Indosat、Ooredoo Group、Nokia、NVIDIAが、アジア太平洋地域へのサービス提供を視野に、フルスタックAIインフラプラットフォーム「Zankore by Indosat」を発表
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Nokiaは8月6日(インドネシア ジャカルタ)、Indosat Ooredoo Hutchison(IndosatまたはIOH)が「Zankore by Indosat」を発表し、Ooredoo Group、Nokia、NVIDIAと連携して、アジア太平洋地域を拠点として、グローバル市場向けの次世代AIインフラを構築すると発表した。
この連携は、安全で拡張性の高いAIコンピューティングに対する同地域の急速な需要の高まりに対応するとともに、インドネシアを地域AIハブとしての地位を強化することを目的としている。1GWのNVIDIA DSX AI Factory容量を目標とする「Zankore by Indosat」は、地域最大級のAIインフラプラットフォームの基盤を築き、エージェント型AIおよびエンタープライズ型AIの大規模な導入を可能にする。
インドネシア共和国の通信・デジタル大臣であるMeutya Hafid氏は「インドネシアは、自国のニーズを満たすだけでなく、より広範な地域のニーズにも応える可能性を秘めている。インドネシアの豊富な資源と人材、そしてグローバルな専門知識と戦略的パートナーシップを組み合わせることで、企業と社会の双方に利益をもたらす主権的なAIインフラの発展を加速させることができる。政府は、インドネシアのデジタル競争力を強化し、AIの恩恵が全国に公平に分配されるよう、あらゆる取り組みを全面的に支援する」とコメントを出している。
Ooredoo GroupのCEOであるAziz Aluthman Fakhroo氏は「AIインフラはデジタル経済の基盤となりつつあり、早期かつ大規模な投資を適切なパートナーと共に行うことで、最大の機会が生まれると確信している。Zankore by Indosatを通じて、Ooredoo Group、Indosat、NVIDIA、Nokiaの強みを結集し、東南アジアのAIへの展望を支援しながら、長期的な成長のためのプラットフォームを構築していく」とコメントを出している。
Indosat Ooredoo Hutchisonのプレジデント 兼 CEOであるVikram Sinha氏は「企業がAIの実験段階からミッションクリティカルな導入段階へと移行するにつれ、コンピューティング能力だけではなく、統合されたAIエコシステムの必要性も高まる。 Sahabat-AIのようなモデルから、AI GridやAI-RANといったインテリジェントなネットワーク機能まで、AIスタック全体を統合することで、IndosatのZankoreは、AIの大規模導入を加速させるための信頼できる基盤を提供する」とコメントを出している。
IndosatのZankoreは、NVIDIA DSX(AIファクトリーの設計・運用に関するリファレンス アーキテクチャ、プラットフォーム、エコシステム プレイブック)を活用し、東南アジア最大級のAIファクトリー プラットフォームをインドネシア向けに構築している。DSXは、高速コンピューティング、ネットワーク、電力、冷却、運用を統合したシステムとして提供し、利用可能なメガワットから最大限のAI出力を引き出す。Zankoreは、NVIDIA GB300 NVL72を搭載し、2027年前半に約200MWのAI処理能力を提供する予定だ。このプラットフォームには、NVIDIA DSX MaxLPSも組み込まれている。MaxLPSは、GPU群全体の電力を動的に最適化することで、余剰電力を回収し、利用可能な設備電力範囲内でコンピューティング能力を向上させる。MaxLPSは、同じ電力予算内で最大40%のコンピューティング能力向上を実現するように設計されており、Zankoreの顧客サービス能力と収益創出能力を高める。
このパートナーシップは、各パートナーの独自の専門知識を結集するものとなる。Ooredoo Groupは、リードインベスターおよびプラットフォームスポンサーとして、長期的な資金と地域規模の支援を提供する。Indosatは、インドネシアにおけるAI導入を加速させるため、信頼できる市場リーダーシップ、デジタルインフラ、そして実行能力を提供する。NVIDIAは、高速コンピューティング、AIソフトウェア、次世代GPUアクセス、そしてグローバルAIエコシステムによってプラットフォームを強化し、Nokiaは安全で高性能なAIインフラを実現するAIネイティブネットワークを提供する。これらのパートナーは、グローバルなテクノロジーと地域規模、そしてローカルな実行力を融合させ、アジア太平洋地域におけるAIイノベーションを加速させる。
Nokiaのプレジデント 兼 CEOであるJustin Hotard氏は「AIが物理世界へと拡大するにつれ、各国や企業は、安全で拡張性があり、信頼性の高い、独自のAI機能の構築にますます注力している。これを実現するには、AIファクトリー、データセンタ、エッジにおけるコンピューティング、接続性、制御をインテリジェントにオーケストレーションする必要がある。NokiaのAIネイティブネットワーク技術は、この新世代AIインフラを支える信頼性の高い接続基盤を提供する。Indosat、Ooredoo Group、そしてNVIDIAと共に、私たちは東南アジアで最も先進的なAIインフラプラットフォームの一つを構築している」とコメントを出している。
NVIDIAの通信部門担当SVPであるRonnie Vasishta氏は「AIファクトリーは、あらゆる国と産業にとって不可欠なインフラだ。 NVIDIAの高速コンピューティングとオープンでセキュアなモデルを基盤とするIndosatのZankoreは、東南アジアが持続可能なAIの未来を自ら形作る能力を飛躍的に加速させ、産業を変革し、新たな機会を創出することで、AIの恩恵が地域全体、そしてそれ以外の地域にも及ぶあらゆるコミュニティと企業に届くようにする」とコメントを出している。
