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Ericssonの技術が、ブリスベン2032オリンピック開催に先立ち、クイーンズランド州の次世代鉄道通信ネットワークの第1段階で採用

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 Ericssonは7月30日、クイーンズランド州政府が南東クイーンズランド全域に次世代鉄道通信ネットワークの第1段階を提供するチームを選定したことを受け、鉄道エンジニアリング企業のUGL Transport、およびミッションクリティカル通信専門企業のFrequentisと提携し、5G対応デジタル無線システム(DRS:Digital Radio System)技術を提供すると発表した。

 Ericssonは「クイーンズランド州政府から受注したこの契約に基づき、新しいDRSは、クイーンズランド州のブリスベンとサンシャインコーストを結ぶ革新的な公共交通・鉄道インフラ整備計画である『The Wave』の第1段階の一部として導入される」と説明している。

 DRSは、アルストムが提供する次世代信号技術である欧州列車制御システム(ETCS)レベル2の導入を支える通信基盤となる。ETCSレベル2は、列車の連続デジタル制御を可能にする技術となる。

 本プロジェクトの一環として、Ericssonはソリューションの基盤となる5G通信プラットフォームを提供する。この技術は、ミッションクリティカルな鉄道運行を支援し、将来の鉄道移動通信システム(FRMCS)機能への道筋を示すように設計されており、安全性、運行効率、ネットワーク容量の向上に貢献する。

 UGL Transport、Ericsson、Frequentisは、クイーンズランド州の鉄道網全体の近代化計画における重要な路線であるサンシャインコースト線に、デジタル無線システムの最初の運用区間を納入する。このシステムは、2032年ブリスベンオリンピック・パラリンピック競技大会に先立ち、旅客サービスをサポートできる体制を整える。

 デジタル無線システムプロジェクトは、TMR(クイーンズランド州運輸・幹線道路局)が実施する「The Wave」第1段階の調達活動における4つの主要作業パッケージの1つを構成している。

 Ericssonのオーストラリア・ニュージーランド地域責任者であるLudvig Landgren氏は「これはオーストラリアのデジタル鉄道にとって重要な節目だ。Ericssonのミッションクリティカルなプライベート5Gプラットフォームは、クイーンズランド州の次世代鉄道通信ネットワークの基盤となり、より安全な運行を支援するとともに、欧州列車制御システムレベル2(ETCS 2)のデジタル列車制御システムの導入を可能にする。クイーンズランド州、そして2032年ブリスベンオリンピック・パラリンピック競技大会にとって重要なこのインフラ整備に携われることを誇りに思っている」とコメントを出している。

編集部備考

■今回の発表は、Ericssonがオーストラリア・クイーンズランド州の次世代鉄道通信ネットワークの第一段階に採用されたという案件だが、その意義は「鉄道向け5G」の採用に留まらない。通信ネットワークが、人や端末をつなぐ情報伝達基盤から、社会インフラそのものを制御する基盤へと役割を広げつつあることを示す事例として注目したい。

 鉄道は、人命に直結するミッションクリティカルなシステムであり、列車の位置情報や運行制御をリアルタイムでやり取りする通信には、高い信頼性や低遅延、広域で安定した接続が求められる。「通信が多少途切れても後で再送すればよい」という世界とは設計思想が大きく異なり、通信品質そのものが安全運行を左右する要素となる。
 こうした要求を背景に、5Gは高速・大容量という利用者向けサービスの価値だけではなく、高可用性やリアルタイム性を活かした産業・社会インフラ向けネットワークとして存在感を高めている。製造業や港湾、鉱山などで専用の5G(Private 5G)の導入が進んできたが、今回の案件はその流れが鉄道という公共交通インフラへ本格的に広がり始めたことを示すものと見ることができる。

 また、Brisbane 2032オリンピックを見据えた整備という側面はあるものの、そのためだけの一時的な投資ではない点も重要だ。鉄道インフラは数十年単位で利用される資産であり、将来の運行高度化や標準化への対応も視野に入れた長期的な設計が求められる。通信ネットワークも同様に、「サービスを提供するための設備」から「社会インフラを支える長期資産」へと位置付けが変わりつつあることが、今回のプロジェクトから読み取れる。

■もう一つ興味深いのは、通信ベンダの競争軸そのものが変化していることだ。
 今回のプロジェクトはEricssonだけで完結するものではなく、鉄道システムや運行制御、ミッションクリティカル通信など、それぞれの専門企業が連携して一つのシステムを構築する形となっている。Ericssonが提供しているのは基地局や無線設備だけではなく、そのシステム全体を支える通信基盤であり、鉄道という社会システムの一部として機能する役割を担っている。

 この構図は近年の通信業界全体の流れとも重なる。AIやクラウド、データセンタ、OSS/BSSなど、通信ネットワーク単体では価値を生み出しにくくなり、様々な業界システムと連携することで初めて新たな価値を提供できる時代へ移行している。通信品質や基地局性能だけで差別化するのではなく、鉄道や製造業、エネルギー、医療など、それぞれの業界が求める運用要件や業務プロセスを理解し、ネットワークをシステム全体へ組み込めるかどうかが競争力になりつつある。

 さらにAIの普及によって、通信インフラはデータを運ぶだけの存在から、AIが判断・制御を行うためのリアルタイムな情報基盤としての役割も強めていくと考えられる。今後は鉄道運行の最適化や設備保全の高度化、自動運転支援など、AIを活用した新たなサービスとの連携も進むだろう。その際に問われるのは、通信技術そのものの優劣だけではなく、AIや各種制御システムを含めたエコシステム全体をどのように構築し、継続的な価値を生み出せるかという視点となるだろう。

 通信業界は長らく「より速く、より大容量に」という性能競争を続けてきた。しかし今後は、高度化する社会インフラの中で、通信をAIや各種制御システムとリアルタイムに連携させ、設備保全や運行最適化、自動化といった新たな価値を継続的に生み出せるかが競争力となる。今回のプロジェクトは、通信ネットワークが従来の情報伝達基盤の延長ではなく、次世代の社会インフラを支える知能化基盤へと発展していく方向性を示す事例と言える。

(OPTCOM編集部)

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