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「通信・放送Week 2021」開催直前 主催者インタビュー

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 今年で21回目の開催を迎える、アジア最大級の次世代 光通信技術の専門展「光通信技術展」。同展をベースに、無線技術や映像技術まで規模を拡大した「通信・放送Week2021」が、10月27日~29日の日程で幕張メッセにて開催される。
 
 「通信・放送Week2021」は通信や放送インフラを支える「光通信技術展」「5G/IoT 通信展」「映像伝送 EXPO」「4K・8K 映像技術展」で構成。また、併設展として「Japan IT Week」「AI・人工知能EXPO」「XR総合展」も開催されるので、日本最大規模のICTイベントとなる。

 大規模なイベントということで気になるのは感染症対策だが、主催のRX Japan(旧リードエグジビション ジャパン)は「コロナ禍において180本以上の展示会を開催してきたが、感染症対策を徹底したことでクラスター報告をゼロに抑えている」と話す。

 今回のインタビューでは、「通信・放送Week」事務局から、展示会の概要や、感染症対策の詳細、リアル展示会の需要について話を聞いた。
(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)

期待を超えるビジネスを実現するマッチングイベント

右:通信・放送Week事務局長の土屋勝利氏
左:通信・放送Week事務局の近藤直暉氏

OPTCOM:今年も「通信・放送Week」がリアル開催されますが、多くの展示会を主催している企業として、コロナ禍による展示会ビジネスの環境の変化をどのように感じていますか?
土屋事務局長:昨年は前例のない状況だったことから、各展示会の出展社や来場者にリアルで展示会を開催する意義や感染症対策の徹底をご説明する状態でした。ですが今年は、リモート開催のみの弊社展示会に対して、どうしてリアル展示会を開催しないのかというご意見が増えています。これは、皆さんがリモートワークを導入して、リモートの便利さを経験すると同時に、リアルの方が適している業務内容を判別したことで、展示会はリアルが良いとご判断されたことの表れかと思います。
 例えば、初対面の方との商談はリモートでは難しいというご意見は少なくありません。コロナ禍でビジネス環境が変わり、新しい試みが必要な今だからこそ、新規のビジネスパートナー探しは直接会って話をしたい、専門家に課題を相談して生の声を聴きたいというニーズは増えています。また、デモンストレーションも現物を直に見たいというニーズは強く、イメージしやすい例としては、4K、8K映像製品のデモがリモートでは難しいことが挙げられます。
 また、様々な商材が集まる総合展示会ということで、来場者が想定していなかった商材を発見できるというメリットもリアル展示会には有ります。会場内を歩いていると五感から様々な情報が入ってくるので、目的のブース以外の展示品やパネルが気になった、人の集まっているブースが目に入った、熱心な質疑応答が耳に入った、そうしたことで興味を持ち、自分のビジネスに活かせる思わぬ発見があるというのが、リアル展示会の良さ、展示会本来の良さと言えます。弊社のポリシーの1つとして“期待通りではなく期待を超えるビジネス”というのがあり、来場者が展示会場で新たな観点を得ることでビジネスマッチングを広げる、これを実現できるのがリアル展示会の意義だと思っています。

――「通信・放送Week2021」の展示規模や傾向を教えてください。
近藤氏:4展の合計で150社の出展が決まっています。昨年新設した「ローカル5Gゾーン」は通信と映像の両方に関連することもあり、特に出展社数が増えている状況です。
 昨年は展示会全般で大手企業が出展を控える傾向にありましたが、今年は「通信・放送Week2021」を含めて復活しています。やはりこれも、リモートとリアルを比較した中で、展示会はリアルの方が良いというご判断によるものかと思います。
 また、コロナ禍による影響としては海外からの出展の難しさがあります。従来通りの形で出展する海外企業もいらっしゃいますが、やはり来日は厳しいというケースもあります。そこで今回は新たな試みとして、遠隔出展プランを始めました。

土屋事務局長:遠隔出展プランは、製品自体はブースでリアルに展示をしながら出展担当者は海外からリモートで商談するというものです。ブースには日本人のスタッフが常駐しており、一見すると普通のブースなのですが、詳しい説明となった時にブースのスタッフが海外の担当者にオンラインの手続きをして商談や解説が始まります。既に弊社主催の他の展示会で導入しているのですが、従来の海外出展社ブースに言語サポートのスタッフが付いたイメージなので商談しやすいとのお声を頂いており、商談受注の実績が増えている状況です。今回、「通信・放送Week2021」では7社がこの形式での出展を予定しています。

