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シスコがSplunkの買収を完了

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Splunkにより、データ活用のあり方を刷新、組織のあらゆる側面をつなぎ、保護する体制をさらに強化

 シスコは3月18日(カリフォルニア州サンノゼ)、Splunkの買収を完了し、組織のデジタルフットプリント全体に対する比類ない可視性とインサイトを提供する基盤が整ったことを発表した。(本抄訳は日本時間3月18日に日本法人より提供)

 組織が新たなデジタルの時代に繁栄していくためには、あらゆる業務をつなぎ保護する必要がある。事業を支える人、場所、アプリケーション、データ、デバイスをつなぎ、デジタルフットプリント全体を、サイバーセキュリティの脅威、ダウンタイム、その他深刻な事業リスクから保護することが求められる。
 シスコは「ネットワークの力を最大限に引き出し、市場をリードするセキュリティおよびオブザーバビリティのデータを合わせて活用することで、デジタルランドスケープ全体をリアルタイムに見えるようにし、重要なインフラストラクチャを前もって保護し、障害の防止、ネットワーク体験の向上を支援する」としている。

 シスコの会長 兼 CEOであるチャック・ロビンス氏は「Splunkを当社に正式に迎えることができ、大変嬉しく思っている。世界最大級のソフトウェア企業となることで、データ活用のあり方を刷新し、組織のあらゆる側面をつなぎ保護し、AI革命の推進と安全性の確保を支援していく」とコメントを出している。

 Splunkのエグゼクティブ バイス プレジデントでゼネラルマネージャであるゲーリー・スティール氏は「Splunkとシスコが1 つになることで、世界中のお客様に両社の非常に大きな価値を提供する。シスコとSplunkがタッグを組むことで、組織のデジタルフットプリント全体にわたり、真に包括的な可視性とインサイトを提供し、市場で最も広範で強力なセキュリティおよびオブザーバビリティ製品ポートフォリオでこれまでにない水準のレジリエンスを実現する」とコメントを出している。

シスコ、AI革命を推進しつつ安全性を確保

 AIは、これまでのどのテクノロジーが導入された時より速いペースで普及し影響が拡大している。
 AIから意味のあるメリットを引き出し、従来不可能だった成果を達成するためには、適切なデータを大規模かつ効果的に活用することが不可欠だ。AIから本当のメリットを得るために必要となるのは、「AIを動かすためのインフラストラクチャ」、「AI開発のためのデータ」、「AIを保護するためのセキュリティ プラットフォーム」、「リアルタイムにAIを監視・管理するためのオブザーバビリティ プラットフォーム」であり、シスコがこの4つをまとめて同時に行うことができるようになる。

 IDCのI&O、クラウドオペレーションズ、DevOps担当グループバイスプレジデントであるスティーブン・エリオット氏は「シスコとSplunkの連携は大きな変化をもたらすものであり、これまで不可能だったことが可能となる。買収完了により、シスコはネットワーキング、セキュリティ、オペレーション担当エグゼクティブ向けの市場でユニークな一連のソリューションを構築した。これにチャネルやAI投資が追加されることで、顧客は、今以上の高いビジネス価値を引き出すことができると考えるはずだ」とコメントを出している。

 アクセンチュアの会長 兼 CEOであるジュリー・スウィート氏は「当社はシスコのSplunk買収に祝意を表している。両社と長年のパートナー関係にある当社は、今回の協力体制により今後当社の顧客にチャンスがもたらされると期待している」とコメントを出している。

連携による向上:シスコとSplunkが一体となって祝意を表す顧客やパートナー、開発者にメリットを提供

 シスコとSplunkの連携は、顧客に以下を提供する。

セキュリティの向上
あらゆる規模の組織における脅威の防御、検出、調査、対応を支援する非常に包括的なセキュリティソリューションにより、クラウド、ネットワーク、エンドポイントトラフィックを活用して比類ない可視性を実現する。

オブザーバビリティの向上
非常に包括的なフルスタックのオブザーバビリティ ソリューションにより、驚異的なデジタル体験をマルチクラウド/ハイブリッド環境で提供する。

ネットワーキングの向上

主力のセキュアネットワーキング ソリューションをインテリジェントかつレジリエントで常時最適化されるネットワーク インフラストラクチャ上で提供する。

AIの向上
シスコのネットワーキング ポートフォリオを強化されたセキュリティ、フルスタックのオブザーバビリティ、包括的なデータプラットフォームとともに提供し、顧客が組織やアプリケーション全体でAIの力を安全に活用できるようにする。

経済性の向上
シスコとSplunkのプラットフォーム型のアプローチで、顧客が数々の個別製品を集約し、業績の向上、コスト削減を実現できるよう支援する。

 またシスコとSplunkは、世界の開発者やパートナーのコミュニティに幅広い体験を提供し、顧客向けのパッケージ化されたアプリケーションやソリューションにより、セキュリティ、オブザーバビリティ、データプラットフォーム機能を拡充する。両社の1 つになったパートナーエコシステムは、付加価値の高いサービスを通して、そして革新的な新しいアプリケーションや AI によるソリューションを展開することで、優れた収益の流れを新たに生み出す。

 シスコは「今後数ヶ月の間に、Splunkとの統合により、お客様はポートフォリオ全体で多くの新製品イノベーションを期待することができる。これらのイノベーションの多くは、6月2日から4日に開催される Cisco Live と、6月11日から14日に開催される .conf24 で紹介される予定だ」としている。

取引内容

 契約条件に基づき、シスコはSplunkを1株あたり157ドルの現金(株式価値約280億ドル)で買収した。この取引では、キャッシュフローはプラスとなり(買収に関連する一部の項目などを除く)、シスコの2025年度のNon-GAAP売上総利益の増加、2026年度のNon-GAAP EPSの増加を見込んでいる。また、シスコの収益の増加、Non-GAAP売上総利益の拡大を加速する。
 シスコとSplunkはNASDAQに買収の完了を通知し、NASDAQに対し、Splunkの代理で上場廃止の通知を米国証券取引委員会(SEC)に提出するよう依頼した。Splunkの普通株式は、3月18日(カリフォルニア州サンノゼ)の取引開始前にNASDAQでの取引を停止した。