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つくばフォーラム2025Preview【NEC】

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All-Photonics Networkのオープン化に向けた取り組みや、ファイバセンシングソリューションの拡充

オープン光トランスポンダ

TIP Phoenix仕様400Gトランスポンダ「SpectralWave WXシリーズ」。

 SpectralWave WXシリーズは、グローバル標準採用のWhiteboxトランスポンダ。光ネットワークを構成する機器を機能ごとに分割するディスアグリゲーション、およびオープン化に対応することで、新技術の早期採用や、必要機能だけを選択した導入、サプライチェーンリスクの低減、マルチベンダ対応による調達安定性、リードタイム短縮化を実現している。
 WhiteboxベンダはWistron、そして今年一月からEdgecoreとPegatronが加わった。これらに、マルチベンダ対応400GトランシーバやNEC共通ソフトウェア(NOS)を搭載したNECオープン光トランスポンダは、TIP Phoenix仕様のGold Badgeを世界で初めて獲得している。この評価は、南アフリカの最大の移動体通信事業者の1つであるMTNとNTTコミュニケーションズの社内ネットワークにおいて厳格な試験を経ており、高レベルな品質と運用性が認められたことによるものだ。
 想定されるユースケースの一つに、多数のデータセンタを光ファイバで直接接続するデータセンタエクスチェンジ(DCX)がある。NTTとの協業では、光パスの設計・設定・保守の高度化に関する技術を確立。実際のフィールドで実証検証を行い、稼働までの時間が大幅に短縮できることを確認している。NTT/NEC共同で米国の学術網 ”COSMOS” で実証した際は、光波長パスの自動設計・設定の実施において、熟練作業者が2~3時間かけて行う作業を約6分で完了した。そしてNTT/デューク大学/NECで実証(世界初)では、現地で実施していた作業を遠隔から伝送路の状態を数分で可視化し、設計・保守稼働を大幅に短縮した。
 こうした光化×オープン化により、IOWN時代において様々な産業で展開されるアクセス系ユースケースを支えるネットワークへとマイグレーションできる。また、DCXによる、様々な産業での新たなサービス創出も期待できる。

NECのマルチベンダ対応400Gトランシーバも展示される。

NECの光トランシーバ製品は、1.6Tプラガブルや800ZR+を含む豊富なラインアップを取り揃えている。

波長変換を活用したドメイン接続によるコスト削減

 NECは波長を任意の他の波長に変換できる光-電気アナログ-光 (OAO)型波長変換技術の技術に取り組んでおり、波長変換搭載用BOXと波長変換モジュールを組み合わせた波長変換試作機を、2026年度をターゲットに開発を進めている。これは、波長変換によりエンド・ツー・エンドで光による長距離伝送を実現し、トランスポンダによる電気変換と比べて省電力、遅延量を削減する技術であり、ブースではモックアップを展示する。
 このOAO型波長変換器のコア技術と、NTTのPhotonic Exchangeを組み合わせた、NTT/NECの共同研究では、波長変換しながら長距離伝送する技術を確立した。NECは「エンド・ツー・エンド光パスを提供するには、接続先までの全てのルートで光パスに割り当てられる波長を同一にする必要があるため、波長を任意の他の波長に変換できるNECのOAO型波長変換技術を適用し、実証実験を実施した」とし、「長距離伝送が難しい部分だったが、光パスに4回の波長変換を施しても3,000km以上の伝送性能を確保できることを、実験により確認した。また、従来の波長変換手法と比較して、波長変換により生じる消費電力を約90%削減、遅延量を約99%削減した」と説明する。

左:「波長変換搭載用BOX」。右:「波長変換モジュール」。

可搬型の小型光ファイバセンサやリモートアプリ

 NEC Fiber Optic Smart Sensing Solutionは、同社のファイバセンシング技術とAI 技術を組み合わせた、環境モニタリングのソリューション。ファイバ自体をセンサとするので、点の検知ではなく、線の検知を展開できる特長がある。これに、NECの最先端 AI技術群を活用した、高性能なデータ分析が加わる。
 振動、歪み、温度の検知が可能であり、様々な産業での広がりが期待できる。ブースでは、通信インフラにおけるユースケースとして、ファイバ断特定、局舎への進入検知、共同溝内(通信・ガス等ライフライン設備) の監視・管理などが、イラストを交えて紹介される。
 局舎にある光ファイバセンシング装置が解析した検知情報を、リモートで確認できる専用アプリも用意されている。例えばマンホール打撃作業でこれを利用すると、マンホールを打撃する現場の人員がその場で位置を特定できるので、局舎内で検知情報を確認する人員の配置が不要となる。
 可搬型の小型光ファイバセンサLS3100シリーズもラインアップしている。外形寸法は、210mm(W) × 260mm(D) × 85mm(H)。50km以上(損失13dB)の長距離センシングが可能で、OTDR機能やバッテリーを内蔵している。NECは「振動検知機能を主としたモデルと、これに歪み/温度測定機能を追加したモデルをご用意しているので、従来の据え置きモデルも含め、お客様のニーズに最適なものをご提案できる」と話す。

上:可搬型の小型光ファイバセンサ「LS3100シリーズ」。
下:据え置きモデル「LS3300」。

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