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中川新社長が率いるシスコジャパンの重点戦略【1:コロナ禍における堅調なビジネス成長】

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 シスコシステムズは1月25日、同社の代表執行役員社長として中川いち朗氏を任命した。
 中川氏は同社の副社長 情報通信産業事業統括として実績のある人物。同氏は2月24日に開催された新社長就任記者会見で、シスコジャパンの重点戦略について4つの柱を示している。
 本記事では、この重要戦略に関する中川氏の考えや具体的な取り組みについてレポートする。
(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)

シスコジャパンの重点戦略

中川新社長への期待

シスコ
アジアパシフィック ジャパン アンド チャイナ
プレジデント
デイヴ・ウェスト氏

 記者会見の冒頭では、前社長のデイヴ・ウェスト氏が登壇。ウェスト氏は現在、シスコ アジアパシフィック ジャパン アンド チャイナのプレジデントに就任しており、「日本はシスコにとって戦略的に最も重要な市場の一つだ。シスコと私は、今後も日本のお客様、パートナー様、そして日本社会にコミットしていく」との考えを述べている。

 新社長の中川氏は、シスコジャパンのエンタープライズ事業統括専務執行役員として2014年に入社。以降、日本のエンタープライズ事業を統括し、金融、製造、流通、IT業界の国内および日本のグローバル企業の大規模ユーザを支援してきた。ウェスト氏は中川氏について「彼のリーダーシップにより、ビジネスは大きく成長した。ネットワークインフラ、職場のイノベーション、セキュリティ、IoTなどの主要な領域でデジタル化を進めるお客様を支援できたからだ。2018年10月には、エンタープライズ部門からの移動で情報通信産業事業統括の副社長になり、大手通信事業者、移動体通信事業者、放送局、クラウドやメディア事業者向けの事業戦略と成長を担当した。その職責においてリーダーシップを発揮し、組織を導いてくれたので、シスコジャパンは多くのお客様が企業インフラやITシステムを変革するお手伝いができた。こうしてお客様は今、IoTや5Gを活用した新しいビジネスモデルを推進している」としており、「彼は事業の成長、収益性の向上、さらには次世代人材の育成など、ビジネスのすべての領域で素晴らしい結果を出してきた。また、シスコジャパンチームと成功に対して、信じられないほどの情熱を抱いている。お客様のデジタルジャーニーとパートナー様との良い関係性にコミットしており、シスコの文化と共有した価値観に強い信念を持っている。シスコ全社にとって大変重要な日本市場における事業の推進役として、まさに理想的なリーダーだ。彼に私の後任として、日本のリーダー役を託すことができて、とても光栄に思っている」と期待を述べた。

シスコジャパンの近況

シスコシステムズ
代表執行役員社長
中川いち朗氏

 続いて登壇した中川新社長は「通常は8月からの新年度に際し年度計画を立てるが、今年度はコロナの影響もあり、変化が激しく、数年での予測が困難ということから、今年度に限り、半期での事業計画を立てている。そういう意味で、本日のご説明の場は、21年度下半期の計画における戦略として、通常の新年度の事業説明会と等しい重要な説明会となる」と、コロナ禍における事業戦略の認識を述べた。

 シスコジャパンは2020年度、コロナの影響を受けながらも堅調なビジネス成長を達成した。シスコグローバルの中でも最も高い成長実績を上げ、一昨年に続き、二年連続でシスコ カントリー オブ ザ イヤーを受賞している。中川氏は「2020年度後半は新型コロナウィルスの影響で経済が減速した厳しい環境だったが、サービスプロバイダ事業においてマーケットシェア75%に達した5Gのルータビジネスの成長や、一般企業分野では新型コロナウィルスへの対応としてのBCPやリモートワーク、また日本のデジタル化の一環であるGIGAスクールといった社会ニーズに沿ったソリューションをいち早く提供させていただき、基盤ネットワークに加えて、コラボレーション、そしてMeraki事業といったものが大きく成長した」と説明している。

 また、2021年のGreat Place to Work Institute Japanでは、働き甲斐のある会社ランキングで大規模部門第一位にシスコジャパンが選定された。これは2018年に続いての第一位返り咲きとなる。中川氏は「コロナ禍にもかかわらず、シスコは日本で最も働き甲斐のある会社に選出されたこと、大変に光栄に思っている。シスコは早くから社員の生産性とモチベーション向上のため、最新のコラボレーションテクノロジーを導入し、働き方改革を推進してきた。さらには、インクルージョン&コラボレーション、ダイバーシティの活動を強化し、社員一人一人の多様性を尊重するということを、最重要経営戦略として位置付けてきた。特にこの一年はコロナ感染が拡大する中、社員や家族の安全を最優先と位置づけ、いち早く完全在宅勤務を実施したり、社員とその家族を招いたオンラインによるコミュニティイベントの開催、また、社員を三つのチームに分けて指定業務に限定して出社を認めるスプリットチーム制を含め、計画的かつ段階的なオフィスの時短を進めてきた」としており、「人材と企業文化、これこそがシスコの最大の強みだ。互いに信頼し、尊敬し、感謝しあい、各自が責任感を持ってより多くの多様性と、より高い革新を目指していく。このシスコの企業文化こそが、私たちの成功を支えている。そしてこれこそが、現在も好調なビジネスを支える一番の原動力だと考えている」と話している。

国内外から高い評価を得ているシスコジャパン。

レポート目次

1:コロナ禍における堅調なビジネス成長
2:コロナ前には戻らないユーザのビジネス環境を支える、シスコのデジタル変革
3:シスコ自身のビジネスモデルの変革