NokiaとEricssonが、自律型ネットワーク実現に向けた協力を強化。R1インターフェースを通じて業界全体の相互運用性を推進
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NokiaとEricssonは3月1日(フィンランド エスポー & スウェーデン ストックホルム)、専用設計、クラウドRAN、およびOpen RANネットワークにおけるインテリジェント オートメーションの飛躍的な発展をめざす画期的な協業を発表した。
この協業により、EricssonはNokiaのSMOマーケットプレイスのメンバーとなる。このマーケットプレイスは、通信サービスプロバイダ(CSP)とパートナーが、オープンなマルチベンダ エコシステム内で自動化アプリケーションを構築、統合、導入できるよう設計されている。
Nokiaはまた、EricssonのrAppエコシステムのメンバーとなる。rAppエコシステムは、オープンで確立されたCSP、ベンダ、独立系開発者からなるエコシステムであり、Ericssonのオープンでマルチベンダ、マルチテクノロジー ネットワーク向けのネットワーク管理・自動化プラットフォームであるEricssonのインテリジェント・オートメーション・プラットフォームを基盤としている。
NokiaのCTOであるAri Kynaslahti氏は「Ericssonとの今回のパートナーシップは、業界が次世代の自律型ネットワークを提供する方法において極めて重要な進歩となる。オープン フレームワークとインテリジェントな運用モデルを連携させることで、サービスプロバイダに、より適応性に優れ、将来を見据えた自動化基盤を提供する。この協業により、堅牢なrApp環境の進化も加速し、通信事業者は新機能の導入を迅速化し、ネットワークをより正確に最適化し、世界中の多様な導入シナリオにおいてイノベーションを拡大することが可能になる。
Ericssonのソリューションエリア ネットワークマネジメント責任者であるAnders Vestergren氏は「この協業は、通信業界にとって重要な一歩であり、CSPが自律型ネットワーク変革戦略を実行する上で、より幅広い選択肢と柔軟性を提供する。NokiaとEricssonの合意は、R1インターフェースを活用したイノベーションを促進し、多様で積極的かつダイナミックなrAppエコシステムを育成し、この重要な通信技術分野を世界中のネットワークに組み込むという、継続的かつ既に成果を上げている取り組みの真の進展を示している。
NokiaとEricssonのエコシステムへの相互参加は、自律型ネットワークの推進という共通の重点分野を反映しており、特にrAppがSMOと連携するR1インターフェースを中心としたイノベーションに重点を置いている。世界中のCSPがレベル4の自律性を達成し、さらに上回ることをめざす中で、このような共同の取り組みは、モバイルネットワークにAIと自動化を導入し、導入、最適化、運用ワークフローを変革するために不可欠だ。
NokiaとEricssonは「この協業は、業界横断的な開発を促進し、多様なマルチベンダ環境における自動化ツールのよりシームレスな導入と統合につながる。この協業を通じて、両社は両プラットフォーム上でrAppをCSPに提供する」と説明している。
ABI ResearchのシニアリサーチディレクターであるDimitris Mavrakis氏は「通信業界は長期的な自動化アーキテクチャとしてSMOへと収束しつつあり、主要なRANおよびSMOコントリビュータとCSPは、標準ベースのコラボレーションを通じてこの移行を推進するために協力している。NokiaとEricssonが互いのrAppエコシステムに参加していることは、SMOアーキテクチャに対する信頼と、標準化されたR1インターフェースを通じて業界全体の相互運用性を推進するという共通のコミットメントを反映している。このコラボレーションにより、CSP向けに市場に投入されるrAppへのアクセス、可用性、そして相互運用性が拡大する。
編集部備考
■NokiaとEricssonによる自律ネットワーク分野での協業は、欧州二大ベンダによるエコシステム形成という意味でCSPに安心感を与える動きだ。現在、多くのCSPはマルチベンダ環境を前提にネットワークを構築しており、RANやコア、OSSが単一ベンダで完結している例は少数派だ。その現実において、自律ネットワークを特定ベンダ依存で導入することは、新たなロックインリスクを伴う。今回示されたSMOやrAppエコシステムへの相互参加は、そうした懸念を和らげる試みと位置付けられる。CSPにとって重要なのは革新性だけでなく、既存ネットワークとの整合性と運用責任の所在が明確であることだからだ。
一方で、中国系ベンダの存在は依然として大きい。自律ネットワークの土台となる従来機器市場では、米国や欧州で安全保障政策を背景に採用制限が進む一方、中国系ベンダは巨大な国内市場での導入規模、低コスト供給力、新興市場での存在感、さらにはサプライチェーンの内製化といった強みを背景に、RAN、コア、トランスポートの各分野で高い世界シェアを維持している。自律ネットワーク導入は単純な機器シェアで決まるものではないが、自律化が設備を基に積み上がることを考えれば、機器と自律化は無関係とはいえない。見方を変えれば、自律ネットワークの高度化を想定して機器を選定するという評価軸も生まれる。
この構造を踏まえると、自律ネットワーク時代と言うのは、従来の機器競争から、AI運用基盤を軸とした“陣営戦”への転換とも言える。ハードウェア中心の時代は基地局単位の競争だったが、自律ネットワークは「AI基盤」「データ基盤」「アプリ市場」を包含する。これはクラウド市場におけるエコシステム競争に近く、将来的にNokia+Ericsson圏と中国系圏といった緩やかな陣営圏が形成される可能性もある。
そして、異なる陣営圏のエコシステムを組み合わせた運用は理論上可能でも、実務面での課題は未知数だ。CSPにとって最大の懸念の一つは、障害発生時の責任分界であり、AI判断の主体は誰か、パラメータ変更のロジックはどこに属するのか、誤動作時の切り戻しはどう担保するのかを明確にできるのかが問われる。また、KPIの粒度やログ取得範囲、リアルタイム性といったデータ層は機器ベンダ依存になりやすく、物理的に混在できても性能的には最適化圏が分かれる可能性もある。そうした観点でも、NokiaとEricssonの協業という陣営圏はCSPにとって安心材料となる。
現時点で自律ネットワークはまだ黎明期にあり、Level 3未満が主流で、フルクローズドループも限定的だ。自律ネットワークを本格化する今後の機器更新や投資判断では、機器そのものの競争力だけでなく、どのエコシステムが実装面で成果を示しているかが影響し、結果として機器シェアを左右する要因となるかもしれない。NokiaとEricssonの協業は、業界全体の相互運用性を推進するだけではなく、CSPによる実装フェーズを見据えた布石として合理的だ。自律ネットワークの真価は、今後の運用実績とエコシステムの成熟度によって問われることになるだろう。




