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Nokiaが、AI時代におけるネットワークイノベーションの加速を支援する業界初の取り組みを開始

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 Nokiaは9月8日(エスポー)、AI時代における高度なネットワーク接続を支えるソフトウェアを実際に体験できるライブホスト環境「Mobile Core Early Access」を発表した。

 この取り組みは、通信事業者および企業向けにグローバルで提供され、技術認識から情報に基づいた計画、検証、導入までのプロセスを短縮することを目的としている。

 NokiaはモバイルネットワークがAIドリブン型サービス、自動化、そしてますます高度化するエンタープライズ アプリケーションをサポートするように進化するにつれ、通信事業者はイノベーションの機会をより迅速かつ実践的に評価する方法を必要としている。Mobile Core Early Accessは、こうした課題に対応するために開発され、参加者は新しい機能が実際にどのように動作するかを確認できる。これにより、意思決定プロセスの早い段階で、ビジネス上の関連性、運用要件、導入に関する考慮事項を評価できるようになる」と説明している。

 Nokiaのコアネットワーク担当SVPであるKal De氏は「モバイルのイノベーションのサイクルは加速し続けており、通信事業者は自信を持って技術を選択するために、プレゼンテーションやデモンストレーション以上のものを必要としている。Mobile Core Early Accessは、最新のモバイルコア イノベーションをライブ環境で体験できる実践的な方法を提供する。お客様にいち早く機能を提供することで、不確実性を軽減し、探索から導入への迅速な移行を支援する」とコメントを出している。

 Mobile Core Early Accessは、最新のモバイルコア機能とユースケースを無線機器やデバイスと併せて検証できる、ライブのホスト型エンド・ツー・エンド環境を提供する、業界初のプログラムだ。6月に厳選された30社で開始した後、現在では業界全体に登録を受け付けている

 Omdiaのモバイルインフラストラクチャ担当主席アナリストであるRoberto Kompany氏は「NokiaのMobile Core Early Accessは、通信事業者や企業が長年抱えてきた課題、すなわち導入決定前に最新のコアネットワーク機能を実際に体験するという課題に取り組んでいる。Nokiaは、実際の5G Core、自動化、分析、ネットワーク エクスポージャーのユースケースを紹介する、定期的に更新されるライブ環境へのアクセスを提供することで、検証プロセスのボトルネックを軽減し、お客様のイノベーション サイクルの短縮を支援する。業界がAIネイティブなコアネットワークへと移行する中、NokiaのMobile Core Early Accessのような取り組みは、技術導入の加速と将来のネットワーク投資に対する顧客の信頼向上に重要な役割を果たすことができる」とコメントを出している。

 Mobile Core Early Accessを通じて、以下のことが可能になる。

・最新のモバイルコア機能とユースケースを、利用可能になり次第検証できる。

・ネットワーク機能、無線機器、デバイスを含むエンド・ツー・エンドのライブ環境で、イノベーションを評価できる。

・クラウドネイティブなネットワーク機能、ユーザインターフェース、運用ワークフロー全体で、新しい機能がどのように動作するかを可視化できる。

・導入プロセスの早い段階で導入に関する考慮事項を理解することで、技術計画と準備をサポートできる。

・初期テスト環境の構築に必要な労力を削減し、ユースケースとビジネス価値について関係者間の認識を一致させることができる。

 より長いアクセス期間、より幅広い柔軟性、または自社環境とのより深い統合を必要とする場合、Nokiaはより高度な評価、実験、検証活動をサポートする有料オプションを提供している。

編集部備考

「導入するネットワーク」から「試しながら進化させるネットワーク」へ

 今回の取り組みで注目したいのは、通信事業者や企業が、実際のネットワーク環境に近い形で新機能を試し、その有用性を検証できる場を提供している点だ。
 これまで通信ネットワークの高度化では、新しい装置や機能を選定し、自社環境で検証したうえで導入するという流れが基本だった。しかし、ネットワーク自動化や分析、Network Exposureなど、AI時代に求められる機能は、単純に「性能が高い」「新しい」というだけでは価値を判断しにくい。実際の運用に組み込んだとき、どの業務を効率化できるのか、どのような新サービスにつながるのかまで確認する必要があるからだ。

