光通信、映像伝送ビジネスの実務者向け専門情報サイト

光通信ビジネスの実務者向け専門誌 - オプトコム

有料会員様向けコンテンツ

ケーブル技術ショー2017Review【CATV市場向けRF/IPハイブリッド4K-STB】

期間限定無料公開 有料

 住友電気工業(以下、住友電工)は、CATV市場向けにAndroid TVを採用したRF/IPハイブリッド4K対応セットトップボックス「ケーブルプラスSTB」を展示。開催初日である720日に、KDDIが全国のCATV事業者に提供を開始したことを発表した新製品だ。4K放送や、IP配信の4K映像・投稿動画も視聴できる。

Android TVによるユーザエクスペリエンスの向上

 住友電工は「ケーブルプラスSTB」の開発にあたり、KDDIと話し合い、現行のケーブルSTBに不足している部分を補う4つのコンセプトを搭載し、従来よりも多機能ながら簡単に扱えるSTBを目標としたという。この4つのコンセプトとは、「ユーザエクスペリエンスの向上」「モバイル・ネットワークとの連携強化」「事業者向けの保守サービスの提供」「地域密着サービスの提供」だ。
 ユーザエクスペリエンスの向上では、Googleが提供しているAndroid TVをOSとして採用している。これにより、映画、音楽、ゲームなどの様々なサービスを利用できる。担当者は「Googleから新しいアプリケーションが次々と出てくるので、従来のテレビのような一方的なサービスではなく、加入者は好きなアプリを選び、自由にダウンロードして楽しんで頂ける」としており、「また、携帯の画面をテレビの大画面にキャストして見ていただくことも可能だ。例えばスカイプなどのアプリを携帯で使いテレビ側に映して頂くと、テレビ会議ができる」と話している。

リモコンのマイクによる音声検索や、最新のGガイド番組表を搭載

 リモコンのマイクによる音声検索も可能だ。地デジやBS、そしてインターネットの動画サービスを一括で検索できる。担当者は「従来機種の検索機能であれば放送とインターネットを別々に検索しなくてはならなかったが、この製品ならば一括検索ができる。RFとIPの多機能だから操作が複雑になるということはなく、簡単に扱えるように開発した」と話す。音声認識は文字検索と同様にGoogle側がスペルを補正するので、発音のしづらいワードでも正確に検索ができる。
 Gガイドはインターネット接続の最新バージョンを採用しており、一ヶ月先の番組情報の取得、人物の検索が可能だ。

モバイル端末・インターネットとの連携

 ホームネットワーク内のサーバ機能は、スマートフォンやタブレット等といったDLNA対応プレイヤ端末に対して、放送中の番組や録画したコンテンツを配信できるので、宅内のどこにいても視聴が可能だ。また、プレイヤ機能も有しており、他のDLNAサーバから配信されたコンテンツの再生も可能だ。
 外出先からも自宅のケーブルプラスSTBにアクセスして放送中の番組や録画したコンテンツの視聴、録画予約を行える。また、モバイル端末に「ケーブルプラスSTB」で録画したコンテンツの持ち出し(高速ダビング)も可能だ。

事業者向け保守サービスや地域密着サービスへの対応

 事業者向けの保守サービスではTR-069を採用しており、リモートでのファームウェア更新、機器の設定確認/変更/リセットなどができる。視聴情報の収集も可能なので、サービスの向上を図ることができる。担当者は「CATV事業者様の地域密着型サービスにお役立ていただけるよう、スタート画面をカスタマイズできる機能を備えた。例えば、加入者がスタートボタンを押した時に表示したいサービスを自由に設定できる」と話している。

今後の展望

 住友電工にはキャリア市場向けにIP-STBを長年提供してきた実績がある。2005年に2K-IP-STBを、2014年には4K-IP-STBをリリースしている。これらの技術をベースにCATV市場向け4K- IP-STB「ST-4173」を2016年にリリース。今回発表された「ケーブルプラスSTB」はこれらのノウハウを基に開発されたRF/IPハイブリッド4K-STBとなる。
 同社では18年度末の高度BS4K放送への取り組みとして、ハイブリッドSTB、更には高度BSのIP再送信に対応するIP-STBも検討しているという。担当者は「今まさに仕様を検討している段階なので、皆様からトラモジ対応やIF対応など忌憚のないご意見を頂き、製品に反映し、事業者と加入者が喜ぶ製品を作りたいと思っている」としており、「IPとRFの両面からソリューションを提供していく」と話している。

ケーブルプラスSTB