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Lumenが、米国1,000万以上の事業所へのクラウドネットワーク接続を拡大

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 Lumen Technologies(以下、Lumen)は8月26日(デンバー)、Multi-Cloud Gatewayサービスへのアクセスを拡大し、米国1,000万以上の事業所を高性能なプライベートクラウドネットワークに接続できる手段を企業に提供開始すると発表した。

 今回の拡張により、サービスはLumenのファイバネットワーク網の外側まで拡張され、認定を受けたサードパーティの接続拠点も、Lumenのオンネットサイトと同じクラウドネットワーク環境を利用できるようになる。

 Lumenの最高技術・製品責任者であるジム・ファウラー氏は「AIとマルチクラウド戦略は、ネットワークが事業のあらゆる部分に到達できる場合に最も効果を発揮します」とし、「Multi-Cloud Gatewayを当社のファイバネットワーク網の外側まで拡張することで、企業はアーキテクチャを再設計することなく、より多くの拠点をプログラマブルなクラウド対応ネットワークに接続しやすくなる」とコメントを出している。

 組織が複数のクラウド環境に事業を拡大するにつれて、ネットワーク管理はより複雑になる。企業は、多様なアプリケーションやワークロードに対応するため、パフォーマンス、回復力、セキュリティ、そして専門的なサービスを最適なバランスで組み合わせるべく、複数のクラウドへの依存度を高めている。
 多くの企業は、単一プロバイダのサービスエリア外に拠点を展開しており、それぞれに個別のネットワークアーキテクチャと管理ツールが必要となる場合が少なくない。Lumenの拡張されたMulti-Cloud Gatewayアクセスは、より多くの拠点を一貫したクラウドネットワーク モデルの下に統合することを可能にする。
 Lumenは「企業はLumen ConnectポータルとAPIを活用することで、より多くの拠点に同じルーティングポリシー、セグメンテーション制御、そしてデジタル管理エクスペリエンスを適用できる」としている。

 IDCのワールドワイド通信担当リサーチディレクターであるPeter Chahal氏は「企業が複数のクラウドに事業を拡大するにつれ、課題はもはや単にクラウド環境を接続することだけではない。ビジネスが行われるあらゆる拠点に、安全で高性能なネットワークエクスペリエンスを拡張することが求められている。Lumenは、Multi-Cloud Gatewayをファイバネットワークのサービスエリア外に拡張することで、分散型企業がより多くの拠点を一貫したソフトウェア定義ネットワークモデルを通じてクラウドおよびAI環境に接続できるようにするという、重要な市場ニーズへの対応を支援している」とコメントを出している。

エンタープライズAI向けマルチクラウド接続のシンプル化
 組織は、このサービスを利用して、一貫したネットワークモデルを通じて、より多くの拠点をプライベートクラウド環境に接続できる。医療機関は、診療所とクラウドプラットフォーム間で医療画像データを安全に転送でき、金融機関は、支店全体でネットワークポリシーを標準化できる。製造業者は、ネットワークアーキテクチャを再設計することなく、新たに取得した施設をより迅速にオンライン化できる。Multi-Cloud Gatewayは、運用のシンプル化、導入の迅速化、そして重要なワークロードにおけるパブリックインターネットへの依存度低減を実現するように設計されている。

 この拡張は、Lumen Connectプラットフォームを介したプライベートクラウド接続、ソフトウェアベースの制御、デジタルサービス配信を統合したLumenのプログラマブルネットワークを基盤としている。これらの機能により、企業はネットワークをシンプル化し、ハイブリッドおよびマルチクラウド環境全体でAIワークロードをサポートできる。

 マルチクラウドゲートウェイへのアクセスは、Lumen ConnectポータルのEthernet Fabric ConnectおよびAPI経由で現在利用可能だ。

編集部備考

AI時代には「どこにつながるか」より「どこからでも同じようにつながるか」が重要になる

 今回の発表でまず注目したいのは、LumenがMulti-Cloud Gatewayの提供範囲を自社のファイバ網の内側だけに限定せず、第三者のネットワークを利用して接続されている拠点にまで広げたことだ。これにより、Lumenのネットワークに直接接続されていない拠点でも、オンネット拠点と同じクラウド・ネットワーキング環境を利用できるようになる。Lumenは今回の拡張によって、米国内1000万以上の企業拠点を対象にするとしている。

 この背景には、企業のIT環境が「特定のデータセンタやクラウドにつなぐ」という単純な構造ではなくなっていることが挙げられる。複数のクラウド、データセンタ、オフィス、店舗、工場などにデータやアプリケーションが分散し、さらにAIの活用によって、それらを横断するデータの流れも増えていく。そうなると企業が求めるネットワークも、「どのクラウドにつながるか」「どの通信回線を使うか」だけでは評価できなくなる。