 しかもAI関連技術は進化のスピードが速い。数年に一度、大規模な設備更改を行うだけでは、その変化についていくことが難しくなる可能性がある。そこで重要になるのが、導入前に技術を試し、ユースケースを検証し、効果を確認してから本格導入するというサイクルだ。
 今回の取り組みは、こうした検証のハードルを下げるものと捉えられる。言い換えれば、通信ネットワークが「完成した製品を導入するもの」から、「新しい機能を継続的に試しながら進化させるもの」へ変わりつつあることを示している。

 AI時代のネットワーク競争では、どれだけ高度な技術を持っているかだけでなく、それをどれだけ早く試し、価値を見極め、実運用へ反映できるかも重要な競争軸になっていくのではないだろうか。

AI時代には「ネットワークそのもの」が継続的な実験環境になる

 今回の取り組みをさらに広い視点から見ると、AI時代の通信ネットワークには「完成」という概念そのものが変わっていく可能性がある。

 従来の通信ネットワークでは、標準化された技術や装置を組み合わせ、一定の性能と安定性を確保したネットワークを構築することが重要だった。もちろん、現在でもこの基本は変わらない。しかしAIの登場によって、ネットワークに求められる機能は急速に変化している。自動化、リアルタイム分析、Network API、AIによる運用支援など、ネットワークそのものがソフトウェアによって継続的に高度化していく領域が増えているからだ。

 こうした環境では、「次世代ネットワークを導入して、それを何年間も使い続ける」という考え方だけでは対応しにくい。新しいAI技術が登場すれば、それをネットワーク側でどう利用できるかを検証し、新たな機能が登場すれば既存環境との組み合わせを試す。その結果を実際の運用へ反映し、さらに次の技術を試す、という循環が重要になる。

 今回のEarly Access環境は、まさにこの循環を支える仕組みと見ることができる。つまり、ネットワークを「完成品」として提供するだけではなく、継続的な技術検証の場として提供するという発想だ。
 ここでは、ネットワーク事業者自身にも新しい能力が求められる。それは、設備を安定運用するだけでなく、新しい技術を評価し、自社のサービスや運用にどう組み込めるかを判断する力だ。

 AI時代のネットワーク競争は、変化する技術を継続的に試し、その中から自社に必要なものを選び、運用ノウハウとして蓄積していくことが重要になりそうだ。その「試す→評価する→実装する」という能力そのものが、通信事業者の競争力になる可能性がある。

AI時代には「通信事業者と企業が一緒にネットワークを作る」関係へ

 今回の取り組みでもう一つ注目したいのが、ネットワークを実際に利用する企業も、新しいモバイルコア技術を試せる環境としている点だ。
これまで通信ネットワークの技術開発は、通信事業者や通信機器ベンダを中心に進み、企業側は完成したサービスを利用するという構図が比較的強かった。しかし、AIやフィジカルAIの普及によって、この関係も変わる可能性がある。

 製造、物流、エネルギー、建設などの現場でAIや自動化が進めば、企業側からネットワークに求める要件も多様化する。単に高速な通信環境が欲しいというだけではなく、機器やAIエージェントがどの程度の遅延を許容できるのか、通信障害時にどう動作させるのか、複数のアクセス手段をどう使い分けるのかといった、業務そのものと結び付いた要件が生まれてくる。
 こうした要求は、通信事業者やベンダだけでは最初からすべてを想定することが難しい。逆に企業側も、自分たちの業務要件を通信技術の仕様へ落とし込むことは容易ではない。だからこそ、実際にネットワークを試しながら、双方で必要な条件を発見していく場の価値が高まる。

 今回の取り組みは、通信技術を「説明して導入してもらう」だけではなく、通信事業者、ベンダ、企業が同じ環境で試し、ユースケースやビジネス価値を探る方向への一歩とも捉えられる。
 AI時代には、通信ネットワークが産業のAI活用を支える基盤になる一方、産業側のAI活用がネットワークの進化を促すという相互作用も強まっていくだろう。

 その意味では、今後の通信事業者やベンダに求められるのは、完成したネットワークを提供することだけではない。企業が新しいAI活用を試し、それによって生まれた新しい通信要件を、次のネットワークへ反映できる環境を作ることも重要になっていくのではないだろうか。

(OPTCOM編集部)