長期的な成長を支えるため、IndosatのZankoreは、主要株主と独立した経営陣の代表者からなる取締役会を設立した。取締役会は、リードインベスターであるOoredoo Groupを代表してAziz Aluthman Fakhroo氏とThomas Chevanne氏、Indosat Ooredoo Hutchisonを代表してVikram Sinha氏とVishal Gupta氏、そして独立取締役としてArijit Ranjan Sarker氏で構成され、Ulf Ewaldsson氏がCEOを務める。取締役会とCEOは、Zankoreが東南アジア全域でAIインフラプラットフォームを拡大していくにあたり、戦略的な監督、リーダーシップ、ガバナンスを提供する。
AIが産業と経済を再構築する中、IndosatのZankoreは、東南アジアがAI時代において競争力を維持するために必要な統合AIプラットフォームを提供する。ハイパースケーラー、企業、政府機関、そしてAIイノベーター向けに構築されたこのプラットフォームは、地域におけるイノベーションの加速と、持続可能な経済成長のための新たな機会の創出を可能にする。
本取引において、CitiはIndosatの専属財務アドバイザーを務めた。Ooredoo Groupの財務アドバイザーはFTI Capital Advisorsが務めた。
編集部備考
「AIコンピューティング事業者」へと事業領域を広げ始めた通信事業者
今回の発表で注目したいのは、Indosat Ooredoo GroupがAIサービスを利用する立場ではなく、自らAIコンピューティング基盤を提供する事業者として新たな役割を担おうとしている点だ。通信事業者がAI関連サービスを提供する取り組み自体は珍しくないが、今回の「Zankore」はGPUコンピューティング、AIプラットフォーム、ネットワーク基盤までを統合したフルスタックAIインフラとして展開されることが特徴だ。これにより、顧客(企業や政府)はGPUやネットワークなどの基盤を個別に構築・運用する負担を軽減し、AI開発や活用により注力できるようになるだろう。
従来、通信事業者の競争力は、通信ネットワークやデータセンタ、クラウド接続といったインフラをいかに効率よく提供できるかにあった。しかしAI時代には、それらのインフラを土台としながら、GPUリソースやAIモデルの実行環境、さらにはAIアプリケーション開発基盤までをサービスとして提供することが、新たな収益機会になりつつある。ネットワークは依然として不可欠な基盤ではあるものの、それ自体が最終的な提供価値ではなく、AIサービスを支える構成要素の一つへと位置付けが変わり始めている。
また、この動きは通信事業者が保有する資産との親和性も高い。大規模なデータセンタ、広域ネットワーク、高い可用性を実現する運用ノウハウ、法人顧客との長年の関係などは、AIインフラを提供する上でも大きな強みとなる。新たな事業を一から立ち上げるというより、既存の通信インフラをAI時代へ拡張する取り組みと捉えた方が実態に近いだろう。
もちろん、すべての通信事業者が同じ方向へ進むとは限らない。しかし、AIワークロードの増加によって通信インフラとAIコンピューティング基盤の境界が急速に曖昧になりつつある中、通信事業者が「ネットワークを提供する会社」から「AIコンピューティング基盤を提供する会社」へと事業領域を広げる流れは、今後さらに加速していく可能性がある。今回の発表は、その変化を象徴する事例の一つとして位置付けられる。
そして今回のニュースでは、インドネシアの通信・デジタル大臣が「主権的なAI(Sovereign AI)インフラの開発」に触れている。各国のデータ主権や安全保障の観点から、自国内でデータを処理できるAIインフラへの需要が世界中で高まっている中、その国に深く根ざし、信頼性の高いインフラをすでに保有している通信事業者は、主権的なAIを支えるローカルプラットフォーム事業者に近いポジションにあるだろう。
AIインフラ競争はGPU性能ではなく「統合力」の時代へ
もう一つ興味深いのは、今回のプロジェクトがNVIDIAのGPUだけでは成立せず、Nokiaのネットワーク技術やAI Grid、通信事業者としてのIndosatのインフラ運用能力を組み合わせることで初めて実現する点だ。これはAIインフラの競争軸が大きく変化していることを示している。
AI市場ではGPU性能や計算能力が注目されることが多いが、大規模AIを安定して運用するには、GPUだけでは十分ではない。大量のGPUを高速かつ低遅延で接続するネットワーク、高密度データセンタ、膨大な電力供給や冷却設備、AIワークロードを最適に制御する運用基盤など、多様な要素が有機的に連携して初めて高い性能を発揮できる。そのため、今後の競争は個々の製品性能ではなく、それらを一体的に設計・運用できる統合力へと軸足を移していくと考えられる。
その意味で、今回Nokiaが果たす役割は、従来の通信機器ベンダの枠を超えている。同社は近年、AIネイティブRANやAI Grid、データプラットフォーム、量子耐性ネットワークなど、AI時代を支える基盤技術を継続的に打ち出してきた。これらは個別製品として見るよりも、「AIインフラ全体を構成する要素」として捉えることで、その戦略の一貫性が見えてくる。
さらに、このような統合型AIインフラは、各国がAIを「利用する市場」から「提供する市場」へ転換するための重要な基盤にもなる。インドネシアが地域全体へAIコンピューティング能力を提供する拠点をめざす今回の取り組みは、その象徴的な事例と言えるだろう。AI時代の競争は、優れたGPUを確保することだけではなく、ネットワーク、データセンタ、AIソフトウェア、運用基盤までを含めたエコシステムを構築し、それを継続的に進化させられるかどうかへと移りつつある。今回の発表は、その競争が個々の製品や企業ではなく、複数のプレイヤーが連携するプラットフォーム間の競争へ発展していく可能性を示す一例として注目される。
(OPTCOM編集部)



