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Beldenが、エッジ接続、高信頼性スイッチング、高密度インフラストラクチャの革新を発表

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 Beldenは8月27日(米セントルイス)、産業機器接続、ワイヤレス オーケストレーション、堅牢なスイッチングおよび電源オプション、高密度ファイバ インフラストラクチャ、Life-Safety Cabling(人命安全用配線)など、顧客がより効率的で、高信頼性かつ拡張性の高いIT/OTネットワークを構築できるよう設計された新製品とポートフォリオの拡張を発表した。

 Beldenは「製造、エネルギー、運輸などの分野における運用技術(OT)環境は、事業者がより多くのデバイスを接続し、より多くのアプリケーションをサポートし、ネットワークをより過酷で分散した場所に拡張するにつれて、進化を続けている。Beldenの最新製品群は、エッジにおける統合のシンプル化、ネットワークの信頼性強化、導入と運用の迅速化を実現するとともに、IT/OT融合のための強固な基盤構築を目的としている」と説明している。

 Beldenの最新製品および拡張製品には、以下のものが含まれる。

Belden LioN-X IO-Link アナログハブ:4つの設定可能なポート(電圧、電流、抵抗、熱電対)と8つのデジタル入力を同一デバイス上に搭載し、アナログセンサをあらゆるIO-Linkネットワークに接続する。IO-Link給電方式のため、追加の電源やM12 Lコード接続は不要だ。

Belden Wireless Orchestration:企業および産業用アクセスポイントを単一のダッシュボードから管理できるソフトウェアベースのWLANコントローラで、統合ワイヤレス管理の実現に活用できる。

ProSoft 8チャンネルHARTゲートウェイ(PLX51-HART-8I):8つの独立したHARTチャンネルをEtherNet/IPまたはModbusに接続し、制御盤にゲートウェイを追加することなく、最大64台のフィールドデバイスを制御システムに接続する。

Belden ACX 4Uパネルと12ポートMPOアダプタ ストリップ(APAC地域限定):高密度データセンタ向けにACXファミリーを拡張する。このソリューションは、プレターミネート済みおよびスプライス接続に対応し、MDAおよびIDA環境向けに4Uサイズで384個のFポートと192個のMPO-12/8ポートを提供する。引き出し式設計により、設置とメンテナンスが容易だ。

Hirschmann GREYHOUND GRS2000低電圧スイッチ:変電所、線路脇、またはプロセスサイトなどで既に使用されている低電圧DCレールからネットワーク機器に直接給電する。別途コンバータは不要だ。GRS2000ライン拡張により、低電圧DC電源オプション(シングルまたは冗長構成)が追加され、スイッチをレールに直接接続できる。Hirschmann MACH1000およびGRS1020/30ファミリーからの移行、およびDC電源の柔軟性を必要とするあらゆるサイトにとって、容易な移行パスとなる。

Belden Safe-T-Line 拡張キット – EN 50200 PH120 & CPR Cca:CPR準拠の回路完全性ケーブルを必要とする火災報知、避難、緊急通信システムに対応し、加圧下でも安定した動作を実現する。このSafe-T-Line拡張キットは、CPR Cca (s1b、d1、a1) および EN 50200 PH120認証ケーブルを、シールド付きとシールドなしの2種類で提供し、建物やインフラプロジェクト向けに特化して設計されている。

Hirschmann IT MTS 2608/2708 スイッチ:南北アメリカおよびEMEA地域で販売開始されている。これらのエントリーレベルの 8 ポート ギガビット イーサネット マネージド スイッチは、製造、エネルギー、運輸、石油・ガスなどの環境における IT/OT 統合向けに設計されている。4 つの 1G SFP+ アップリンク、ERPS リング冗長性、包括的なセキュリティスイートを備え、信頼性の高い統合ネットワークをコスト効率よく構築できる。MTS2708は、125Wの電力バジェットを備えた802.3at PoE+に対応している。

 Beldenは「これらの新製品により、お客様がより多くのフィールド信号を接続し、ワイヤレスアクセスをオーケストレーションおよび拡張し、堅牢なスイッチングにおける電力の柔軟性を高め、クロスコネクト環境におけるファイバ密度を拡大し、重要な人命安全用配線の要件を満たすことを支援する。これにより、デバイスからコアまで、より高性能で回復力のあるIT/OTインフラストラクチャをサポートする」としている。

編集部備考

産業AIの競争力となる現場データ

 今回の発表で注目したいのは、新製品の種類そのものだけでなく、Beldenがこれらを「IT/OTネットワークをデバイスからコアまで近代化するための製品群」と位置付けている点だ。IO-Link対応のアナログハブ、HARTゲートウェイ、産業用スイッチ、無線管理など、一見すると異なる領域の製品が並んでいるが、その共通点は、工場やエネルギー、交通などの現場で発生するデータをネットワークに取り込み、IT側で利用できる状態へ近づけることにある。

 この意味で今回の発表は、産業分野におけるAI活用の本格化を考える上でも興味深い。生成AIや画像認識、予知保全、ロボット制御など、産業AIの活用領域が広がるほど重要になるのは、AIモデルそのものだけではない。AIが判断するためには、設備、センサ、機械、人など、現実の現場から継続的にデータを取得しなければならないからだ。