――今年のセミナーはどのようなプログラムなのでしょう。
近藤氏:
今回は、過去一番と言って良いほど多分野にわたるプログラムになったことが特長です。
 「光通信技術展」の基調講演では、さくらインターネットの田中社長よりデータセンタ戦略、TSMCジャパンの小野寺社長より半導体イノベーションによるDXについてお話しいただきます。
 専門技術セミナーは、光通信に関する講演を22本ご用意しています。今回は、従来のような3講演で1セットの聴講形式ではなく、1講演単位で聴講いただける形式に変更しました。これにより、複数の分野の講演から選別することができるようになり、もちろん従来のように関連する分野の講演に集中する組み合わせもお選びいただけますので、選択の自由度が増した形となります。

土屋事務局長:結果として1回の講演ごとに聴講者の入れ替えや席の消毒が可能となりますので、感染症対策の点でもメリットが有ります。また、今年からVIPの方であれば有料講演を無料で聴講できるようになりましたので、ぜひご登録いただければと思います。

近藤氏:「光通信技術展」以外の講演も充実しています。「5G/IoT通信展」では、総務省 総合通信基盤局長の二宮様に基調講演で登壇していただく他、複数の技術セミナーを予定しています。傾向としては、展示会場でローカル5Gの出展が増えていることもあり、FAやDX、地域活性化といった観点によるローカル5Gの講演が充実しました。また、例年通りLPWAやIoTをテーマとした講演もご用意しています。
 「映像伝送 EXPO」「4K・8K 映像技術展」の講演全体の傾向としては、放送以外の分野に関する内容が増えました。ルーヴル美術館などで実施された、様々な形態の文化財を8Kで保存するデジタルアーカイブ。4K・8Kスーパーハイビジョン技術の医療応用や、スポーツテックとの組み合わせ、そしてセキュリティでの利用。こうした様々な分野での実例が紹介されるので、幅広い方に興味を持っていただける内容となっております。
 講演会場で聴講された後に展示会場でブースを見ていただくと製品やサービスのご理解が深まりやすいと思いますので、是非とも両会場を活用していただければと思います。

業界のキーパーソンによる全47講演を開催。※画像は一部抜粋

――併設される展示会にはどのようなものが有るのでしょうか。
近藤氏:
昨年と同様に、ITの展示会である「Japan IT Week 秋」、AIの展示会である「AI ・人工知能EXPO 秋」を併設し、今年は更にVR・AR・MR技術を扱う「 XR総合展 秋」が加わります。こうした分野も「通信・放送Week」と同様にローカル5Gと関連が深いので、相乗効果が期待できます。

土屋事務局長:昨年の併設で特に目立った成果としては、「光通信技術展」も「Japan IT Week 秋」も従来からデータセンタ事業者やSIerといった層の来場者がいらっしゃったので、相互に流れができたというのがありました。
 通信、放送、ITの展示会が各業界を纏めた縦串のようなイメージだとすれば、複数の業界との関連が深まっているAI、ローカル5Gは横串のイメージとなります。今回、これらの最新の技術が集まる展示会を、幕張メッセ1~8ホールの全てを使って開催します。昨年同様に併設展は相互入場となり、1つの入場口から全ての展示会を回ることができますので、日本を代表する様々な技術をご覧いただければと思います。

会場全体のイメージ。

感染症対策の徹底

――「通信・放送Week2021」の感染症対策について教えてください。
近藤氏:
感染症対策の徹底ということで、全ての入口で一人一人の検温、マスク着用、手指の消毒を徹底します。講演会場では、講演者と聴講席、また聴講席同士の距離を十分に空けます。これ以外にも様々な対策に取り組んでおり、公式サイトでも一覧を記載して広くお伝えしています。これまで弊社ではコロナ禍において180本以上の展示会を開催してきましたが、こうした対策の徹底と、来場者や出展社のご理解もあり、クラスター報告はゼロです。

土屋事務局長:所定の入口以外からは入場できませんし、入場後にマスクを外されている場合は巡回の弊社スタッフが着用を促します。とは言え、これまで違反をした方はほぼいません。やはりビジネスイベントというのは、来場者、出展社の皆さんが会社を背負って参加しているので、一般イベントとは意識が違います。そういった意味でも、安心してご来場いただければと思います。

