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Ericssonが、米国テキサス州で世界初の6Gライブトライアルを実施し、AIロボティクスとリアルタイム動画ストリーミングの実現を牽引

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 Ericssonは2月27日、世界初となる6Gプレスタンダード無線(OTA)セッションを成功裏に完了したと発表した。

 同社は「これは、商用6Gネットワークの実現に向けた大きなマイルストーンであり、次世代ワイヤレスイノベーションにおける米国のリーダーシップを強化するものだ」としている。

 このマイルストーンは、AIとクラウドネイティブに対応するよう設計された信頼性の高いエンド・ツー・エンド アーキテクチャを用いたプレ スタンダード6Gシステムで達成された。テキサス州プレイノにあるEricsson米国本社で実施されたこのOTAセッションでは、主要な6G構成要素の準備状況を検証した。デモンストレーションでは、無線ハードウェア、RANコンピューティング、ソフトウェア定義の無線インターフェース、そしてクラウドプラットフォームが紹介された。Ericssonの将来を見据えたソフトウェア アーキテクチャは、CPUやGPUを含む複数のハードウェアプラットフォームに展開可能だ。

 Ericssonは「この成果は、初期研究、グローバルスタンダード、そして将来を見据えた周波数政策など、米国政府が6Gリーダーシップに注力する姿勢を支えるものとなる。 6Gは、国家安全保障、経済競争力、そしてAI主導のイノベーションにとって極めて重要なインフラだ。Ericssonの取り組みは、将来のネットワークがいかにして安全で高性能なAIネイティブ接続を実現できるかを示すことで、これらの優先事項を直接的に支えている。この接続は、米国の経済競争力、イノベーション、そして国家安全保障の基盤となる」と説明している。

 米国の商務長官であるHoward Lutnick氏は「Ericssonの6Gデモンストレーションは、アメリカの創意工夫によって実現される次世代ワイヤレス イノベーションにおける重要なマイルストーンだ」とし、「トランプ政権は常に信頼できるパートナーを支援し、アメリカが設計・運営する最先端の接続の未来に尽力していく」とコメントを出している。

 Ericssonのプレジデント 兼 CEOであるBörje Ekholm氏は「6Gは、人工知能が社会全体に浸透していくための基盤となり、米国の国家安全保障、経済繁栄、そしてグローバルな競争力にとって極めて重要となるだろう」とし、「米国で世界初となる6Gのライブトライアルを完了したことは、先進的なワイヤレス技術革新、製造、そして研究が米国に根付いていることを如実に証明するものであり、次世代接続における米国のリーダーシップを支えている。私たちは、政府、パートナー、通信事業者、企業、学界、そしてスタートアップ企業と協力し、米国のエコシステムと共にイノベーションをリードし続ける」とコメントを出している。

本トライアルの重要性

 具体的には、この6Gトライアルは、将来のAIネットワークを準備するための2つの重要な機能を実証する。それは、AIロボティクスに即時かつ信頼性の高い接続とリアルタイム制御のための処理能力を提供すること、そしてリアルタイムのビデオストリーミングを可能にすることだ。AIがスマートフォンにとどまらず、ロボティクス、自律システム、没入型アプリケーション、産業オートメーションへと拡大するにつれ、無線インフラはAIスタックの重要なレイヤーになりつつある。6Gネットワークは、リアルタイムのセンシング、コンピューティング、そして適応を実現するように設計され、一貫した低遅延、より高いアップリンク容量、そして現在は実現できない新しいクラスのAIサービスを実現する。

 EricssonのOTAにおけるマイルストーンは、これらの機能がシステムレベルで現実のものとなりつつあることを示している。これにより、米国のエコシステムは、世界標準の策定、イノベーションの推進、そして6Gの商用化をリードする立場を確立することになる。

米国への長期的なコミットメント

 Ericssonは120年以上にわたり米国で事業を展開しており、研究、製造、そしてオペレーションのあらゆる分野で事業を拡大し続けている。同社は全米で6,000人以上の従業員を擁し、AI、ASIC設計、アンテナシステムに特化した12の研究開発センターを運営している。テキサス州プレイノにある米国本社は、先進的な無線技術の研究開発、標準規格の開発、そして顧客エンゲージメントのための主要拠点となっている。