 特に製造現場では、従来は制御や監視のために使われていたOTデータが、AIによる分析や最適化のためのデータへと価値を変えつつある。つまり、これまで「設備を動かすためのネットワーク」だったOTネットワークが、「現場をデジタル化するためのデータ基盤」へと役割を広げ始めている。

 ここには、AI時代のネットワークに対する重要な視点がある。AIの性能を高めるためにデータセンタのGPUや高速ネットワークへ投資するだけでは、産業AIの価値は最大化できない。AIが現実世界を理解し、そこへ働きかけるためには、データが生まれる場所までネットワークを広げる必要がある。
 今回の製品群は、その「AIの入口」にあたる部分を支えるものと見ることができる。AI時代には、データセンタだけでなく、工場や社会インフラなど、データが生まれる現場そのものがネットワーク投資の重要な対象になっていく可能性がある。

IT/OT融合における、両者をつなぐネットワークの重要性

 産業AIの普及によって現場データの価値が高まると、次に重要になるのが、そのデータをどのようにIT側へ運び、活用できるようにするかという問題だ。ここで重要になるのがIT/OT融合となる。

 IT/OT融合という言葉からは、クラウド、AI、データ分析といったIT側の技術を工場や社会インフラへ持ち込むことを想像しやすい。しかし実際には、それだけでは融合は成立しない。設備やセンサから生まれるデータを取得し、異なるプロトコルをつなぎ、現場からエッジ、さらにITやクラウドへと安全かつ安定的に運ぶネットワークが必要になる。
 しかもOTネットワークには、一般的なITネットワークとは異なる要求がある。工場などでは、通信速度だけでなく、可用性、リアルタイム性、耐環境性、冗長性、セキュリティなどが重要になる。これまでもITとOTを連携させる取り組みは、そうした文化の違いを調整しながら進められてきた。そして今後、AIによってネットワークに接続される設備やセンサが増えれば、こうした要求を満たしながら、より多くのデータをIT側へ流せるネットワークが求められる。

 この変化は、通信ネットワークの価値そのものを変えていく可能性がある。従来のネットワークは「人やシステムをつなぐインフラ」という側面が強かったが、これからは「現実世界で発生するデータをデジタル世界へ運ぶインフラ」という役割が加わるからだ。
 その意味では、IT/OT融合はシステム統合の問題だけに留まらない。AI時代における新しいネットワーク市場を生み出す可能性を持っており、各社がポートフォリオを拡充している状況だ。Beldenが今回、デバイス接続から無線、スイッチング、バックボーンまで幅広い領域を一つのIT/OTネットワークとして捉えていることからも、その潮流の広がりを感じさせる。
 さらにBeldenは8月にRUCKUS Networksの買収を完了し、Wi-Fi、企業向けスイッチング、AIを活用したネットワーク管理まで含むエンド・ツー・エンドのIT/OTネットワーク基盤を強化している。

 AI時代のネットワーク競争は、シンプルな「高速化」だけではない。現場からITまでをどこまで一体的に接続し、産業システムの中へネットワークを組み込めるかという競争へ移りつつある。

AI活用の現場を効率化するIT/OT融合

 IT/OT融合そのものは、決して新しいテーマではない。ネットワークベンダ各社も以前から産業分野への取り組みを進めてきた。そこには、ITとOTで異なる文化や導入判断の時間軸が存在する。ITでは新しい技術を導入して業務を改善することが比較的重視されるのに対し、OTでは設備を長期間安定して稼働させることが優先され、実績や信頼性が導入の重要な判断材料になるからだ。
 そのため、これまでのIT/OT融合は、技術的には可能であっても、現場への導入や既存設備との接続を含めれば、必ずしも短期間で進む市場ではなかった。しかし、ここにAIという「大きな果実」が見えてきたことで、その意味が変わり始めている。
 工場や社会インフラに蓄積されているOTデータをAIで分析し、予知保全や品質管理、設備制御、業務最適化などにつなげることができれば、IT/OTを接続することそのものではなく、「接続した先で生まれる価値」が大きくなる。これによって、これまで地道に進められてきたIT/OT融合が、ネットワークベンダや通信事業者にとって以前よりも大きな成長機会として見え始めている可能性がある。

 一方で、AI活用のためにOTの既存環境を一気に刷新することは、ユーザ企業にとって不安もあるだろう。だからこそ重要になるのが、現場の設備や既存ネットワークを維持しながら、必要なデータを収集し、ITやAI基盤へつなぐエッジの役割だ。エッジはただAIを実行する場所ではなく、OTとITの間に立ち、異なるプロトコルやシステム、運用思想を橋渡しする接点になっていく。

 今回のBeldenの製品群も、この変化を象徴するものと見ることができる。産業用スイッチやゲートウェイ、接続機器などを、それぞれ見るだけでは従来からある製品の発展型だ。しかし、現在の市場環境から見ると、これらを組み合わせることで、現場で生まれるデータをITやAIへつなぐための基盤が形成できるという、重要性の高まりが有る。

 現時点で、産業AIやエッジ市場の動向が期待通りに拡大していくかは未知数だ。しかし、ネットワークベンダや産業ネットワークベンダがこの領域の製品・ソリューションを拡充していることを考えれば、IT/OT融合は「技術的に必要だから進める段階」から、「AIという新しい価値を取り込むために投資する段階」へ移りつつあることを感じさせる。AIが現実世界へ広がるほど、その入口となるエッジと産業ネットワークは、通信業界にとって新たなフロンティアになっていく可能性がある。

(OPTCOM編集部)