技術として衛星合成開口レーダによる橋梁モニタリングを活用し、近隣の開発工事に伴う既存橋梁への影響について検証を行う。
 両者は「これら橋梁に関する常時監視データと巡回点検車による収集データを組み合わせてインフラを統合的に監視する技術を開発する」としている。

マルチモーダル データ分析によるスマートインフラ マネジメントのイメージ。

共同研究における両者の役割

NEC:AI技術を使った分析、東京都市大学による分析実施の支援、AIエンジンの提供。

東京都市大学:橋梁・道路等の状態監視/メンテナンスに関する知見や課題の分析、点検車による分析データの収集・解析、実証フィールドの選定、役所・公団・コンサル会社との窓口。

 両者は「今回の共同研究で得た実績やノウハウを活かし、2025年を目処に一般橋梁・道路向けに構造物の健全性判定およびインフラの統合監視を実現するスマートインフラ マネジメント システムの社会実装をめざして取り組んでいく」との方針を示している。(この研究は、東京都市大学重点推進研究の助成を受けている)

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