 Ericssonは現在、テキサス州ルイスビルにある5G USAスマートファクトリーにおいて、先進的な5G無線機とRANコンピューティング システムを製造している。このファクトリーは、米国で最も先進的な通信機器製造施設の一つだ。Ericssonは「当社はこの工場に1億5,000万米ドル以上を投資しており、米国で通信機器を大規模に製造する唯一のメーカーとなる。高度に自動化された30万平方フィートの施設は、米国で550人以上の製造業の雇用を支え、安全で回復力のある国内サプライチェーンを強化している。6G技術が成熟するにつれ、Ericssonはこの米国を拠点とする製造基盤を基盤として、将来の展開をサポートしていく予定だ」と説明している。

技術ハイライト

 このシステムは、下記の特徴を持つ標準化前の6Gスタックで構成されている。

・7GHz帯(センチメートル波)の周波数帯域

・400MHzの搬送波帯域幅

・アップリンクの最適化、エネルギー効率の向上、スペクトル利用の最大化に重点を置いた性能

 このデモでは、Ericssonの無線機、ベースバンド・プラットフォーム、クラウドネイティブ・ソフトウェアを活用し、3GPPやOpen RANなどの国際標準化団体への継続的な貢献を強化した。Ericssonは「今後も追加のスペクトル帯域にわたる試験を拡大し、AIネイティブ機能を有効にし、通信事業者、チップセットパートナー、およびより広範なエコシステムと協力して、6Gの準備を加速していく」との展望を示している。

編集部備考

■今回、トライアルの重要性の中で示された「AIがスマートフォンにとどまらず、ロボティクス、自律システム、没入型アプリケーション、産業オートメーションへと拡大するにつれ、無線インフラはAIスタックの重要なレイヤーになりつつある」は、6Gという未来の在り方を象徴しており、その成果は、そこに至る5G-Advancedの位置付けもより明確にした。
 5Gから5G-Advancedへの進化を新たなマネタイズの観点で捉えると、その要点の一つは産業用途の「拡張」だ。URLLCの高度化、ネットワークスライシングの精緻化、RedCapによるデバイス多様化、エッジ統合の強化。これらはすべて、モバイル通信をコンシューマ用途中心の世界から、産業オートメーションやミッションクリティカル領域へと押し広げるための拡張となる。5G-Advancedという世代は、「セルラー無線を産業基盤」へと引き上げる段階になる。
 一方、今回示された6Gトライアルの文脈は、その延長線上の理想像として深化する方向性を示唆している。AI、ロボティクス、自律システム、リアルタイム映像処理といった用途において、高速・低遅延は有効な手段だがゴールではない。その次のステップである6Gには、分散されたAIが常時同期し、推論結果が即座に制御へ反映される環境があり、ネットワークはデータ輸送路だけではなく、AIスタックの一部となる。
 ここに、拡張と深化の違いがある。5G-Advancedは、産業領域へ、制御領域へ、遠隔操作へと通信の適用範囲を拡張する。6Gは、その拡張された用途を前提に、ネットワークそのものを再設計する。AIネイティブな無線設計、通信とセンシングの融合、自律的最適化といった思想は、拡張された産業利用を“前提条件”としている。言い換えれば、5G-Advancedが「制御可能な高性能化」だとすれば、6Gは「自律的最適化への深化」となる。
 今回のニュースを含めた6Gトライアルの実績が促すのは、5G-Advanced投資への信頼性の高まりだ。6Gは、5G-Advancedで拡張された産業利用をさらに高度化する方向で進んでいる。そのため、5G-Advancedで蓄積される運用ノウハウ、スライス設計能力、エッジ連携の最適化経験は、そのまま6G時代の競争力の源泉となる。産業ワークロードとセルラー無線をどう組み合わせるかという設計思想の蓄積は、設備投資の見返りとして大きな財産となる。AIがスマートフォンを超え、ロボティクスや自律システム、産業オートメーションへと拡大する中で、無線インフラは計算資源の効率化に寄与する戦略レイヤーになりつつある。今回のトライアルは、6G実現に向けた最新の段階を示しただけでなく、その前提条件となる5G-Advancedの投資価値をより鮮明にした。
 セルラーの技術的な世代移行としては「5G&5G-Advanced」→「6G」という区切りとなるが、ワイヤレスの産業用途を経営戦略で考える場合は「5G」→「5G-Advanced&6G」の区切りであるという見方を持つべきだろう。この産業用途をどこまで拡張し、どこまで深化させられるか。運用面での知見の蓄積は、5G-Advancedで始まっている。
(OPTCOM編集部)

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