台湾桃園国際空港が、より安全で信頼性が高く効率的な空港サービスのため、NokiaのIP/MPLSソリューションを導入
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Nokiaは11月24日(台湾 台北)、桃園国際空港(TIAC)が、サービスのセキュリティと信頼性を確保するため、NokiaのIP/MPLSソリューションを導入し、第1ターミナルおよび第2ターミナルの既存システムを刷新・拡張し、通信インフラをアップグレードすると発表した。
HwaCom Systemsとの提携により実現するこのネットワーク改善により、TIACはインフラの将来性を確保しつつ、主要地域ハブ空港となるという目標の達成に向けて前進することが可能になる。
Nokiaのソリューションは、音声、データ、ビデオ通信に加え、チェックイン キオスク、手荷物処理システム、Wi-Fi、CCTVなどの運用技術サービスを単一のネットワークインフラに統合し、複雑さを軽減し、運用コストを削減する。さらに、エンド・ツー・エンドのネットワーク、サービス、セキュリティ管理プラットフォームにより、TIACはネットワークのパフォーマンスと健全性をより詳細に把握できるようになり、空港運営の改善につながる。
桃園国際空港は台湾で最も利用者数の多い空港であり、増加する旅客および貨物需要に対応するため、第3ターミナルを建設中で、2027年の運用開始が予定されている。
桃園国際空港は「空港ネットワークは、乗客に最高の体験を提供するために、常に最高レベルのネットワーク信頼性、パフォーマンス、安全性を備えた極めて安全なものでなければならない。NokiaとそのパートナーであるHwaComが、このプロジェクトをタイムリーに遂行してくれたことに、私たちは感銘を受けている」としている。
Nokiaのアジア太平洋地域 ネットワークインフラストラクチャ エンタープライズセールス担当ヴァイスプレジデントであるStuart Hendry氏は「Nokiaのミッションクリティカルなネットワークソリューションは、その耐障害性とパフォーマンスで世界中から信頼されている。パートナーであるHwaComとの共同プロジェクトであるこの名誉あるプロジェクトに選ばれたことを光栄に思っている。NokiaのIP/MPLSソリューションは、桃園国際空港の安全性と運用の向上、そしてエネルギー消費量の削減に貢献する」とコメントを出している。
Nokiaのソリューションには、7750 サービス ルータ、7250 インターコネクト ルータ、7210 サービス アクセスシステムが含まれる。さらに、Nokiaのネットワークサービス プラットフォームは、桃園国際空港の業務の自動化とシンプル化に貢献する。
編集部備考
■空港ネットワークは、音声・データ・監視映像・手荷物管理・チェックイン端末といった多種多様かつ業務クリティカルなシステムの集合体だ。これらは従来、部門ごとに構築された独立ネットワークとして運用されてきたが、運用コストの肥大化や障害時の可視性不足が課題となっていた。今回、桃園国際空港が中核インフラとして NokiaのIP/MPLS ソリューションを採用したことは、この構造を根本から改善できる。
IP/MPLS導入により想定できる効率化として、例えば、ラベルスイッチングによる確定経路制御やきめ細かなQoS設計が可能であり、CCTV や VoIP、BHS(手荷物処理)といった異なる重要度のトラフィックを同一基盤で扱いながら、業務ごとに SLA を分離・保証できる。さらに、冗長構成や高速フェイルオーバーにより、業務継続性の確保が容易になる点も、空港というミッションクリティカル環境との相性が良い。運用管理についても、Nokia Network Services Platformの導入により設定や監視が統合され、構成ミスや障害対応に伴う作業負荷の大幅な削減が期待できる。
世界の主要空港では、ネットワーク統合とサイバーセキュリティ強化が共通課題となっている。多くの空港がレガシーインフラを抱え、増加するデータ需要と複雑化する運用に追従しづらい状況が続く中、IP/MPLS などの高信頼ネットワークへの移行は国際的なトレンドになりつつある。
桃園国際空港の事例は、設備の更新・効率化というよりも、アジア地域の中で空港インフラを“IT/OT一体”で刷新する先進事例の一つとして位置づけられるだろう。特に、音声・映像・IoT デバイスを含む運用系システムを単一の IP/MPLS 基盤に統合する点は、運用効率の向上だけでなく、セグメンテーションによるサイバー攻撃耐性の強化にも直結する。さらに、拡張計画中の第3ターミナルにも同一基盤を展開できる構造を採用している点は、将来の投資効率の観点でも評価できる。
そして、IP/MPLS化はゴールではなく、空港のデジタル化を加速させる基盤整備と言える。今後、IoTセンサ、AI分析、デジタルツイン、自律搬送ロボットなど、空港運用の高度化を支えるアプリケーションが増加するほど、低遅延・高信頼ネットワークの価値は一段と高まる。桃園国際空港の選択は、こうした“Airport 4.0”の実現に向けた布石としても重要であり、今後のアジア空港のモデルケースとなる可能性が高い。
運用効率、セキュリティ、スケーラビリティを統合的に満たすネットワーク基盤は、空港の競争力にも直結する。今回の導入が成功事例となることで、空港インフラの近代化におけるIP/MPLSの重要性が一段と高まり、国際的な空港ネットワークの標準像を更新していくことが期待できる。




