Ericssonとspecialized by stcが、公共安全および緊急対応要員(ファーストレスポンダー)向けミッションクリティカルな接続性向上に向けた覚書を締結
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Ericssonとspecialized by stcは2月16日、サウジアラビア王国リヤドで開催中の『World Defense Show』において、サウジアラビアの国家公共安全エコシステムを支える高度なミッションクリティカル通信機能の開発を加速するための覚書(MoU)を締結したことを発表した。
この協業により、サウジアラビアにおけるstcの全国規模のデジタルインフラと、Ericssonの安全で高可用性のあるネットワークに関する世界的な専門知識が融合される。このMoUは、ミッションクリティカルなプッシュツートークやプッシュツービデオ、AIを活用したインシデント分析、高精度位置情報サービスといった信頼性の高いリアルタイム通信ツールを実現することで、警察、救急隊、民間防衛、緊急対応チームなどの緊急対応要員の業務効率を向上させることをめざしている。
Ericssonは「このMoUは、IoTセンサとスマート車両システムを統合通信フレームワークに統合することで、緊急対応の迅速化、連携の改善、そして地域社会のレジリエンス強化を支援する。これは、パフォーマンス、信頼性、そしてセキュリティが不可欠な重要業務において、安全で回復力のある接続ソリューションを推進するEricssonのリーダーシップを改めて示すものだ」としている。
この覚書に基づき、Ericssonとspecialized by stcは、需要の高い緊急事態をシミュレートした共同検証プログラムとフィールドトライアルを実施し、安全で途切れることのない通信パフォーマンスを確保する。この取り組みは、緊急事態への全国的な備えを強化することで、サウジアラビア王国のビジョン2030におけるより広範なデジタルトランスフォーメーションの目標を支えるものとなる。
specialized by stcのCEOであるKhaled Aldharrab氏は「Ericssonとの協業は、国家の公共安全能力を支援するという当社の使命を推進する上で重要な一歩だ。私たちは共に、連携を強化し、緊急対応を強化し、サウジアラビア王国の最前線で働く人々に堅牢な通信を提供するソリューションを共同開発していく」とコメントを出している。
Ericsson Saudi ArabiaのプレジデントであるHåkan Cervell氏は「サウジアラビアにおける次世代のミッションクリティカルな通信を強化するため、stc specializedと協力できることを嬉しく思っている。エリクソンの安全で耐障害性に優れたネットワークの専門知識とstc specializedのデジタルインフラを活用することで、公共の安全を強化し、国家のレジリエンスを強化し、一秒一秒が重要な状況において緊急対応要員が迅速かつ確実に行動できるようデジタルトランスフォーメーションを実現し、サウジアラビアのVision 2030の目標達成を支援していく」とコメントを出している。
Ericssonとstcは長年にわたる関係を築いており、重要なサービスと国家の優先事項を支える、耐障害性に優れ、将来を見据えたソリューションを提供している。Ericssonは「これは、サウジアラビアのデジタルトランスフォーメーションとコネクティビティの目標達成を支えるものだ」としている。
編集部備考
■今回、Ericssonとspecialized by stcが打ち出したミッションクリティカル通信分野での連携は、国家戦略と通信インフラがより密接になっている世界の潮流を示す一例と言える。通信事業者はこれまで、周波数・設備投資・ARPUといった枠組みの中で事業を最適化してきた。しかし、公共安全や国家デジタル戦略と直結するミッションクリティカル通信は、事業者に「より深い社会的役割」を要求する。
これまで国家戦略における通信の位置づけは、経済成長の基盤整備という側面が強かった。しかしミッションクリティカル通信は、防災・治安・医療といった国家機能そのものを支える領域に踏み込む。ここで重要なのは、「通信の停止=経済損失」ではなく、「通信の停止=社会機能の停止」という構図に変わる点だ。この再定義は、通信事業者の存在意義そのものを引き上げる一方で、責任の質も変える。
従来の通信事業は「接続性の提供」が中心だった。しかしミッションクリティカル領域では、「通信品質」「レイテンシ保証」「優先制御」「データのリアルタイム解析」「セキュリティ統合」まで含めた“総体としての信頼性”が問われる。これは、単なるネットワーク運用会社ではなく、国家機能を設計・保証する主体への進化を意味する。
こうした公共におけるミッションクリティカル通信の整備は以前から進んでおり、商用と比べて可用性・冗長性・優先制御・セキュリティを高度に統合していることから「リッチインフラ(Rich Infrastructure)」とも呼ばれている。これらは中小規模で整備されてきたが、本ニュースのように国家戦略として整備されていくケースでは、規模は大きくなるだろう。これまで5Gの戦略で語られてきたNSA→SA→advancedと言った進化のロードマップは、費用対効果と新たなマネタイズが重要だった。だがここに、国家戦略としての公共のリッチインフラという要素が加わると、公共のインフラに耐えうる高度な5G展開は、そのまま産業向けの高度な5G展開へと裾野が広がるので、進化のロードマップを前倒しにするメリットが生まれる。
国家戦略と接続された5Gインフラは、商用ネットワークの延長ではなく、社会機能そのものの一部となる。この変化は、通信事業者が「どのような存在であるのか」を再定義する契機となる。こうした公共5G時代に問われるのは、設備投資の是非ではなく、公共インフラとして整備した高度なネットワークを、産業・自治体・重要インフラ市場へどこまで横展開できるかという、事業ポートフォリオ戦略そのものではないだろうか。




