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シスコが、分散型エージェンティック AI ワークロード向けの新プラットフォーム Unified Edgeを発表

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AIワークロード向け新プラットフォームUnified Edgeは、データが生成・処理されるエッジにおいて、エージェント型AIおよび物理AIワークロードのリアルタイム推論を実現し、企業のAI活用を推進

Cisco Unified Edge

 シスコは11月3日、分散AIワークロード向けの統合コンピューティング プラットフォームであるCisco Unified Edgeを発表した。(本抄訳は、11月18日に日本法人より提供)

 小売店から医療機関、工場などさまざまな場所で、コンピューティング、ネットワーキング、ストレージ、セキュリティをデータに近い場所で統合し、リアルタイムAI推論やエージェント型ワークロードを実現する。これは、AIビジョンの実現に不可欠であり、従来のワークロードとAIワークロードの土台となるインフラストラクチャとなる。

 今日のAIパイロット運用の半数以上がインフラストラクチャの制約により停滞しており、新たな分散型のネットワークアーキテクチャの導入が急務となっている。今年、企業データの75%がエッジで生成、処理されると予測されており、エッジはAIの新たな最前線となっている。AIワークロードは、集約型のモデル学習からリアルタイム推論へと急速に移行しており、従来型のデータセンタではAIの要件に対応するのが困難になっている。AIエージェントの台頭により、ネットワークトラフィックはこれまでの予測可能なバーストから、絶え間なく高負荷がかかる状態へと変化し、エージェント型AIのクエリはチャットボットと比較して最大25倍ものネットワークトラフィックを生成している。そのため、AIワークロードでは、データをデータセンタから送受信するのではなく、モデルとインフラストラクチャをデータ生成地点、意思決定が行われる場所の近くに配置する必要がある。

 シスコのプレジデント 兼 最高プロダクト責任者であるジーツ・パテル(Jeetu Patel)氏は「今日のインフラストラクチャはAIを大規模に支えるニーズに対応しきれていない。AIエージェントやAI体験が普及する中で、支店、小売店舗、工場、スタジアムなど、お客様とのやり取りや意思決定が行われる場所により近い所でこれらの機能が提供されるようになるのは自然なことだ。コンピューティング機能はそのような場所に存在する必要がある。Unified Edgeは、柔軟で安全、需要の拡大に応じて容易に導入、運用、拡張できるシステムを通じて、AIを現実世界でより簡単に活用できるようにしている」とコメントを出している。

エージェント型 AI のためのコンピューティングを刷新
 Cisco Unified Edge は、エッジからコアに至るまでリアルタイム推論とエージェント型ワークロードを実現し、企業が安心してAI を大規模に導入、管理できるようにする。このプラットフォームは、既存システムを全面的に入れ替えることなく、拡大して適応できる設計となっており、AI投資を保護し、まだ構想段階にあるユースケースやサービスを実現する。

●高いパフォーマンスとモジュール性でリアルタイムAIを支援:フルスタックのコンバージドアーキテクチャにより、コンピューティング、ストレージ、さらにはネットワーキングを単一のプラットフォームに統合し、広範なパートナーエコシステムがそれを支える。モジュール型のシャーシは、CPU および GPU 構成、冗長電源と冷却システム、高性能 SD-WAN ネットワーク、現行アプリケーションおよびまだ誰も考えたことのないようなアプリケーションに対応する事前検証済みの設計を提供する。

●エッジからコアまで運用の簡素化:ゼロタッチ展開と事前検証済みのブループリントにより、高速で予測可能なAI展開を実現する。Cisco Intersightによる一元管理およびフリート全体の運用自動化により、専門知識を持つ現場技術担当者を必要とせず、拡張、トラブルシューティング、アップグレードを簡素化する。さらに、SplunkおよびThousandEyes との統合により、エンド・ツー・エンドのオブザーバビリティを確保し、大規模なエッジ管理を民主化する。

●エッジAIのための組み込まれたセキュリティ:複数レイヤのゼロトラストセキュリティにより、あらゆるレイヤでAI環境を保護する。改ざん防止機能、詳細なテレメトリ、一貫したポリシー、設定ドリフト(ずれ)がないため、レジリエンスを確保しつつ、監査証跡が運用拡大時のコンプライアンスを保証する。デバイスレベルでセキュリティが組み込まれており、ゼロトラストを適用することも可能で、すべてのアクセス、セグメンテーション、アプリケーションおよびAIモデルを保護する。このアプローチにより、エッジにおける攻撃対象領域の拡大に対処し、物理的脅威やサイバー脅威からAI運用を安全に保護できるようにする。