入場時の検温の様子。

出展社紹介サービスを新たに導入

――最後に、来場者へのメッセージをお願いします。
近藤氏:
会期中に会場を効率よく回っていただくために、出展社との事前アポイントができる機能を公式サイトに設けていますので、ご利用いただければと思います。これは例年ご好評いただいているシステムですが、今年は別途、出展社紹介サービスというものも始めました。これは、見たい展示項目のご要望とスケジュールを事前にWeb登録していただくことで、当日に弊社スタッフが複数の該当ブースをご案内するというシステムです。以前から会期中に十分に回れなかったというお声は有りましたし、今は感染症対策で展示会場での滞在時間を短縮しなければならないというお声も有りますので、こうしたサービスを導入しました。

土屋事務局長:この出展社紹介サービスで時間帯を事前にご登録いただくことで、訪問ブースへの事前連絡など、我々が最大限のご用意をします。これは、講演と講演の間の短い時間でもご対応します。こうした事前の情報により、出展社側もその時間帯に技術スタッフを配置できるなどのメリットが有ります。当日は、弊社スタッフが同行して出展社にお声がけしますので、例えばブースが混雑していて話が聞けなかったということは無くなります。このサービスは無料でご利用いただけますので、是非ご登録していただき、会期中は効率的に時間を使っていただければと思います。

展示会公式サイトはこちら

出展社紹介サービスのイメージ。展示会のプロである事務局スタッフがそのノウハウを駆使して該当ブースを次々と案内するという、リアル展示会ならではの試みだ。通信・放送Week事務局プロモーション担当の坂田栞氏は「リモートワークが広まった状況の中でも会場に来て良かったと思っていただけるよう、ご提案しています。ご来場の皆様にはより多くのものを得て欲しいという思いが私たちにもありますので、是非ご活用いただければと思います」と話している。

出展社紹介サービスの詳細はこちら

特集目次

「通信・放送Week 2021」開催直前 主催者インタビュー

光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー

佐藤 良明氏【NTTエレクトロニクス】
FOE-K「そろそろ見えてきた!? DX時代におけるデータセンター戦略と光技術への期待」
FOE-K「半導体のイノベーションにより 潜在的なデジタルトランスフォーメーションを実現」
FOE-22「レーザ網膜投影技術:医療ヘルスケアからXR応用まで」

土井 健嗣氏【日本電気】
FOE-1:光トランシーバの最新市場動向
FOE-10:次世代ハイパースケールデータセンタにおける400Gbps 超級光トランシーバの最新動向

岡安 雅信氏【華為技術日本】
FOE-2:光トランシーバの最新標準化動向
FOE-14:InP/Siヘテロ集積シリコンフォトニクスの最新技術動向

和田 悟氏【フジクラ】
FOE-3「AIを活用した光ネットワークの運用高度化の最新技術動向」
FOE-17「マルチコア光ファイバの最新技術動向」

太田 寿彦氏【古河電気工業】
FOE-4「IOWN/Beyond 5Gに向けた光ケーブルへの期待と将来展望」
FOE-6「光電融合・IOWN時代を担う、光半導体デバイス技術を紐解く」

界 義久氏【NTTアドバンステクノロジ】
FOE-5「近赤外光重合による光部品自動接続の現状と将来展望」
FOE-18「電気光学ポリマーを用いた光制御デバイス・テラヘルツデバイス」

石部 和彦氏【アンリツ】
FOE-7「Beyond 5Gアクセスネットワークに向けた最新光デバイス技術」
FOE-16「シリコンフォトニクスによる光トランシーバの集積化・高密度化の進展」

谷口 和彦氏【富士通オプティカルコンポーネンツ】
FOE-8「次世代光ファイバの接続技術動向」
FOE-9「デジタルコヒーレント光トランシーバの最新技術動向」
FOE-15「光コパッケージと次世代シリコンフォトニクスの応用」

清水 克宏氏【三菱電機】
FOE-11「Beyond 5G/6Gを支える光・無線融合技術」
FOE-20「光伝送領域におけるネットワークオープン化動向」

笹岡 英資氏【住友電気工業】
FOE-12「通信用光ファイバとファイバ型デバイスの基礎」
FOE-21「フォトニック結晶スローライトによる小型・非機械式 LiDAR」

鈴木 貴智氏【キーサイト・テクノロジー】
FOE-13「光トランシーバ測定の基礎」
FOE-19「デジタルコヒーレント光伝送の最新技術動向」

「通信・放送Week 2021」出展製品Preview