 重要になるのは、異なる場所や異なるアクセス回線から接続しても、同じポリシーや運用体系の下で、クラウドやAI環境へ一貫してアクセスできることだろう。実際、LumenもAIやマルチクラウド戦略では、ネットワークが企業のあらゆる場所に到達できることが重要だとしている。

 これは通信事業者にとって、従来からの「回線を提供する」という役割から、「企業の分散したIT環境を一つのネットワークとして成立させる」という役割への拡張を意味する。AI時代には、通信品質だけでなく、異なるネットワークをまたいでも同じように利用できる接続性と運用性そのものがサービス価値になっていくのではないだろうか。

「自社網を持つこと」から「ネットワークを束ねること」へ

 では、企業のあらゆる拠点を一貫したネットワーク環境でつなぐために、通信事業者はすべてのネットワークを自ら保有する必要があるのだろうか。今回のLumenの取り組みは、それとは異なる方向を示している。

 今回、Lumenが拡張したMulti-Cloud Gatewayは、自社ファイバ網の外側にある第三者接続拠点も取り込む。つまり、Lumenが新たにすべての拠点までファイバを敷設するのではなく、既存の他社ネットワークを利用しながら、その上位にあるクラウド・ネットワーキング環境をLumenが提供する構造だ。

 ここで重要なのは、「自社網を持つこと」の価値が低下するということではない。むしろ、高品質な物理ネットワークは、通信事業者が提供するサービスの重要な基盤であり続ける。一方で、その物理インフラだけでは企業の分散した拠点をすべてカバーできないため、自社網と他社網を組み合わせ、それを一つのサービスとして見せる能力が新たな競争力になる。
 Lumenが2026年に買収したAlkiraは、この動きを象徴している。AlkiraのクラウドネイティブなNetwork-as-a-Serviceの制御プレーンとLumenの物理ネットワークを組み合わせ、オンネット/オフネットのサービスやクラウド接続を一つのプログラマブルなプラットフォームに統合する構想だ。

 つまり通信事業者の役割は、ネットワークを「所有する事業者」だけでなく、複数のネットワークを組み合わせ、利用者にとって一つのネットワークとして機能させる事業者へと広がり始めている。AI時代には通信事業者自身が持つインフラだけでなく、他社のインフラまで含めて最適な接続環境を設計・制御する「ネットワークを束ねる力」が、重要なノウハウになっていく可能性がある。

通信事業者にとって「設備投資」と「サービス化」のバランスが新たな経営課題になる

 ここまでを見ると、AI時代の通信事業者は、必ずしも「自社ネットワークをできるだけ広げればよい」という従来からの戦略を取る必要はないことが分かる。重要なのは、どこに自社インフラを持ち、どこを他社ネットワークで補完し、その全体をどのようなサービスとして提供するかという「組み合わせのバランス」だ。

 実際、Lumen自身も自社インフラへの投資を止めているわけではない。2026年にはAIデータ通信を見据えた新たな光ファイバ・ルート「NorthLine」を発表するなど、AI時代の大容量・低遅延通信を支える物理ネットワークの拡充を進めている。一方で今回のMulti-Cloud Gatewayでは、自社網の外側までサービス提供範囲を広げ、Alkiraの買収によってクラウドネイティブな制御プレーンも取り込んだ。

 ここには、通信事業者が直面する新しい経営上のジレンマがある。AIによって通信需要が増える以上、光ファイバなどへの設備投資は必要になる。さらには、様々な産業・公共・スマートシティにおけるAI活用の基盤としての役割も拡張されていくことになる。しかし、企業のすべての拠点を自社網だけでカバーしようとすれば、膨大な投資が必要になる。一方、他社ネットワークを活用するだけでは、自社インフラという通信事業者固有の強みを十分に活かせない。
 そこで今後は、「自社がフォーカスする領域の重要な基盤には自ら投資し、それ以外は他社インフラも組み合わせながら、ソフトウェアや運用ノウハウによって一つのサービスに仕上げる」という考え方が重要になるのではないか。

 これは、通信事業者のビジネスが一つの方向へ画一的に進化するわけではないことも示している。自社インフラを強化して垂直統合を深める事業者もいれば、他社ネットワークとの連携を広げ、サービスプラットフォームとしての価値を高める事業者も出てくるだろう。AI時代の通信事業者に問われるのは、単純な設備量ではなく、「どこに資本を投じ、どこをサービス化し、両者をどう組み合わせて収益につなげるか」という事業モデルそのものなのではないだろうか。

(OPTCOM編集部)