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シスコが、AI時代のエンタープライズ向けセキュアネットワーク アーキテクチャを強化

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 シスコは11月3日、エンタープライズ向けのAI対応セキュア ネットワーク アーキテクチャの提供開始に続き、AI 時代におけるキャンパスネットワーク、ブランチネットワーク、産業ネットワークを刷新するイノベーションを発表した。(本抄訳は、11月18日に日本法人より提供)

シスコがセキュアでシンプルかつスケーラブルなネットワークを実現

 シスコのソリューションは、運用を簡素化し、変化するビジネスニーズに合わせて拡張でき、セキュリティを強化させる。これらはいずれも、エンタープライズAIの可能性を引き出すために欠かせない要素だ。高度に分散化されたネットワーク全体で、数か月から数分に自動化された導入とセキュリティを実現するよう設計されたこれらのイノベーションは、エンタープライズエッジへ移行が進む分散型AIワークロードに求められる、広帯域、超低遅延、インテリジェントなトラフィック管理を可能にする。

 シスコのプレジデント 兼 最高プロダクト責任者であるジーツ・パテル(Jeetu Patel)氏は「未来のネットワークは、キャンパスネットワークやブランチネットワークを急速に広がるAI体験に必要な膨大な処理能力と帯域幅の要件に対応する必要があるだけでなく、自らも強力なAIツールによって備え、容易に導入し、安全に保護できる必要がある。シスコは、AIの急速な成長に合わせて拡張できる唯一のネットワーク インフラストラクチャを提供すると同時に、過負荷でリソース不足のIT部門に、コアからエッジまでの展開を管理し、安全に保護できる真のエージェント型ツールを提供する」とコメントを出している。

 Presidioの最新ネットワーク担当VPであるBrian Wisler氏は「Presidio はシスコと連携し、シスコのUnified Branchを通して安全で高性能なブランチネットワークを提供することで、組織がセキュリティやAIの条件に対応できるよう支援している。このフルマネージド自動化ソリューションは、導入を効率化し、数分で新たなサイトを立ち上げ、顧客が今日のAI時代の課題と機会の両方に迅速に対応できるようになる」とコメントを出している。

AgenticOpsによる運用の簡素化
 シスコは、AIエージェントと人間のチームが連携して、問題を事前に解決する新しい運用モデル「AgenticOps」への移行を主導している。この新たなIT管理のアプローチは、高度なAIと自動化を活用して、最も複雑なネットワークさえも簡素化する。シスコ独自の領域特化型大規模言語モデル、Deep Network Modelと、高度なネットワークテクノロジーを合わせ、単一の使いやすいプラットフォーム上で提供することで、IT部門が定型業務の自動化、迅速なトラブルシューティング、インフラストラクチャ全体の統合的な可視化を実現できる。主な機能強化は以下のとおり。

●統合ネットワークの可視化:Meraki Dashboardの新機能「Global Overview」により、Catalyst Center で管理されるネットワークへの直接的な可視化とアクセスができるようになり、単一のクラウドダッシュボード環境を提供する。これにより、クラウドベースかオンプレミスかを問わず、キャンパスおよびブランチ全体におけるネットワーク管理が大幅に簡素化される。ベータ版は2025年11月、一般提供は 2025年第4四半期(暦年)の予定だ。

●キャンパス管理の簡素化:スケーラブルで安全なアーキテクチャ、クラウド管理型ファブリックの導入により、ネットワーク管理を簡素化する。クラウド管理型ファブリックは、大規模サイトのプロビジョニング、管理、トラブルシューティングに必要な手順を削減し、適応型セグメンテーションポリシーを使用できるようにする。ベータ版は2025年第4四半期、一般提供は2026年第1四半期(暦年)の予定だ。

●エージェント型ワークフロー自動化:11月3日(米国時間)より提供開始。Meraki、Catalyst Center、Catalyst SD-WAN Manager、ISE、Nexus などを横断するワークフローをAI ASSISTANTで自動化、オーケストレーションが可能だ。簡単なプロンプトで、AI ASSISTANTがスイッチ移行、Wi-Fi 設定、デバイスの登録設定といった従来の手作業を自動化することができる。

●AIによる連携したトラブルシューティング:AgenticOps を実現するために構築された AI Canvasにより、NetOps、SecOps、アプリケーション部門がAIエージェントと連携し、領域横断的な問題をより迅速に解決できるよう支援する。チームはAI Canvas内の AI ASSISTANTを活用し、リアルタイムテレメトリ、AIインサイト、コラボレーション機能を単一のインテリジェントワークスペースに統合することで、自然言語でネットワークの問題を数秒で診断して解決することができる。

