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ノキアが提案する、ローカル5GとPOLを組み合わせた低コスト化【4】

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ローカル5Gの課題を解決する、POLとの組み合わせ

 岡崎氏は「ローカル5Gが発表された当初、皆さんの期待は非常に高まった。低遅延でデータ量が多く、全て無線で実施してサーバルームをシュリンクできるといった声もあった。だが、実際にPoCが進み、ローカル5Gのみではコスト等の課題から無理だと分かり、ではコストを抑えてWi-Fiにしようとすると、無線とは言え特徴が異なるので適切ではないシステムになってしまう。そこで我々は適材適所のソリューションということで、経済的にケーブルを敷設できる場所はPOLを導入する形でのローカル5G展開という、コストを抑えるアプローチが適切だと考えている」と指摘し、「例えば製造工場の生産ライン最適化でAI判断を導入するケースで、4Kカメラを何十台、何百台と設置してデータをAIにアップロードし、AIの判断をフィードバックするという流れをローカル5Gで実施するのは無理があるので、そこはPOLにする。一方で、そこで動くロボットなどは、動きに強いローカル5Gにするといったように、有線と無線をミックスすることで最適なソリューションができる」と話している。

 ノキアはWi-Fi7製品もいち早く発表しており、プライベートワイヤレスにおけるWi-Fiとセルラーの比較において、最新技術に精通した見方ができる企業でもある。岡崎氏は「通信速度だけが比較対象となりがちだが、大きな違いとしては、前述のユースケースでも触れた通り、自動運転や自動制御の用途ではWi-Fiでは難しいという点が有る。安全性をそこまで担保しなくてもよく、ベストエフォードでよいエリアであれば、価格を抑えることができるWi-Fiも選択肢に入る。だが、将来まで考えると、やはり動きに強いセルラーの5G、5G-Advanced 、6Gという方向は、マシン同士のコミュニケーションやセンシティブなネットワークを無線化する運用でキーとなる技術として期待している」との考えを示している。

 現在、ノキアのプライベートワイヤレスの顧客数は675以上だ。世界的な動向を見ると、製造業だけでなく、農業でも自動化や働き方改革が起きている他、パブリックセクターやスマートシティでも実績が増えているという。
 岡崎氏は「当社のローカル5Gシステムは、他社よりも伝送距離が長いというお声を頂いている。また、オンプレミスだけでなく、クラウド管理にも対応しているので管理が容易な点もご評価いただいており、ローカルに閉じた環境をクラウドベースで対応できるのは他ではなかなか無いというお声も頂いている。こうした点からご導入は増えており、グローバルのシェアは50%以上を獲得している」とし、「既設のプライベートワイヤレスは従来からある4Gがメインだが、業務の効率化や安全性の向上、そして他にも災害対策等で5Gは増えてきている。また、公衆網を展開できない環境が世の中にはまだ沢山あり、当社は74%のエリアでデータ収集の基盤インフラが構築できていないと認識している。これらのケースに対し、当社のローカル5Gの強みとPOLを組み合わせた経済性を提案していく」と話している。

世界で数多くの顧客を抱えるノキア。その豊富なノウハウを活かした提案力は、日本のユーザにとって大きな力になるだろう。

レポート目次

1:ITではないエリアに対するIoTプロジェクトが増加

2:プライベートワイヤレスにより、様々な産業で業務を効率化

3:保守性、省電力性、将来対応に優れたPOL

4:ローカル5Gの課題を解決する、POLとの組み合わせ

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