各業界で画期的な成果を実現
 シスコは、小売業、製造業、金融サービス、ヘルスケアなどのお客様と緊密に連携し、複雑で制約の多い現実世界に対処できるプラットフォームを共同で設計している。これにより、現在の従来型のワークロードと、将来の先進的AIワークロードの両方に対応することが可能となる。企業は、明日のビジョン(CPUに負荷の高い AI ワークロード)を見据えつつ、今日の現実(CPU で処理可能なリアルタイムアプリケーション)にも対処する必要がある。顧客のフィードバックは、システムアーキテクチャから、プラットフォームの導入、保護、大規模運用管理まで、あらゆる設計に直接反映されています。店舗における AIワークロードの実行や、銀行支店における安全なデジタルサービスの提供など、このプラットフォームは、最も必要な場所でリアルタイムの意思決定を支援する。

パートナー:AI成功のための礎
 シスコの顧客やパートナーは絶えず変化し進化するAI環境に対峙しており、シスコは業界全体と連携し、オープンで柔軟な環境、多様な選択肢を提供することに取り組んでいる。シスコは、AIに向けた顧客それぞれの独自の取り組みを尊重し、テクノロジー、マネージドサービス、ISV、リセラーなどから構成される広範なパートナーエコシステムとともに、企業が野心的なAI目標を実現できるよう支援していく。AIには、新たな水準の専門性と、複雑化に対応できる統合されたシンプルなソリューションが必要となる。シスコの世界的なパートナーエコシステムが顧客の道を切り拓く。

 Intelのネットワーク & エッジグループ バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャであるCristina Rodriguez 氏は「IntelとシスコのUnified Edgeにおけるコラボレーションは、分散コンピューティングに対する考え方の根本的な転換を示すものだ。Intelのシリコン技術の革新とシスコのネットワーキングおよびコンピューティングの専門性を組み合わせ、単にエッジ拠点をつなぐだけでなく、データが処理されるあらゆる場所でデータセンタの力をフル活用できるようにする。Intel Xeon 6 SoCは、高スループットで低遅延の処理を行うためにエッジシステムが必要とする柔軟で効率的な基盤を提供し、シスコのモジュール型のコンピューティング設計と統合運用モデルは、より簡単で安全な AI ワークロードの管理を実現する」とコメントを出している。

 Verizonの米国ソリューション アーキテクチャ担当バイスプレジデントであるLee Field 氏は「エッジの重要性は今日において特に明確だ。エッジにおけるAI の早期導入は、業界全体を大きく変える競争上の優位性につながる。もはや傍観している余裕はない。AIやテクノロジーは急速に進歩しており、将来は予測できない。将来性の保証された柔軟性をエッジプラットフォームに組み込むことが重要だ。Verizonとシスコは、イノベーションに対する共通のビジョンを有しており、簡素さ、信頼性、一貫性に注力してこの目標の達成をめざしている」とコメントを出している。

 Rockwell Automationの会長 兼 CEOであるBlake Moret氏は「AIの生産性を最大化することは、製造現場にとってプラスであり、個々の自動化の仕組みを連携させることが不可欠だ。工場の複数ラインを連携させ、さらに複数工場を連携させることで、ペタバイト規模のデータが生成される。データセンタで実行する方が適切なアプリケーションについては今後も適切に対処する。一方、特に製造現場ではリアルタイムにエッジで行うべきでありそこには意思決定も存在する。エッジコンピューティングには、コンピューティング、ネットワーキング、そしてセキュリティが統合されたプラットフォームのアプローチが必要だ。エッジにおける高性能で安全なネットワーキングは絶対不可欠だ」とコメントを出している。

 World Wide Technologyのグローバルソリューションズ&アーキテクチャ担当 SVPであるBrian Ortbals氏は「AIおよびデータ処理が中央集約型のデータセンタからオンプレミスのエッジに移行する中で、顧客は現場地点で迅速且つ安全なソリューションを必要としている。Cisco Unified Edge により、強力で安全なクラウドおよび AI インフラストラクチャをデータ生成地点までシームレスに拡張することで、顧客と顧客のモデルがエッジで推論を行い、迅速に意思決定できるようになる。このソリューションの提供は、顧客との関係を強化するとともに、将来に備えたテクノロジー導入の最前線に立つことを意味する」とコメントを出している。

 CUBE Researchの首席アナリストであるBob Laliberte氏は「AIの真の力は、データの発生源に近い場所で推論と分析を行えるようになったときだ。それにより、エッジは次世代AI の新たな最前線となる。エージェント型AIや物理AIでは、急増するネットワークトラフィックとリアルタイム分析を処理するため、エッジ上でのコンピューティング能力が必要となる。Cisco Unified Edgeは、AIを導入して真の事業成果につなげることに苦慮している企業に対し、より簡単にAIを導入し運用できるようにするものだ」とコメントを出している。

提供時期
 Cisco Unified Edge プラットフォームは現在受注可能であり、年内に一般提供の開始を予定している。