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Nokiaが、FTTHデジタルツインとAI搭載ツールを発表し、ネットワークの信頼性を向上

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 Nokiaは10月6日(エスポー)、運用効率を大幅に向上させ、ネットワークの信頼性を高める新たなソフトウェアツールとAIモデルを発表した。

 NokiaのAltiplanoプラットフォームの一部であるこれらの新しいデジタル機能により、事業者はFTTHネットワークの包括的なデジタルツインを作成し、アクティブコンポーネントとパッシブコンポーネントを単一の統合ビューで把握できるようになる。これにより運用コストの削減とFTTHの信頼性向上が実現し、事業者は障害を早期に検知し、インシデントを初回で迅速に解決できるようになる。

 FTTHネットワークを展開する事業者は、パッシブな屋外設備の可視性が限られているという問題に直面しており、在庫ミス、コストのかかる再点検、コスト超過、サービスの遅延といった問題が生じている。屋外設備の可視性を向上させることで、事業者は問題をより迅速に解決し、ネットワークを効率的に拡張し、地域社会により信頼性の高いブロードバンドを提供できるようになる。

 Omdiaの主席アナリストであるJaimie Lenderman氏は「デジタルツインとAIツールは、自律型ネットワークにおいて重要な役割を果たすだろう。アクティブコンポーネントとパッシブコンポーネントを単一のビューに統合することで、事業者は中断を最小限に抑え、問題を迅速に解決し、新たな接続基準を確立する信頼性と費用対効果の高いブロードバンドを提供できる」とコメントを出している。

 Altiplano のデジタルツイン機能は、多様なインベントリおよび地理空間ソフトウェアソリューションと互換性があり、グリーンフィールドまたはブラウンフィールドの導入で効果的に機能する。また、Nokia Broadband Easy デジタルプラットフォームとプレ統合されており、ファイバの展開と運用を自動化できる。

 Nokiaのブロードバンドネットワーク担当ゼネラルマネージャーであるGeert Heyninck氏は「事業者がアクティブネットワークとパッシブネットワークを個別に監視する必要がなくなることは、FTTH導入に伴う盲点を排除できるサポートとなる。Nokia のソフトウェアツールとデジタルプラットフォームは、ネットワークの統合ビューを提供することで、事業者は問題をより迅速に検出し、エスカレーション前に解決できる。これにより、運用上の大きなメリットがもたらされ、コスト削減とネットワーク構築の信頼性と精度の向上が実現する」とコメントを出している。

 Nokia Altiplanoは、自動化ツールを用いてプロセスを効率化し、インベントリ、トポロジ、リソースデータを継続的に検証することで、事業者にFTTHネットワークの統合リアルタイムビューを提供する。事業者は、成長を続けるAltiplanoマーケットプレイスから、Nokiaの新しいFiber Health AnalyzerとSubscriber Line Identifierアプリケーションにもアクセスできる。AIを搭載した新しいFiber Health Analyzerアプリケーションにより、事業者は光ファイバ リンクの健全性を監視し、インポートしたトポロジを監査し、光ファイバ障害を特定し、問題をプロアクティブに検出し、根本原因分析を実施し、サービス品質を向上させることができる。新しいSubscriber Line Identifyアプリケーションでは、事業者は最小限の中断でスプリッタの接続性を検証したり、ネットワークの現状を正確に反映するようにリアルタイムでインベントリを更新することができる。

 FibertimeのCEOであるDanvig De Bruyn氏は「Nokiaの自動化とAIを活用したツールは、運用効率の向上だけでなく、FTTHネットワークの信頼性向上にも役立つ。障害をより早く検知し、より迅速にインシデントを解決できるようになり、最終的には加入者エクスペリエンスの向上につながる」とコメントを出している。

編集部備考

■FTTH網の複雑化や運用コスト増大に対応するため、Nokiaはネットワークの仮想再現とAI分析を統合した。従来から可視化/シミュレーションによるインフラ設計、管理・運用が高度化されていた通信分野では、その発展形とも言えるデジタルツイン志向は、扱いやすさの視点からも順当な進化と言えるだろう。
 通信ネットワークの複雑化とともに、コア、メトロ、データセンタの管理・運用における自動化・AI活用が進んでいる。そうした中、FTTHのようなアクセス網は、加入者宅近傍まで非常に多くの分岐、接続点、ケーブル、スプリッタ、終端装置などが存在するので、これらの構成要素の “見える化/モデル化” が難しい領域だ。その障害の予測、故障個所の局所化、アップグレード計画のリスク試算などをデジタル環境上でシミュレーションできれば、保守運用の効率化、信頼性向上、コスト削減に繋がる。そのFTTHの “見える化/モデル化”を一歩前進させたのが、今回のNokiaの取り組みだ。
 FTTHの可視化・モデル化の高度化は、FTTHの運用コスト削減や信頼性向上だけでなく、将来的にはネットワーク全体の管理・運用の高度化にも繋がる要素だ。Nokiaが示したアプローチは、今後進むとみられるネットワーク全体の自動化・自律運用の流れの中で、FTTH領域がどのように連携していくのかを示唆する一例としても参考になるだろう。