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2026年度シスコジャパン事業戦略説明会【4:未来を見据えたワークプレイス】

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 これまで見てきたように、エージェント時代に向けてデジタルレジリエンスやAI対応データセンタは大きく変わる。では、ワークプレイスはどうなるのか。
 ワークプレイスのネットワークは、そこで働く人を中心に設計されており、例えば人数に応じた座席数やWi-Fi APが整備される。また、アクセス権の個別設定もある。濱田氏は「これが、多くのAIエージェントが働く時代になると、例えば従業員が5千人の会社は、いつの間にか5万人に対応するネットワークにする必要が出てくる可能性もある。その中で何をしなくてはならないかというと、AIに対応したセキュア ネットワーク アーキテクチャを入れていくことだ」と指摘する。

シンプルな運用のためのAgenticOps

AgenticOpsによる運用の概要。

 AgenticOpsは、監視機能が組み込まれたAIが自律的に行動するエージェントファースト型のIT運用モデルだ。

異なる製品ポートフォリオ間をシームレスに連携:40年以上にわたりネットワークの領域に取り組んできたシスコは、そのノウハウを活かし、ネットワーク、セキュリティ、アプリケーション、クラウドといった複数のITドメインを、単一のワークスペース(Cisco AI Canvas)上で統合的に可視化・自動化・運用管理する「クロスドメイン」のアプローチが可能だ。AgenticOpsはこうしたデータを用いることで、異なる製品ポートフォリオ間をシームレスに連携し、従来のように担当者ごとに情報が分断されていた状況を無くすことで、障害対応の時間を短縮する。

CCIEレベルの知識を学習したAIモデル:AgenticOpsは、シスコ技術者認定プログラムの最高位資格となるCCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)レベルの精度でトラブルシューティングや設定変更を行うので、一般的なAIモデルでは不可能な深いレベルでの推論と問題解決を実現する。これにより、ライブトポロジ、構成、テレメトリに基づく推論を根本原因分析に活用し、影響範囲の特定まで自動化できる。

ガードレールをポートフォリオ全体に適用:AIエージェントは従来のチャットボットと異なり、複雑なタスクを連続的に実行するため、予期せぬ挙動(ハルシネーションや不正なコード実行)が発生した場合の影響が大きい。そこでAgenticOpsでは、AIエージェントが自律的にタスクを遂行する際、安全・確実かつ意図した範囲内で行動するように制限・監視する仕組みであるガードレールを、ポートフォリオ全体に適用する。これにより、AIの暴走を防ぎ、企業ポリシーやコンプライアンスに適合させるための多層的な防御策を担保する。

目的を持ったインタラクション:AgenticOpsにおけるガードレールは、ただの機能制限ではなく、AIエージェントが目的を持って人間の意図したタスク(インタラクション)を安全かつ確実に実行できるよう、様々なインターフェイスと連携する。例えば、Cisco DashboardsやAI Assistantとしてシームレスに使用することや、AI Canvasへの統合などが可能であり、用途に応じてインタラクションを変えることもできる。

AgenticOpsは、根本原因の特定と修復を数分で実行することで多可用性を高める。また、故障や外部からの攻撃とまではいかなくても、ネットワークには輻輳など障害に相当するような状況も発生するので、それを自動で最適化する。さらに、AIエージェントの動作においてもゼロトラストアーキテクチャ(厳格な認証・認可)を適用することで、自律的なAIエージェントが、意図しない設定変更を行ったり、システムを破壊したりするリスクを排除する。

ネットワークに融合するセキュリティ

AI時代に向けてネットワークハードウェアを刷新。

 シスコは2025年に入ってからネットワークのポートフォリオのほとんどを刷新しており、ネットワークとセキュリティの融合を進めた。次世代IOS-XEの実装や、セキュアルータの新モデル追加、Campus Gatewayの拡充、そして注目の高まる産業用ネットワーク向けでも製品拡充やクラウド管理などに取り組んでいる。濱田氏は「日本に特化した製品もラインアップしている。例えば、日本は世界でもラストマイルが非常に高速なので、10Gインターフェイスを備えた小型の製品がある。また、IPv6の普及が世界に比べて非常に早く、広範囲で使われているので、日本市場で先行して出てくる需要を捉えて開発にフィードバックし、まずは日本でリリースをした後にグローバルで展開するような製品にも取り組んでいる」と話す。

 シスコ製品は、将来を見据えたLAN、WAN、暗号化トンネルにおける NIST-Approved PQC (耐量子計算機暗号) への対応も進んでいる。
 現在の暗号技術(RSAやECC)は、将来の高性能な量子コンピュータに解読されるリスクがあり、ハーベスト攻撃などが懸念される。そのため量子計算機が普及するよりも前にPQCを導入する必要があり、日本、米国を含む各国はPQCへの移行期限を原則2035年とする方針を掲げている。また、センシティブな領域では、2030年までに対応するというロードマップもある。
 濱田氏は「日本でもPQC対応ハードウェアは非常に注目を浴びており、お客様と検証を行っているところだ」と話している。

AIネイティブなハイブリッドワークプレイス

シスコは、AIネイティブなハイブリッドワークプレイスを実現するため、AI機能を組み込んだ拡張性の高い最新のコラボレーションデバイスとソフトウェアを提供している。特にWebexプラットフォームを中核とし、AIによる映像・音声の最適化、セキュリティ向上、空間のインテリジェント化を推進し、自社オフィス(東京ミッドタウン21F)で実現している。

 濱田氏は説明会の最後に「企業を支えるネットワークは、パンデミックを経て、また新たな局面に来ている。これまでシスコは、インターネット、例えばモバイルやクラウドの領域で技術革新をしてきたが、AIについてはインターネット到来以来、もしくはそれ以上の変革をする時代かもしれないと考えている。シスコだからこそできることが有り、やらなければいけないという使命を持っている」とし、「シスコは『AI時代において組織をつなぎ保護する』ことを、今年も進めていく。AIのセキュリティ、サステナビリティ、その中で私たちはスクランプと一緒になったことの相乗効果をより皆さんにわかっていただけるような形で展開していく。それが今年の非常に重要なテーマだと考えている」との考えを示した。

レポート目次

1:AIの新たな時代に向けた「One Cisco」

2:AI時代における最先端のデジタルレジリエンス

3:AI対応データセンタ向け次世代オプティクス

4:未来を見据えたワークプレイス