パートナーや顧客によるブランチ展開がより簡単に
 IT部門はこれまで以上に迅速な対応が求められる一方で、分断された製品間のギャップによって生じる運用の複雑化、セキュリティ上の懸念に直面している。Cisco Unified Branchの新たな革新的ソリューションにより、迅速かつ信頼性を確保しながらブランチを導入できるようになる。新たな自動化ツールキットと、Agentic Workflowsを搭載した Cisco Validated Designsにより、シスコパートナーは顧客のIT部門がブランチの展開、拡張、保護を数時間から数分に短縮し、エラーや複雑さを最小限に抑えられるよう支援できるようになる。40年以上にわたるシスコのネットワーキングおよびセキュリティにおける 専門性を活かしたレジリエントなブランチネットワークを迅速に確実に展開可能だ。
 例えば、小売業が全国に50店舗を新規オープンする場合、各店舗ではシスコのネットワーク機器を接続するだけで、手動の設定は必要ない。本社のIT部門がクラウドダッシュボードを利用して、接続、セキュリティ、モニタリングのプロビジョニングを数分で行う。セキュリティポリシーとネットワークのセグメンテーションは自動的に適用され、継続的なモニタリングにより現場に専門の担当者を配置することなく保護が確保される。その結果、迅速で安全な展開と、大規模運用の簡素化を実現し、複雑な運用をわずか数回のクリックで完了することができる。

AI向けに特化したスケーラブルデバイス
 シスコは、安全で高性能なネットワーキングおよびワイヤレス接続における最新のイノベーションを発表した。分散型組織が高度なルーティングおよび次世代 Wi-Fi 機能を活用できるように設計されている。主な内容は以下のとおり。

●セキュアな高性能ルーティング:新型 8200 Series Secure Routerおよび8400 Series Secure Routerは、ブランチやキャンパス環境向けの高性能なルーティング、内蔵ファイアウォールによる高度なセキュリティ、超低遅延性を実現し、シームレスで自動化された接続性を提供する。2025年第4四半期(暦年)に受注開始予定。

●超高速・自動化ワイヤレス接続:新たな Wi-Fi 7 アクセスポイント(CW9171I、CW9174 Series)および 低密度から中密度の環境向けのCW9800L Wireless Controller は、高スループット、低遅延、インテリジェントな管理機能を備え、シームレスな拡張を実現する。Roaming Healthおよび今後提供予定のCisco ThousandEyes搭載のActive Testingなどの新たなワイヤレス保証機能は、ワイヤレスアクセスポイントを活用して、可視性の向上、トラブルシューティングの迅速化、パフォーマンスの最適化を実現する。2025 年第 4 四半期(暦年)に受注開始予定。

ネットワークに融合されたセキュリティ
 簡素で可視性と制御性の高いソリューションにより IT 部門を支援するため、シスコはクラウド管理型、アイデンティティ駆動アーキテクチャを提供し、アクセス制御とクラウドセキュリティをMerakiダッシュボード内で統合させる。この新たなアプローチにより、運用を簡素化し、ブランチ、キャンパス、クラウド全体で防御を強化し、限られたリソースで拡大する攻撃対象領域を守るという二重の課題に対処する。これらの新たなセキュリティソリューションは、統一されたポリシー適用を活用して運用を簡素化し、以下に示すように、キャンパスからクラウド環境全体にわたるユーザ、デバイス、モノを保護する。

●エッジでのセキュリティ:Cisco Secure Access はゼロトラストをクラウドに拡張し、あらゆる場所のユーザやアプリケーションの一貫した保護を提供する。Merakiを含む Cisco SD-WANの全製品が Cisco Secure Access と連携し、完全な SASE(secure access service edge)ソリューションを実現する。これにより、SaaS、インターネット、プライベートアプリに統合されたアイデンティティに基づくポリシーを適用し、オンプレミス環境とクラウド環境におけるポリシーのギャップを解消し、ハイブリッドワーク環境において安全でシームレスなアクセスを提供し、すべての接続を単一のポリシーフレームワークで管理できるようにする。

●アイデンティティベースのセキュリティ:新たなCisco Access Manager は、アイデンティティをネットワークに組み込み、Meraki ダッシュボードからネイティブに完全なアイデンティティに基づくアクセス制御を実現する。Cisco ISEを基盤とし、クラウド管理型ネットワーク向けに最適化され、SaaSとして提供されるAccess Managerは、ハードウェアや複雑な設定の必要がなく、簡単に導入できるよう設計されている。適応型セグメンテーションにより、ユーザ、デバイス、IoTをアイデンティティおよびポスチャにより分離し、ブランチのあらゆる接続が確実に認証され、セグメント化され、セキュリティを確保する。2025年第4四半期(暦年)に一般提供を開始する予定だ。

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